(左から)柘植悠太さん、笹川友里
柘植悠太さんは2006年同志社大学を卒業後、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)に入社。法人営業を経て、人材紹介、doda(デューダ)などの主要事業の事業戦略を担当。その後、事業におけるデザイン活用・デジタル技術活用に積極的に取り組み、時代に先駆けた体制で既存事業・新規事業の開発に挑む。2022年4月より、パーソルホールディングス執行役員CIO(Chief Information Officer)/CDO(Chief Digital Officer)として、グループ経営及びグループ全体のIT・デジタル化の推進を担当しています。
◆「はたらいて、笑おう。」に込められた思い
パーソルグループは総合人材サービス企業として、はたらく一人ひとりに寄り添う姿勢を大切にしています。その根幹にあるのが「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンです。
柘植さんは「特に日本において、「仕事に対して意欲的な人」が比較的少ないという調査結果があります。人によってはたらくことにネガティブなイメージをもつ方もいると思いますが、キャリアを自分で選択して、前向きにコントロールできる人たちを世の中に増やし、社会を良くしていきたいという思いが込められています」と説明します。
ひと昔前までは終身雇用や年功序列、ジョブローテーションといった日本独特の制度の下で“会社に合わせるはたらき方”を多くの人が選択してきましたが、近年はテクノロジーやグローバル化の進展、さらにコロナ禍によるリモートワークの普及によって、個人のはたらき方を見直す動きが加速しています。
そこで、笹川が「仕事を能動的に楽しむために個々が考えるべきことは何でしょうか?」と質問すると、柘植さんは「まずは、自分の強みや個性がどこにあるのかを考えるところからスタートしていただきたいです。
◆パーソルグループのAI活用
続いて“AI活用”について話を伺うことに。柘植さんいわく、パーソルグループは2019年頃からAIを活用していると言い、例えば、転職希望者と企業をつなぐ人材マッチング領域に導入しているとのこと。従来の単純な条件によるマッチングにとどまらず、“自分の強みが分からない”“市場でどう評価されるのかが不安”といった利用者に対し、データとテクノロジーを通じて“気づき”を与えることを重視しています。
一方、海外ではすでにAIエージェントによる転職カウンセリングが登場しており、会話のやり取りや感情を読み取りながら提案するサービスも広がり始めています。しかし、日本の転職希望者においては「仕事選びの最終段階で“人に相談したい”というニーズが根強く残っていくのではないか」と柘植さん。テクノロジーを徹底的に活用しつつ、人間にしかできない部分を大切にする。その使い分けこそが、これからのサービス提供で重要になるといいます。
◆“AIの進化”で私たちの未来はどう変化する?
最後に、柘植さんが注目する“近未来の風景”について聞いてみると、「学び方や成長のあり方が大きく変わっていくこと」を挙げます。これまで、多くの職種で一人前と認められるまでに長い年月が必要とされてきました。しかし、柘植さんは、AIの進化によってそれが覆されつつあると言い、「AIを活用すれば短期間で基礎を身につけられる可能性があります」と語ります。
また、すべての仕事がAIに置き換わるわけではなく、「あくまで人が担うべき領域は残っていく」と強調。AIエージェントのような存在を武器として使いこなしながら、自分たちの意志で新しい仕事に挑み、成果を積み重ねていくようなはたらき方が広がっていくだろうと展望しました。
改めて、柘植さんは、自ら選び取った道では自分自身で努力する力が湧くようになる。その結果、成果が思うように出なくても、その経験は次につながっていくとし、「はたらくことを主体的にコントロールできている人は、AIの力によってどんどん後押しされていくと思います。なので、世の中に前向きに仕事を選択できる人がもっと増えてほしいですね」とコメントしました。
次回9月6日(土)の放送は、帝人株式会社 グループ執行役員 デジタル・情報システム管掌 舩生幸宏(ふにゅう・ゆきひろ)さんをゲストに迎えてお届けします。マテリアル、繊維、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開する帝人グループのデジタル戦略について伺います。
<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/