(左から)スタンリー・フクヤマさん、笹川友里
ブラジル・サンパウロ出身のスタンリー・フクヤマさんは、ブラジルの航空機製造会社を経て、2010年にクラレサウスアメリカとコンサルタント契約を締結。2012年からは同社のビジネス・ディベロップメント・ディレクターを務め、2021年に来日。その後、GDX(グローバル・デジタル・トランスフォーメーション)推進チームリーダーに就任し、GDX推進室長を経て、2023年に執行役員兼DX-IT本部長に就任しました。
◆科学の領域にデジタルのシミュレーション技術は必要不可欠
先週の放送では、中期経営計画「PASSION 2026」の中核戦略の1つであるDXについて、クラレが掲げるDXビジョン「a digitally savvy company」の狙いや、4つの重点分野のうち、「カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の改革」「業務プロセスの改革」「ビジネスモデルの改革」の3つを紹介していただきました。今週の放送では、残りの1つ「研究開発・生産技術シミュレーション」について伺います。
研究開発・生産技術の領域では、世界的なシミュレーションソフトウェア企業であるAnsys(アンシス)との協業が進められています。その経緯について、「私はもともと飛行機設計からキャリアを始めており、私の私見では『飛行機が究極のシステムだ』と考えています」と持論を述べます。また、航空業界では大昔からシミュレーションが活用され、仮想空間で検証を重ねたうえで、本当に筋が良い物だけを形にする文化が根付いていると言います。
その一方で、「この産業(研究開発・生産技術の領域)は、新しい素材をいち早く取り入れるのですが、毎回いちいち金型を作り、テストをしていたらコストが膨れ上がってしまいます。それをコンピューターの世界で再現し、本当に筋が良い物だけを(金型で)作るようにしたい。そのために、世界最高峰のシミュレーション会社であるAnsys様と組ませていただきました」と説明します。
化学素材メーカーとして、デジタル空間に現実の世界を極めて高い精度で再現することは「かなりチャレンジングな部分がございます」と話しつつも、データのクオリティを上げて、物理モデルや数理モデルを丁寧に構築すれば、かなり精度を高められるとし、「私はそこの部分に深く関わってきましたので、せっかく素材メーカーに入ったのであれば、そこを生かそうと思いました」と力を込めます。
◆日本のデジタル分野が遅れている理由とは?
出身地のブラジルで長い間働いてきたフクヤマさんは、日本に来る前から、日系企業を通じて日本の文化や働き方に触れてきました。そこで笹川は、日本とブラジルの“文化の差”について、「日本に来て日系企業で働くと、かなり違いを感じていらっしゃるんじゃないですか?」と質問すると、「ここ30年くらいで日本はかなり変わったという印象を受けております」と答えます。
その一方で、デジタル分野においては世界的に見てかなり遅れてしまっていると言い、「こんな偉そうなことを言える立場ではないですが、もう少し働き方を科学的な側面に寄せたらいいと思います。まだ“働き方の勘と経験”にかなり頼りすぎている」と指摘します。フクヤマさんがそう感じた理由として、欧米では、意思決定の場面で既存のデータや理論を用いて意見を言い合っているのに対し、「日本では、50年前に決着がついているような技術的な議論を蒸し返してしまっている」と言及します。
もちろん、100%の精度を持つデータはなく、あくまで意思決定の成功確率を高めるための手段です。そのため、データを根拠として活用できるよう支え、判断につなげていくマネジメントが重要だと話します。
また、フクヤマさんいわく、今の日本のデータ活用は1990年代のアメリカに似ていると言い、「当時のアメリカも『データで何ができるんですか?』『こんなものは自分の過去の経験でやれる』というような方が多かったです」と自身の経験を語りつつ、「過去のデータをきちんと利活用できるようになれば、“これをやったらまた同じ結果になる”など、過去のミスから学ぶこともありますので、やがてきちんとした形で(データを)利活用できるようになると思います」と呼びかけます。
最後に、笹川が「今後、製造業や化学素材メーカーは、デジタルによってどう変わっていくでしょうか」と尋ねると、フクヤマさんは「デジタルのおかげで、かなりキャッチアップのスピードが上がってきておりますので、差別化できるような品質の良い製品を作っても、新しい形が次々と生まれてくると思います」と推測。さらに、製造業においては、デジタルによって、将来的に自社工場を持たない会社が増え、業界の姿そのものが変わっていく可能性があるとも予想しました。
番組では他にも、研究開発の知見を一元管理する「R&Dナレッジ管理基盤」や、クラレのDX人材育成について語る場面もありました。
次回2026年1月3日(土)の放送は、IoTニュース代表・小泉耕ニさんをゲストにお迎えして、2025年のデジタルシーンを振り返ります。
<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
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