脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。
この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
8月23日(土)の配信では「楽しいことをしているときに、仕事のことを思い出してしまう」というお悩み相談に答えました。

茂木健一郎「ネガティブな連想にダメ出しする必要はない」楽しい...の画像はこちら >>

パーソナリティの茂木健一郎



<リスナーからの質問>
私は楽しいことをしているときに、ふと仕事のことを思い出して嫌な気分になってしまうことがあります。楽しいことだけを考えたいのに、数秒経つと、また嫌なことに気持ちが引きずられてしまいます。家族が健康で、それは感謝すべきことだと思いますが、なぜか幸せな気持ちに浸ることができません。毎朝目覚めた瞬間から息苦しくなってしまう自分を変えたいです。

<茂木の回答>
今ある幸せや楽しいことに浸っていればいいのに、別のことを連想してしまう……とのことですが、実は、これは連想記憶が優れているのです。このこと自体は悪いことではありません。

ただ、私が思うのは、そこから感情が引きずられすぎなのかなと。例えば音楽ライブを楽しんでいるときに、ふと仕事のことを考える。これは全然OKです。しかし、連想することを否定するのはよくありません。
問題は、連想した結果、感情が引きずられすぎてしまうというところです。

これはどう対処すればいいのか。ちょっと意外に思われるかもしれませんが、ランニングや散歩などの運動をおすすめします。例えば、走っているときに仕事のことを思い出したとします。でも、脳は今走っていることに集中するので、安定化するんですよ。朝目覚めたときに息苦しくなってしまうとおっしゃっていますが、ひょっとすると横になったままではないでしょうか? 横になったままだと連想に感情が引きずられてしまうので、朝起きたらそのままコーヒーを入れるなど、ルーティンの動きを作ると、そんなに引きずられなくなります。実は、習慣化が大事なんです。

物事を考えているだけだと、どうしても安定化してくれないので運動をおすすめしますが、そんなに激しい運動でなくて大丈夫です。部屋の片づけや、散歩がてら近所のコンビニで買い物をしてくる程度でもいいでしょう。自分が心地よくできる習慣を身につけていただくと、脳は安定します。

また、自分がどうしてもネガティブな連想をしてしまうことに対して、ダメ出しをする必要はありません。ダメなことだと思ってしまうと、ネガティブなループに入ってしまうので、とにかく身体を動かすこと。
お坊さんもお寺では、掃除や座禅などの修行を通して、行動習慣の積み重ねをしていますよね。そういうものを通して、次第に煩悩というものが自分でコントロールできるようになっていくわけです。

あなたはすばらしい連想能力をお持ちなので、ぜひさまざまな運動や習慣を通して、脳を安定させていただけたらなと思います。

<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745
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