「あなたの小さい頃なんて、2歳にはもうおむつなんてしてなかったわよ」と、上から目線の母の言葉。
「今は紙おむつだから、濡れても本人は平気なの!」と反論しつつも、いつになったらおむつを卒業できるのか当時の私は内心ずっと心配していました。
一生懸命訓練すれば、おむつがとれる。親の努力が足りないといつまでたってもおむつがとれない。頑張り屋さんのママは、そう思っていませんか? でも、ちょっとカン違いかもしれませんよ。子供だって意志を持つ立派な人間なんです。
我が子は現在2歳と4歳。まずは4歳児長男の、おむつ卒業の軌跡を記します。
■4歳長男、おむつ卒業3歳9カ月
長男のおむつは長引きました。よく言えば意志の強い、悪く言えば言うことに耳を貸さないタイプで、私や先生のトイレへの誘導は最後までほとんど聞きませんでした。
しかし2歳ごろからパンツを履きはじめた時期もあったのです。この調子なら行けるかも!と嬉しく思っていると、いきなり「もうパンツはかない」と宣言。理由を聞くと「おもらしすると恥ずかしいから」とのこと。
おもらしなんて誰だってあるよ、大丈夫だよ、できるようになるよ!
必死にフォローしようとするもこちらの気持ちは彼に届かず、失敗をおそれた長男はそれ以降、3歳になってもパンツに手を伸ばすことはありませんでした。
お尻丸出しで出かけるわけにも行かず、しぶしぶおむつを用意する日々。「私は親として失格なのではないか」と自分を責めたりもしました。
そうこうするうちに保育園の同じクラスの子はみんなパンツに。先生にそのことを告げられても本人はわざと遠くを見て知らん顔。彼なりに気まずく感じてはいるようでしたが。
プライドが高いのか? 頑固なのか? 我が子ながらもうどうしていいかわからず、こんなんで将来やっていけるのかとどんどん心配は膨らんでいきました。
と、そんなある日……。
「今日からパンツ、はくことにする」と彼からお告げが! どうして今日、パンツにすることにしたのか? 先生も私も夫もまったく心当たりがありません。こちらはただ「そうですか。わかりました!」と答えるのみです。
それから彼いわく、「パンツが足りないからユニクロにいく」
これにも「はい、わかりました!」と夕方ユニクロに直行するのみ。パンツをしこたま仕入れ、帰ってきました。
その日以降、彼は本当に昨日までおむつだったのかというほど見事(!)におしっこし、難なくうんちもして(おまるですが)失敗もありませんでした。パンツになってからは夜もおねしょしたことがありません。今になってもこちらの誘導には耳を貸さず、必ず自分のタイミングで用を足しにいきます。
彼なりに、完全に失敗しない自信を得るまで待っていたのでしょうか。とにかく親の出る幕ないよねーとつくづく感じた長男のおむつはずれでした。
■トイレトレーニングって本当に必要?
我が家の事情はちょっと特殊だったかもしれません。しかし、おむつってトレーニングしないととれないのでしょうか?
トイレトレーニングしない親は怠慢だと言われるかもしれません。しかし、トイレトレーニングのおかげでおむつがとれたのか、それとも本人がパンツにしようと思ったからできたのか、どっちなんでしょう?
もちろんトレーニングのおかげで本人がおむつを卒業しようと思い始めた、とも考えられます。親の立場からすると、親自身ががんばったトレーニングの「おかげで」子供のおむつがとれたって思いがちなんですよね。だって、子供のためにこんなに頑張ったんですもん。
子供って、けっこう一人の人間としての思いや意志がありますよね。おむつに関しても「親の期待に応えないと」という気遣いを持つ子もいるかもしれません。
頑張りすぎるとつい見えなくなってしまうもの、それは子供の気持ちです。おむつが1日でも早くとれると嬉しいのは親。でも子供はどうでしょうか? 子供が自分の気持ちに素直になって、草木が伸びるように自然と成長できたらいいなとも思うのです。