先日、言わずと知れた国民的アイドル嵐の楽曲が、「Apple Music」や「Spotify」などサブスクリプションとよばれる定額制音楽配信サービスで配信が解禁されたことが話題になりました。そのほかにも近頃はスピッツや、星野源、Perfumeなど、人気アーティストの楽曲が続々と「サブスク解禁」されています。
解禁の流れに見る音楽業界の動き、そしていちリスナーである私たちの新しい音楽の聴き方についてみていきたいと思います。
■そもそも“サブスク解禁”ってなに!?
サブスクとは、サブスクリプションの略称で一般的に「定額制サービス」のことをいいます。商品やサービスに代金を払うのではなく、それを一定の期間利用できる権利にお金を払うビジネスモデルです。
月額料金など決まった金額を支払えば、その期間は好きなだけ自由に商品やサービスを利用できることになります。
例えば、「Netflix」や「Hulu」などは映画やドラマなどの映像作品を、他にも洋服、車、コインランドリーまで、近頃は様々なものでサブスクのサービスが広がっています。音楽業界では定額制聴き放題のサービスで楽曲を配信し始めることを「サブスク解禁」と呼び、大物アーティストの楽曲配信開始がニュースを賑わすようになったのです。なぜこれほど話題になるのでしょうか。
■これからの時代にぴったり!?変わっていく音楽の聴き方と売り方
これまで音楽は、CDを買ったり曲をダウンロードしたりと、商品にお金を支払う販売方法がほとんどでした。サブスク自体の市場が小さかったことや、CDの売り上げが落ちてしまう懸念などから、どこかサブスクでの音楽配信にはネガティブな印象があったように感じます。
けれどスマートフォンなどが普及して、「いつでもどこでも音楽を楽しみたい!」という私たちリスナーの音楽の聴き方とサブスクのサービスがマッチしたことで、どんどんサービスが広がっていったのだと考えられます。反対にCDの売り上げは年々減っています。
日本レコード協会が発表している過去10年間のCD販売数の推移を見ると(※1)、10年間でもっとも売れている2012年の21万5,169枚以降は毎年減少し、2018年は13万7,268枚と6割程度の売り上げになっています。
サブスクで音楽を配信すると、サービスの利用者は音楽を定額でいつでもどこでも聴けるので、今まで以上にたくさんの人に聴いてもらうことができます。活動休止を発表した嵐がサブスク解禁したことは、たとえCDのリリースやTVの露出が減っても、身近に音楽を感じてもらえるので、より一層ファンの心を掴んだのでしょう。
また世界中誰でも聴くことができるので、海外へ向けてのアピールにもつながります。実際に星野源はサブスク解禁のニュースと同時にワールドツアーを行うことも発表。サブスク解禁を機に”世界に通用するアーティスト”という箔がついた印象を受けます。
さらに何十年も過去の作品もすぐに聴くことができるので、当時CDを持っていた人も懐かしい音楽を聴き直し、またライブに足を運びたくなるきっかけになることも。簡単な操作で自分が聴いている音楽をSNSでシェアできるので、お気に入りの音楽を共有したり、思いも寄らないところから楽曲が話題になる可能性も秘めています。
つまりサブスク解禁は私たちが気軽に音楽を楽しめることに加え、アーティスト側にとっても売上げ以上にリスナーのもとへ音楽を届ける効果が期待できるのです。
■より自分らしく音楽を楽しむツールとして
2019年に行われた定額制音楽配信サービス利用動向に関する調査(※2)によると、日本でのサブスク利用はAmazonの「Prime Music」、「Apple Music」、「LINE MUSIC」、「Spotify」という順に利用者が多いことがわかります。「Prime Music」や「LINE MUSIC」は、Amazon Primeの会員になっている人やLINEのアカウントがある人など、すでに利用しているサービスとの互換性があるので、これまであまりサブスクで音楽を聴いたことがない人も使いやすいため人気だと考えられます。
「Apple Music」や「Spotify」は好きなアーティストという括りだけではなく、夜、海辺、ドライブなどそれぞれのシーンで聴きたい音楽などを集めたプレイリストが豊富です。自分が聴きたいものだけをカスタマイズすることもできますし、これまで知らなかった自分好みの音楽と出会うこともできます。より自分らしく音楽を楽しむツールとして、サブスクサービスはこれからの音楽の聴き方に必要なツールなのではないでしょうか。
■まとめ
大物アーティストが楽曲配信を開始することで度々話題となるサブスク=定額制音楽配信サービスは、いつでもどこでも自分らしく音楽を楽しむ時代にマッチした、音楽の聴き方だと言えます。みなさんも思い思いのサブスクサービスで音楽を楽しんでくださいね!
【参考】
(※1)『生産実績過去10年間オーディオレコードCD合計( https://www.riaj.or.jp/f/data/annual/ar_cd.html )』一般社団法人日本レコード協会
(※2)『2019年 定額制音楽配信サービス利用動向に関する調査( https://ictr.co.jp/report/20190508.html )』ICT総研

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