スポーツ品大手のミズノは24日、人権問題で懸念が広がる新疆ウイグル産の綿花使用を停止する方針を明らかにした。今後、新疆綿を使用してきた商品では違う素材への切り替えを検討しているという。



こういった動きはミズノだけでなく、既にカゴメやワールドも新疆産のトマトや綿の使用停止を発表しており、今後も日系企業の間で広がる可能性がある。



■日本企業に間接的経済摩擦のリスク



内部情報を知る人間ではないので、ミズノの経営陣がどういった理由で使用停止の決断を下したかは分からないが、おそらくユニクロのケースが念頭にあるのだろう。



昨今、ユニクロを巡っては、ウイグル問題が絡む形で男性用シャツが米国で輸入差し止めになっていることが明らかとなり、フランスではユニクロなどの企業が強制労働や人道に対する罪を隠匿している疑いがあるとして、現地NGOなどから刑事告発されたと報道された。



今後はユニクロ側の誠意ある発表が重要になるが、それは別として、重要なのは、ウイグル人権問題を理由に欧米が中国へ制裁措置を発動するなか、欧米と日系企業との間で間接的経済摩擦が生じていることである。



直接的経済摩擦とは、正に当事者間で生じる輸出入制限や関税引き上げなどだが、たとえ当事者ではなく第三者的な立場にいたとしても何かしらの影響を受ける恐れがある、それが間接的経済摩擦だ。



人権問題を重視するバイデン政権下の米中対立においては、ウイグル人権問題に由来する経済的影響も長期化するだろう。少なくともあと4年、2期目となれば8年、さらにはバイデン政権の後に同じく人権問題を重視する政権が発足するかもしれない。



そして、中国を最大の競争相手と位置づける米国のスタンスは、民主党・共和党問わず超党派的なものであり、米中対立が長期的に続くというスタンスで日本企業の経営者たちは経済安全保障を考える必要があろう。



■貿易制裁が太陽光発電関連にも及ぶ恐れ



折しも、バイデン政権で気候変動問題を担当するケリー大統領特使は5月、人権侵害が指摘される中国のウイグル問題に言及。



温暖化対策に欠かせない太陽光発電パネルの材料生産がウイグルでの強制労働により行われている恐れがあるとして、同製品を貿易制裁対象に指定するかどうか検討していると明らかにしている。



ウイグル問題を巡ってさらにその適用範囲が拡大することを意味しており、今後は太陽光発電関連製品を巡って日本企業の経済活動に影響が出てくる恐れもある。



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