家庭用ゲーム機大手の任天堂が6月29日、第81期定時株主総会を開催。その際の質疑応答の内容がツイッターで話題になっています。
公開されたやり取りでは、業績予想における為替レートの算出についての質問や、eスポーツの今後、サプライチェーン・マネジメントにおける人権の問題など、内容は多岐にわたるものでしたが、特にツイッター民の興味をひいたのが、ある投資家から投げかけられた下記の質問。
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任天堂の要職に就く方にはゲーム制作の技術がなかったとしても、せめてゲーム好きであってほしい。各取締役候補者の人となりを知るためにも、好きなゲームを教えてほしい。(第81期 定時株主総会 質疑応答PDFより引用)
任天堂の看板を背負うからには、仕事としてだけでなく、愛すべき対象としてゲームを見てほしい…そんな株主さんの心の声が聞こえてきそうですね。一方で、ゲームをどのくらい普段から愛でているのかは、数字の成績だけでは計り知ることができないもの。ごまかせない“踏み絵”として見ても、他のどの質問よりも厳しい内容に見えます。
懐かしのゲームが続々と…
それでは、特に話題となっている3名による返答を見ていきましょう。 まずは、取締役 専務執行役員である高橋伸也氏。「すべての自社ソフトの責任者ですので「これが好き」と選ぶのは、立場上難しい」としながらも、口から飛び出したのは『ふぁみこんむかし話 遊遊記』。1986年に発売され400万台以上を売り上げた懐かしの「ディスクシステム」向け名作のゲーム、突然の登場に、ツイッター民たちは「ディスクシステムへの愛情を感じました」「ふぁみこん遊遊記懐かしいw」と嬉しげ。
「実は一番遊んでいるのでは?」と思わされたのが取締役 上席執行役員の柴田聡氏の返答。最近クリアしたゲームとして2021年5月14日に発売の『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女』を、昔のゲームとして高橋氏と同じくディスクシステム向けゲーム『ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島』をチョイス。アドベンチャーゲームが好きという柴田氏の言葉を裏付ける選択が渋いですね。
■代表取締役社長・古川氏が最近遊んでいるのは…
最後に代表取締役社長である古川俊太郎氏。「自社のタイトルはだいたいプレイしているのですが」と忙しい中でもゲームを楽しんでいることを明かしつつ、2020年6月発売の『世界のアソビ大全51』で花札を最近は楽しんでいるそう。任天堂最初の事業が1889年からの花札の製造だったことを知るツイッター民の中には「花札の古川さんが大好きになりました」「最後が花札で締めるの任天堂らしきて良き」など好感を持つ人も。
新旧のゲームを各々楽しむ取締役の皆さんの言葉に、ツイッターでは「これが任天堂の強さってヤツだな」「なんか、さすが任天堂って感じ」「経営者の鑑かよ」と称賛の声が寄せられていました。
好調のNintendo Switch、累計販売数は8459万台に
ここで任天堂にまつわる最近の数字を簡単に振り返ってみましょう。5月6日に公表された「2021年3月期 決算短信」によれば、2021年3月期(20年4月~21年3月)通期売上高は1兆7589億円で前期比34.4%増、営業利益は6406億円で前期比81.8%増、「親会社株主に帰属する当期純利益」は4803億円で85.7%増と絶好調。
主力ハードである『Nintendo Switch』の販売実績は、2021年3月期、全世界で2883万台と過去最高。2017年に発売されてからの販売台数はうなぎのぼりで累計が8459万台となりました。
今回の質疑応答からは、コロナ禍における巣ごもり需要の追い風だけではない、任天堂の“強さ”の根元を読み取ることができます。
参考資料
- 任天堂「第81期定時株主総会質疑応答」( https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2021/qa2106.pdf )
- 任天堂「2021年3月期 決算短信」( https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2021/210506.pdf )
- 任天堂「Nintendo Switch 販売台数ヒストリカルデータ」( https://www.nintendo.co.jp/ir/finance/historical_data/index.html )
- 任天堂「ディスクシステムとは?」( https://www.nintendo.co.jp/nom/0408/what/ )