野菜や果物、魚もそうですが、その季節にならないと味わえなかったりするものがありますね。



今日取り上げる「柚子(ゆず)」もそのひとつ。

冬が旬のゆずは香りが高く、ゆずの皮を少し添えるだけで風味が格段にアップします。



本日はガーデニング歴20年のLIMO編集部員が「柚子(ゆず)の育て方」についてご紹介します。



■鉢植えで育てる「柚子(ゆず)」



  • ミカン科
  • 常緑小高木
  • 日本の主な生産地:高知県、徳島県、愛媛県
  • 参考価格:2年生苗で2000~3000円程度

冬になると俄然出番が増えてくゆず。お鍋にゆずの皮を入れて楽しんだり、ゆずジャム、ゆずティー、ゆずぽんず、ゆずコショウなど、いろいろな食べ方があります。



冬至にはお風呂に入れて楽しむ習慣もありますね。



ゆずが出回るシーズンは冬。冬至に近くなると、店頭でも目立つところで見かけますが、それ以外だとなかなか手に入れることはできません。そういう意味でも季節性の高い果実と言えるでしょう。



ちょっとだけゆずが欲しいなという時に自宅で収穫できたら、料理にも活用できて食卓も華やぎますね。



ゆずは鉢植えでも栽培が可能。植える場所がないという方でも、庭先やベランダでゆずを育てることができます。寒くなったときも移動させることができるので安心です。



■苗の購入方法は?



柑橘類の苗は秋から出回り、ホームセンターや大きな花屋さんの果樹コーナーで手に入れることができます。



おすすめは果樹販売を専門にしているネットショップ。苗木に関する情報や育て方などが詳しく載っているところもあります。生産者や販売者の方が見えるので安心感もありますよ。



デメリットは、実物を見て購入できないという点。どんな苗木が送られてくるか、事前に確認できないのは心配ですよね。いろいろなサイトがありますので、比較してみるとよいでしょう。



秋から春までのシーズンは苗木の販売シーズンとはいえ、多くの植物にとっては休眠期。ゆずにとっても成長をストップする時期です。環境によっては葉を落とすこともあります。



店頭で葉がまばらな苗木を見て、心配な場合もあるかもしれませんが、きちんと管理されている苗木なら暖かくなると芽吹いてきます。



■どんな土を使う?



土は水はけや水もちがよいものを選びます。

柑橘類専用の土も販売されているので、土にこだわりたい方や初心者の方は専用の土を使うと手軽で安心です。



■植えつけは?



接ぎ木をして1年めの苗を1年生苗といい、背も低く値段が安いのが特徴です。1年生苗を購入した場合、植えつけは春を待ってからおこなうほうがよいでしょう。1年生以外の苗木も春が適期です。



どうしても冬に植えつけたいという場合は、2年生以上の苗で、関東以南の暖かい気候であれば可能です。



苗木よりひと回り大きい鉢と土が準備できたら、冬の休眠期に植えつける場合は根を少し広げてあげて植えつけましょう。無理に広げる必要はありません。



成長期である春に植えつけをする場合は、根を崩さないように植えます。



接ぎ木部分は土に埋めないようにします。植え付け後はたっぷり水をあげましょう。土がどろどろになるくらいあげてくださいね。



■管理は?



品種にもよりますが、ゆずは寒いところが苦手です。

柑橘類の中では耐寒性が強いほうですが、暖かく日当たりがよいところを好みます。冬は寒風が吹きつけないところで育てるようにします。



寒い時期に外で育てるなら、株の周りにわらを敷いてあげたり、バークチップ(松などの樹皮を砕いたもので軽く硬い)などでマルチングをして、寒さ対策をしてあげるとよいでしょう。



場合によっては室内に入れてあげても問題ありません。そのときは日当たりがよいところに置くようにします。



ゆずは長く鋭いトゲがあります。室内で育てるときは十分に注意しましょう。トゲはハサミで切っても大丈夫です。トゲなしゆずの品種もあるので、気になる方はこちらを購入してもよいでしょう。



■ゆずの肥料は?



花がつき始めたら、肥料をあげるようにします。柑橘類専用の肥料が販売されているので、記載の使用方法に従い、肥料を施します。



■収穫までのお世話は?



ゆずの葉は一見すると通常の楕円に見えるのですが、よくみると途中にくびれがあり、2枚連結したような形をしています。

ゆずの葉はアゲハチョウが好んで食べます。葉が茂り始めたら、よく観察して見つけたら取り除きましょう。



葉の茂り方によって収穫量や風味が左右されるので、できるだけ葉を多く確保するようにします。順調に生育すれば、春から初夏にかけて白いかわいい花を咲かせます。



花が多く咲き、実がたくさんできると自分から実を落とす場合があります。これは「生理落果」という自然現象の可能性があります。この場合はあまり心配はいりません。



花が咲いた後は、夏から秋にかけて実がなります。収穫適期は秋から冬です。



■その他の注意点は?



ゆずは接ぎ木苗で育てると3~5年程度で結実すると言われています。苗を買って植えても、若い苗木だとすぐには結実しない可能性があります。気長に育てる根気も必要です。



また、すみずみまで日光を行き渡らせ、結実しやすくするために剪定作業が必要になります。主幹からそれぞれ異なる方向へ斜め上に伸びた3本を主枝とする開心自然形に仕立てます。



この作業は4年めくらいまでに行い、樹形を完成させます。剪定の適期は3~4月です。



ただ、剪定は初心者の方には難しい作業でもあります。ある程度大きく育ってから、各枝に日光が当たるように樹形を整えても問題ありません。その場合も、斜め上に向いたしっかりとした枝を残すようにして、日光が当たらず葉が枯れてしまうような枝は整理します。



柑橘類の木は実をつけた枝には、翌年実はなりません。前の年に新しくのびた枝に花芽がつきます。剪定のときはこの点に注意する必要があります。



■まとめにかえて



ゆずは観葉植物として育てることも可能です。あざやかな緑葉や白い花が目を楽しませてくれることでしょう。

花や葉から漂う柑橘類のフレッシュな香りもまた格別です。



実をつけるためには、しっかりとした日当たりやお世話が必要ですが、自宅でゆずが収穫できるのはなんともいえない風情があります。興味がある方はぜひチャレンジしてみてくださいね。



参考資料

農林水産省「特産果樹生産動態等調査 / 確報 平成30年産特産果樹生産動態等調査」( https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00500503&tstat=000001020907&cycle=7&year=20180&month=0&tclass1=000001032892&tclass2=000001150626 )



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