コロナ禍となり2年が経過しました。周りでも「陽性者」や「濃厚接触者」になった方がいらっしゃると思います。



中には自分自身が陽性となり、自宅療養を経験した方もいるのではないでしょうか。



入院とまではいかなくとも、自宅療養で仕事を休んでいた方にとっては、経済的な不安を感じることもあったかと思います。



実は民間の医療保険の中には、「新型コロナウィルスに罹り自宅療養をした際にも、入院給付金が受け取れる」ケースがあるのです。



「自分が加入している保険は対象なのか」「さかのぼって申請できるのか」「濃厚接触でも対象になるのか…」などなど、気になる内容について解説します。



■医療保険とは?自分の保障内容の確認方法



民間の医療保険とは、病気やケガで入院・手術をした際に、契約時に定めた給付金が受け取れる保険のことです。



生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、疾病入院給付金が支払われる生命保険の加入率は73.1%。



死亡保険が63.1%なので、それよりも多くの方が医療保険に加入していることになります。



しかし全員が自分の保障内容をしっかり把握できているわけではなく、中には新社会人になったタイミングで勧誘を受け、内容をあまり理解しないまま加入しっぱなし…という方も。



一昔前の保険は「入院して5日目から給付金がおりる」など一定期間入院してから支払われるタイプが主流でしたが、最近の保険は1日目から支払われる商品がほとんどです。



保障内容は必ず保険証券に記載されているので、「どのような場合、いつから、1日あたりいくら受け取れるのか」を確認しましょう。



不明な点は保険会社や保険代理店の担当者、コールセンターに聞くのが確実です。



■「コロナで自宅療養」でも入院給付金が受け取れる場合



新型コロナウィルスに罹患したものの、病床が満員で「ホテル療養や自宅療養」を強いられることがあります。



各保険会社からは、これら「ホテル療養や自宅療養でも入院給付金の対象とする」という旨のプレスリリースが次々と公表されました。



例えば日本生命の場合、



新型コロナウィルス感染症に罹患された場合で、医療機関の事情などにより、自宅またはその他病院などと同等とみなされる施設で治療を受けられる場合も、その治療期間に関する保健所等発行の証明書(入院勧告書または就業制限・解除通知等)などをご提出いただくことで、入院給付金等のお支払いの対象としてお取扱いします。



と発表されました。



また第一生命でも



新型コロナウィルス感染症と診断され、臨時施設(病院と同等とみなせる施設)、または宿泊施設や自宅にて医師等の管理下で療養している場合は、「入院」として取扱い、医師の証明書等をご提出いただくことで入院給付金等の支払い対象となります。



との公表がありました。



その他の保険会社でも同様の発表が行われているため、該当する保険に加入している場合は自宅療養でも入院給付金を受け取れる可能性があります。 



■さかのぼって「入院給付金」の請求はできる?



すでに自宅療養を終えている場合、請求せずに見逃していたケースも考えられます。



その場合、約款で定められた期間まではさかのぼって請求できます。そうはいっても約款は難しくて読み取りにくいため、担当窓口に確認するのが確実でしょう。



ただし、保健所等の証明書が必要になります。現在保健所はコロナ関連の対応に追われているため、証明書の発行にも時間がかかる地域が多いです。



こうした状況を踏まえ、請求は余裕をもって行うことが必要です。



■「濃厚接触」でも入院給付金の対象になる?



濃厚接触に該当した場合、会社から自宅待機を命じられることがほとんどです。



しかし入院給付金が支払われるのはあくまでも「病院などと同等とみなされる施設で治療を受けられる場合」に限定されるため、治療の必要がない濃厚接触者の場合は、保障の対象外になります。



■いざという時の保険、保障内容はしっかり確認しておく



新型コロナウィルスに罹り自宅療養となった場合でも、医療保険の入院給付金が受け取れる可能性があることを知らない方は、意外に多いです。



加入している保険の保障内容については、契約時にきちんと説明されているものの、時間の経過とともにその内容を忘れてしまう方も多いですよね。



今回のように「実は受け取れるはずなのに見逃していた!」というケースがないよう、加入している保険の内容については定期的に見直しておきたいものです。



また保険を見直すことで、不要な保障に気づくことも少なくありません。



例えば住宅を購入して団体信用生命保険に加入しているにも関わらず、高額な死亡保険に加入したままというケースがよくあります。



保険金額を下げることで毎月の保険料を減らせるにも関わらず、うっかり見逃していることに。



反対に子どもが増えて保障が必要なのにも関わらず、結婚当初の保険のままというケースも見受けられます。



保障が足りない、あるいは過剰になっていては、本来の役割が果たせないことにもつながります。



これを機に、加入している保険の内容をじっくり見直してみてはいかがでしょうか。



■参考資料



  • 生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」( https://www.jili.or.jp/research/chousa/1320.html )
  • 日本生命保険相互会社「新型コロナウイルス感染症に関するお知らせ」( https://www.nissay.co.jp/coronavirusoshirase/ )
  • 第一生命保険株式会社「新型コロナウイルス感染症」に関連したご案内等について」2021年6月21日( https://www.dai-ichi-life.co.jp/information/pdf/index_038.pdf )
編集部おすすめ