■不動産投資の利回りを正しく理解する【6月25日は住宅デー】
不動産投資の利回りとは、投資した額に対してどれくらいの収益が得られるかを示す割合です。この利回りが高いほど多くの収益が得られる可能性が高く、物件購入では重要な判断材料になります。
しかしこの利回りにはいくつか種類があり、よく理解したうえで見るようにしないと、購入した物件が思ったより利益を生まないという事態になりかねません。
そこでこの記事では不動産投資の利回りの種類や特徴、そしてリスクを回避しやすくする利回りの見方をお伝えします。
■1. 不動産投資「表面利回り」は収益のみで計算
代表的な利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。表面利回りは、投資元本と年間の家賃収入のみで次のように計算します。
- 表面利回り(%)=年間家賃収入÷投資元本×100
投資物件のネット広告や不動産会社の物件資料に掲載されているのは、一般的にこの表面利回りです。
■2. 不動産投資「実質利回り」は経費も考慮
もう一つの実質利回りは、年間の家賃収入から諸経費を差し引き投資元本で割ります。
- 実質利回り(%)=(年間家賃収入-諸経費)÷投資元本×100
この実質利回りは諸経費を考慮しているため、より現実的な不動産投資の指標になると言われています。この諸経費には主に固定資産税や、修繕費管理費などが含まれます。
■3. 不動産投資「平均利回り」は参考にならない
ではこの利回りの平均はどれくらいなのでしょうか。投資用不動産物件の情報を扱う「健美家」の資料によると、全国平均の表面利回りは下の表のようになっています。
出所:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )「収益物件市場動向マンスリーレポート 2022年5月期」( https://www.kenbiya.com/img/press/pre2022-06-01.pdf )より抽出
さらに実質利回りの平均も気になるところですが、ネット上では4%や6%など情報の出所によってかなり差があります。それもそのはずで実質利回りで計算する諸経費は、物件ごとで大きく変わるからです。
例えば修繕費は築年数が古いほど高額になり、家賃収入から差し引く割合が大きくなります。また土地の固定資産税も都心と地方の差が大きく、実質利回りの平均を知ってもあまり物件選びの参考になりません。
そのため実際の物件購入では、その建物ごとの実質利回りを管理会社に確認した方が間違いないでしょう。
■4. 不動産投資「想定利回りと現行利回り」も重要
さらにこの利回りの種類で知っておきたいのが、想定利回りと現行利回りです。
想定利回りとは、その物件が満室状態で得られる家賃収入の利回りです。
一方の現行利回りは現在の入居状態で計算します。例えば10室あるうち7室が埋まっているなら、その7室分の家賃収入で計算した利回りになります。
不動産投資物件の広告に掲載される利回りは、前者の満室状態で計算する想定利回りが一般的です。
現実的な利回りとは異なることもあるため、できる限り想定利回りで物件購入を検討したいところです。こちらも物件ごとに現行利回りを、直接管理会社に確認するようにしましょう。
■5. 不動産投資「利回りが高く価格は安い」物件は注意
投資物件選びでは、できるだけ高い利回りの物件を探せば良いかと言うとそうとも限りません。
周辺の相場より利回りが高い場合は、家賃は平均的で価格が安いというケースもあります。
例えば同じ地域に、月10万円の家賃で年間収入が同じ120万円、物件価格が3000万円と2000万円の2つの物件があったとします。3000万円の物件の利回りは、120万円÷3000万円=4%です。一方の2000万円の物件は120万円÷2000万円=6%であり、価格が安く高利回りということになります。
しかしそういった物件は建物の劣化が激しかったり、周囲に大きな音やにおいを出す施設があったりと、何か欠点が隠れているかもしれません。すぐに購入を判断せず、物件の状態や周囲の環境をじっくり調べ慎重に判断した方が良いでしょう。
■6. 不動産投資「利回り」だけでなく需要もポイント
そして利回りとともにしっかり確かめておきたいのが、不動産投資の基本である空室になりにくいかどうかです。いくら高い利回りを掲げていても、空室になってしまえば収益は発生しません。
地方に行くと物件価格が安めになり、中には高い利回りの物件も出てきます。しかし仮に賃貸需要を支える地域の企業が撤退してしまえば、一気に空室だらけになるリスクがあります。
そのため首都圏のように賃貸需要が下がりにくい地域の物件を選んだ方が、利回りが多少低くても安定して収益が生まれることが期待できます。
■7. 不動産投資は「本当に役立つ利回り」を確かめるべき
不動産投資の物件購入では広告にある表面利回りだけでなく、現実の収益に近い実質利回りや現行利回りも基準にしたいところです。
しかし実質利回りなどは物件ごとの違いが大きいため、検討する物件を管理する管理会社などに直接確かめる必要があります。そうした一手間を惜しまないことが、投資の失敗を防ぎやすくすると言えるでしょう。
■参考資料
- 不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )「収益物件市場動向マンスリーレポート 2022年5月期」( https://www.kenbiya.com/img/press/pre2022-06-01.pdf )

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