■真似することでわかる倹約方法
野村総合研究所の資料によると、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の方を「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と分類しています。

出所:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」
富裕層だけをピックアップすると124万世帯のため、全体に占める割合は約2%となります。
ちなみに、同資料は2019年の調査であるため、その後の世界株価や不動産価格が高騰したことをふまえると、富裕層の割合は増えているかもしれません。
ただし、1億円あったとしても、使ってしまえば当然無くなるのがお金です。
筆者が証券会社の勤務時代に関わってきた富裕層の方でも、すべての生活水準を上げるのではなく、「価値のあるものに対してお金を使う」という目的がはっきりしている方が多くいらっしゃいました。
支出と節約を上手に使い分けていたからこそ、着実に資産が増えていらっしゃるのだなと感じたものです。
今回は、富裕層となる方はどのようなことを考え行動しているのか、そのポイントをくわしく見ていきましょう。
■富裕層の意識は「節約」よりも「倹約」寄り
光村教育図書の小学新国語辞典 改訂版によると、「節約」は無駄にせず、切り詰めること。一方、「倹約」とは、無駄遣いをしないこととされます。
どちらも似ていますが、支出する際に何でもかんでも切り詰めるのではなく、倹約の方は「不要・無駄な出費はしない」という目的がしっかりしています。
富裕層は、お金をつかう時には「本当にそれが自身にとって必要なものなのか」「それを得ることでの幸福度は高まるのか」「それは一時のものではないか」など、「必要な支出か・浪費か」を考えて使います。
■富裕層が「倹約する共通点」3つを紹介
では、富裕層の方が、どのようなところを倹約しているのかを3つご紹介します。
■洋服はユニクロ!?
まず1つ目の共通点は、「服装」についてです。
倹約と対象的なのが、ブランド服などの浪費。
服はあくまで機能重視という方が多いのかもしれません。また、ブランド物を購入するなどの物質的豊かさはすぐに飽きてしまうということもあるでしょう。
■できるだけコンビニやファーストフード店を利用しない
次の共通点が、「食事」についてです。今の御時世、コンビニやファーストフード店はすごく便利ですよね。
スマホひとつで料理を届けてくれるサービスもあります。
ただ、富裕層の方の多くはそうしたお店を利用しない方が多かったです。
コンビニやファーストフード店で体に悪いものを買って食べるより、スーパーや八百屋などで食材を買い、新鮮なものを健康的に食べている方が多かったです。
実は、富裕層の方は健康意識も非常に高いのです。
■手数料・会費は極力払わない
次の共通点は、「手数料」についてです。お会いした富裕層の方が気にしていたのが「手数料」です。
今はコンビニですぐにATMを利用できる時代です。
しかし富裕層の方たちは手数料の高いコンビニは利用しない、休日や時間外に使わないと徹底しており、できるだけ手数料を払わないように気をつけています。
また、「会費」も同じです。会費を払うことで得られるサービスが本当に有るのかを見定めて利用している方が多かった印象です。
手数料や年会費は大きな出費ではないかも知れません。しかし、塵も積もれば山となるもの。本来極力払わないように工夫できるものです。
小さな金額でも、不要なものに払わないという意識は大切でしょう。
■富裕層が高級品を購入するなら「投資目的」で選ぶ
では、富裕層が逆にお金をかけているものはどんなものなのでしょうか。
富裕層が高級なものを購入する際には「投資目的の資産」として見る目線も忘れません。いま購入したものが、将来どれくらいの価値で売却できるかを考えます。
時計や車の中には値崩れしにくいものもあります。
例えばロレックスは現在も価格が高騰しており、種類によってはなかなか手に入れることができない時計の一つです。
こうしたものを購入し、大切に使い、使わなくなったら高値で売却する方も多くいらっしゃいました。
購入価格よりも売却価格の方が高くなる見込みのあるものは「資産」となるのです。
■「富裕層の考え方や見方」を取り入れてみよう
いかがでしたでしょうか。高級品をいきなり購入するのは難しいですが、「倹約」は今日からできそうですね。
「投資の神様」で有名なウォーレン・バフェット氏は、「倹約家」としても有名です。例えば、クレジットカードはAMEXグリーンカード(一般カード)、車はSUBARUを愛車にしているそうです。
彼と同じように、今あるお金を一時のためにつかわず「必要な支出か・浪費か」を判断したうえで、将来のために倹約したあとは貯蓄し、投資してみましょう。
ポイントは、「成長する資産」に「長期」で「積立」し続けることです。はじめのうちは「複利効果」は小さいですが、いずれ大きくなり資産が増えていると実感できる時が来るでしょう。
資産をつくるには一朝一夕では完成しません。大きな資産をつくるには長い期間が必要となるものです。
まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
■参考資料
- 野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」( https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2020/cc/1221_1 )