クラウドファンディング事業などを手掛けるREADYFORは2022年7月13日、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、第一生命保険、フォースタートアップスキャピタルを引受先として第三者割当増資を実施し、総額17億円の資金を調達したと発表しました。

これによって同社の累計調達額は約33億円に達したとしています。



クラウドファンディングに関しては、メディアでの露出増加などを背景に近年注目度が高まっており、中には上場する企業も出てきています。

しかし、伝統的な投資形態とは異なる部分があり、注意が必要な点もあります。



そこで今回は、クラウドファンディングの概要を説明したうえで、株式投資との違いについても解説していきます。



■クラウドファンディングとは



クラウドファンディングとは、群衆(クラウド)と資金調達(ファンディング)を組み合わせた造語で、数多くの人々から資金を募ることを指します。



近年ではインターネット上で事業計画と併せて募集案件が公開されるケースが多く、出資者は興味のある案件に対してネット上で気軽に出資することができます。



資金調達者は法人・個人両方のケースがあります。



調達額は数十万円から数千万円ほどで、小規模なビジネスに関連して活用されるケースが多いです。



そのほか、資金調達者と出資者が直接やり取りできる場が設けられるケースもあり、近年のSNSブームの環境も重なって、両者の距離感の近さを魅力と考える人もいます。



クラウドファンディングへの投資に対するリターンは、その事業に関連した商品やサービスに関するものが提供されるケースが多いです。



■クラウドファンディングと株式投資との違いとは



「出資し、事業を加速させ、リターンをもらう」という点においては、クラウドファンディングと株式投資は似ています。



しかし、より具体的に見てみると、異なる点も複数あります。



■リターンをキャッシュ以外でもらうケースが多い



既述の通り、クラウドファンディングのリターンはその事業に関する商品やサービスに関連するものが多く、現金でリターンを得られるケースは限られています。



また、クラウドファンディングで資金を募集する事業は独自性の高いものが多く、その商品・サービスに対するニーズがニッチである可能性もあります。



この場合、リターンとして受け取った商品などを第三者に売却する場合、買い手を見つけられない可能性もあります。



■出資するものの、支配権は弱い



株式投資の場合、株式を買った人は株主として会社の所有権を有し、株主総会を通じて会社の意思決定に参画できます。



業績が改善せず、「経営者が無能」と思われた場合には、株主総会の決議を通じて取締役を解任することも可能です。



しかし、クラウドファンディングの場合は資金調達者を随時コントロール・モニタリングすることが難しいです。



募集時におおよその事業計画は開示され、その計画に沿わない活動が行われた場合、資金調達者は運営会社に罰せられるといったケースはあります。



しかし、その事業のかじ取り自体に出資者がメスを入れられるケースは非常に少ないです。



資金調達者が出資者の意に反した活動を行っても、それを出資者側から強制的に修正することはできないということになります。



■市場がない



上場企業の株式に関して、株式投資では「市場」が存在します。



その結果、期待されるリターンと見比べて「今の株価は妥当か?」という軸で、日々価格は多くの市場参加者によって調整されます。



その点で、市場の存在は一定程度「フェアな投資」の実現に貢献していると言えます。



一方、クラウドファンディングの場合、そういった市場は存在しません。



そのため、「この事業に1万円投資してくれたら、この商品を提供します」といった、投資額とリターンの妥当性については、出資者個々人が自力で判断せざるを得ません。



■まとめにかえて



急拡大する、クラウドファンディングの業界。



しかし、伝統的な投資と異なる分、注意しなければならない点もあります。



クラウドファンディングへの投資を検討される際は、是非とも参考にしていただければ幸いです。



■参考資料



  • READYFOR株式会社「READYFORがシリーズCラウンドで総額17億円の第三者割当増資を実施」( https://corp.readyfor.jp/news/20220713 )
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