1-3月期決算は予想通り、「スノウブレイク」好調でゲーム収益見通し上向く
現地コード 銘柄名 03888金山軟件
(キングソフト)
株価 情報種類
25.60HKD
(5/23現在)



中国のオンラインゲーム・オフィスソフト大手、キングソフトの2024年1-3月期決算はほぼ市場の予想通りの内容だった。「スノウブレイク:禁域降臨」の好調がその他ゲームの低調をカバーした形。
1-3月期決算は売上高が前年同期比8%増の21億元、粗利益率が前四半期を0.6ポイント下回る81.5%。ゲーム事業の不振で市場予想をそれぞれ3%、0.9ポイント下回った。営業利益率は前四半期比2.8ポイント低い28.2%だったが、新作ゲームの販促費抑制がAI研究開発費の増大を相殺。純利益は前年同期比48%増の2億8,500万元に達した。
ゲーム部門を見ると、1-3月期の売上高は前年同期比1%減の9億1,200万元。既存タイトルの経年による自然減収を、2023年下期にリリースした新作がカバーした。BOCIは4月17日-5月16日の一部売上データ(Diandian発表)から試算し、アニメ系シューティングゲーム「スノウブレイク:禁域降臨」の世界のクロスプラットフォーム上での売上高が、この30日間に1,360万米ドルを超えた可能性を指摘。
オフィスソフト部門の1-3月期の売上高は、契約者数の増加とARPU(契約者1人当たり月額収入)の伸びを背景に、前年同期比17%増の12億2,500万元。BOCIは米マイクロソフトによるCopilotのアップグレードが、キングソフトのAI機能のさらなる強化につながる可能性を指摘。同時に、AI APIの大幅値下げや無料化によるプラス効果を見込む。
BOCIはオフィスソフトおよびクラウド業務について、2024年予想PSR(株価売上高倍率)16倍、1.2倍をあてはめ、オンラインゲームに関しては同年予想PER(株価収益率)9倍を適用。さらに35%の持株会社ディスカウントを適用し、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を小幅に引き上げた。
レーティング面の潜在リスク要因としては、単一ゲームへの依存度の高さや「信創」(IT応用イノベーション:中国当局による国産技術の優先的調達システム)ビジネスの短期的な不透明感、コラボレーションソフト市場での競争、AI製品の開発などを挙げている。
(Bank of China int.)