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著者の土信田 雅之が解説しています。
「 【テクニカル分析】今週の日本株 新年相場は「上昇ライン」への復帰が焦点~意外と弱気な米国株のムード転換がカギ~<チャートで振り返る先週の株式市場と今週の見通し> 」
国内株市場は今週6日(月)より2025年相場がスタートです。
昨年(2024年)末にかけての日経平均株価は、4万円台を回復する場面を見せるなど、「悪くない」状況だっただけに、新年相場はこの4万円台の定着、そして、さらに上を目指す動きにつなげることができるかに期待したいところです。
そこで、今回のレポートでは、国内株市場が休場だった期間の米国株市場の動きや、今週のポイントなどを整理し、その可能性について考えて行きたいと思います。
日経225先物取引の状況からは、株価水準を切り下げてのスタートが予想される
まずは、昨年末(2024年12月30日)の日経平均の状況から見て行きます。
図1 日経平均(日足)の動き(2024年12月30日時点)
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昨年末12月30日の日経平均は3万9,894円で取引を終えました。前営業日にあたる27日(金)の終値が4万0,281円となっており、年末株高のアノマリー(経験則)である、「*掉尾の一振」を想起させるような値動きとなりました。
*掉尾の一振(とうびのいっしん):年末最後の売買日となる「大納会」に向けて株価が上昇する様子
結局、10月から続いていたレンジ相場内に株価を戻して2024年相場を終えてしまいましたが、この27日(金)の上昇は、短期的なトレンドにおいて、重要な意味を持っています。
図2 日経平均(日足)の動き その2(2024年12月30日時点)
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上の図2は先ほどの図1に複数のトレンドラインを書き加えたもので、昨年12月23日付のレポート「 [今週の日本株]今年の「掉尾の一振」への期待度は?~2024年は株価上昇の意味が問われる年末に~ 」でも紹介しました。
注目するのは、昨年8月5日の安値と10月15日の高値を起点とする上向きの「ギャン・アングル」です。株価がレンジ相場を続ける中、12月頃に「2×1」ラインにタッチし、しばらくその線に沿って上昇していたのが、12月23日のレポートで紹介した時点ではその傾向が崩れ、「3×1」ラインに向かう可能性について指摘していました。
それが、年末にかけての株価上昇によって、再び「2×1」ラインに近づいたこと、そして、ギャン・アングルの起点にもなっている10月15日の高値を超えたことも、トレンドが上向きへの意識を強めるきっかけになったと考えられます。
しかし、国内株市場が休場だった期間のCME(シカゴ先物取引所)の日経225先物取引の値動きをチェックすると、1月3日(金)時点の終値が3万9,530円と、若干株価水準を切り下げていますので、新年相場の日経平均は、その切り下げたギャップを埋められるかが最初のハードルになります(下の図3)。
図3 日経225先物(CME)(日足)の動き(2025年1月3日時点)
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年末年始の米国株の動きは?
続いて、年末年始の米国株市場の動きも確認していきますが、結論から言ってしまうと、米国株の強さについては「微妙だった」と言えます。
図4 米NYダウ(日足)とMACD(2025年1月3日時点)
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上の図4はダウ工業株30種平均(NYダウ)の日足チャートですが、年末年始にかけて軟調気味に推移する場面が目立ちました。株価は50日移動平均線より下に位置しているほか、下段のMACDも「0ドル」ラインを下抜ける格好となっています。
また、株価水準も昨年12月4日に4万5,000ドル台の高値をつけて以降、下落基調となり、現在は11月5日の米大統領選挙時のところまで切り下げています。
図5 米S&P500(日足)とMACD(2025年1月3日時点)
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同じく、年末年始の米S&P500種指数(S&P500)も軟調気味に推移しています。株価が50日移動平均線より下に位置していることや、下段のMACDが「0p」ラインを下回っている点は、先程のNYダウと共通しています。
図6 米ナスダック総合指数(日足)とMACD(2025年1月3日時点)
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そして、対照的なのがナスダック総合指数(ナスダック)です。年末年始の値動きはNYダウやS&P500と同じく冴えないものとなりましたが、50日移動平均線がサポートになっていることをはじめ、株価水準も、昨年11月5日の米大統領選挙時よりもかなり高いところに位置しています。下段のMACDも「0p」ラインより上をキープするなど、値を保っている印象となっています。
こうしたナスダックの堅調さは、指数を牽引している「M7(マグニフィセントセブン)」銘柄の値動きがしっかりしていたことが背景にあります(下の図7)。
図7 「M7(マグニフィセントセブン)」銘柄のパフォーマンス比較(2023年末を100)
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しばらくは、大型銘柄が相場を支える展開も見込まれますが、一部の銘柄に資金が集中することに対する危うさがあるほか、米国株市場全体では、弱気ムードがやや優勢となっています。
図8 米S&P500(日足)と「恐怖と貪欲指数」(2025年1月3日時点)
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上の図8はS&P500(日足)と、「恐怖と貪欲指数」の推移を示したものです。
「恐怖と貪欲指数」については、2024年10月18日の「 強い米国株、「恐怖と貪欲指数」から読む相場ムード ~売買ポイントはどこか?~ 」で紹介しているので、細かい説明は省きますが、先週末1月3日時点の値は32となっており、市場全体のムードはやや恐怖に傾いていて、現時点で積極的に株価の上値を追う状況になっていません。
米国株が全体として再び上昇基調に戻すには、足元で高止まりしている米金利が低下していくことが必要になります。下の図9を見ても分かるように、年末年始の米10年債利回りは4.5%台での推移が続き、米金利が高止まりしていることが読み取れます。
図9 米10年債利回り(日足)の推移(2025年1月3日時点)
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今週は国内企業決算と米雇用統計に注目
したがって、今週の国内株市場は、年末年始の米国市場が微妙だったことや、今週末の10日(金)に注目の米雇用統計(12月分)が控えているというスケジュール感もあって、積極的に上値をトライするというよりは、様子を見ながら、水準感を探って行く展開になりやすいと思われます。
とりわけ、米国では「経済指標などの景況感を手掛かりに金融政策への思惑が働き、金利が動いて、株式市場が反応する」という展開が想定されそうです。
国内株市場では、米金利の高止まりによって、為替市場が円安になり、輸出関連株が買われる展開も想定されますが、さらなる円安は為替介入や、日本銀行(日銀)の利上げを想起させるほか、米金利の高止まりは米経済や米株市場にとってネガティブに働いているため、いわゆる「円安効果」は限定的になるかもしれません。
また、今週の国内市場では、 ファーストリテイリング(9983) をはじめ、 セブン&アイホールディングス(3382) 、 安川電機(6506) 、 良品計画(7453) 、 エービーシー・マート(2670) などの決算が予定されています。
小売関連銘柄が比較的多いこともあり、「原材料や人件費などのコスト増をこなして、しっかり利益をあげられるか」が注目されそうなほか、バイデン米大統領がUSスチール買収の中止命令を発したことを受けた 日本製鉄(5401) など、個別銘柄の動きも相場のムードに影響を与えそうです。
さらに、週末の10日(金)は株価指数mini先物取引およびオプション取引のSQ日でもあり、需給的に株価が動きやすいことも押さえておく必要があります。
このように、今週は意外と材料が多く、「見極めるために様子見」なのか、「思った以上に相場が動いてしまう」のか、難易度の高い新年相場となりそうです。
(土信田 雅之)