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著者の荒地 潤が解説しています。
「 11/22「リスクオフで円高。週末はドル/円の下値探る動きか」 」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは155.35円↓下値メドは153.85円インド:インドの製造業に中国と競合するほどの力はない
スウェーデン:大幅利下げ。SEK安防衛のための金融引き締めで経済悪化
ブラジル:ブラジル中銀の利上げ余力は限界。最大0.5%しか残っていない
南ア経済:インフレ率が2021年4月以来初めて、南ア中銀目標値の4.5%に近づく
バングラデシュ:世界第2位の衣料品輸出国であるバングラデシュの政治不安で、国際的トップ・ファッション・ブランドが発注先を東南アジアに変更。同国の経済に打撃
前日の市況
11月21日(木曜)のドル/円相場の終値は154.53円。前日終値比0.90円の「円高」だった。
この日も、地政学リスクと日米の金利動向がマーケットの材料となった。

2024年234営業日目は155.31円からスタートして、東京時間朝につけた155.40円がこの日の高値となった。円安に向かう動きに力はなかった。
欧州時間に入ると、前日の安値(154.52円)を抜けて154円台前半まで円高が進んだ。ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が「米国の金利はさらに低下する可能性がある」と、12月の利下げに前向きな発言があったことや、植田日銀総裁が利上げについて言及したことも円高要因となった。
植田総裁は、最近の講演で「経済・物価見通しが実現すれば政策金利を引き上げる可能性がある」との考えを示して、12月会合の利上げの可能性を否定していない。
東京時間未明には、ウクライナとロシアの戦闘激化による地政学リスクの高まりもあって、一時153.90円まで円高が進んだ。
個人投資家 最新売買動向:
11月22日時点の楽天FXのオープン(未決済)ポジションの価格分布を見ると、現在の水準(154.50円)から円安方向はドルロング/円ショート(赤色のバー)が、ドルショート/円ロング(青色バー)より多くなっていることがわかる [1]。一段のドル高/円安を期待していた個人トレーダーは、地政学リスクを背景にドル/円が下落したことで、高い水準でドルロングを持ってしまったようだ。
オーダーの価格分布は、オープンポジションの価格分布とは反対に、現在の水準(154.50円)から円安方向はドル売り注文(青色バー)がドル買い注文(赤色のバー)よりも多い。[2]多くのトレーダーが154円台後半から155円台で「売り戻したい」あるいは「ショートメーク」したいと考えているようだ。一方で、153円台半ばから、押し目買いオーダーが増えている。

今週前半のドル/円 サポートとレジスタンス
レジスタンス:
157.10円 07/23 H
156.75円 11/15 H
155.89円 11/20 H
155.40円 11/21 H
サポート:
153.90円 11/21 L
153.28円 11/19 L
152.62円 11/11 L
152.14円 11/08 L

2024年 主要指標

今日の為替ウォーキング
今日の一言
世界で起こる出来事のすべては、あなたの仕事が何であれ、最終的にあなたの人生に影響する – ジム・ロジャース
It's Only Rock'N'Roll
FRB 利下げする理由ないわずか数週間の間に、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策に対するマーケットの評価が大きく変化している。「7月の利下げ見送り」は失敗だったというのが、今では「9月の利下げ」は下げすぎたという見方が主流になっている。
米国のインフレ率はいまだ目標値を上回るなかで、ダウ平均株価は上昇を続けている。米国の経済成長はトレンドを上回り、雇用市場は堅調だ。FRBが心配するような引き締め状態の影響はどこにも見当たらない。
FRBが「データ重視の政策」を掲げながら、このような強い経済指標で0.50%の大幅利下げを実施したのは辻褄が合わない。FRBがバックワード・ガイダンス(振り返り政策方針)からフォワード・ガイダンス(将来予測の政策方針)に戻ることはなくても、経済データが今後も強いままならば、その事実を率直に認める必要があるだろう。
投資家は、現在のマーケットの状況とFRBの政策をよく比較検討した結果、FRBが12月に利下げを行うことに懐疑的になっている。

今週の注目経済指標

注目テクニカルレベル

Winners & Losers

(荒地 潤)