※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。
「 良い損切りとは?日本株の年末対策(窪田 真之) 」
まずはクイズを解いてください
今日は、日本株投資の年末対策に関するお話です。「良い損切り」について学んでいただきます。
本題に入る前に、まず、テクニカル分析(チャートを見て売り買いの方向を判断する分析)のクイズを出します。
<クイズ>この株、どうしたら良い?
以下のA社株を1,500円で100株買いました。株価はその後、一時1,800円を超えるところまで上昇しました。ところが、その後、株価急落。1,360円まで、値下がりしました。
さて、ここからどうしたら良いでしょうか? 以下【1】~【3】のうち、一つ選んでください。
【1】100株買い増し
【2】買い値1,500円に戻るのを待って売る
【3】すぐに売る(損切り)
A社株、週足チャート(9カ月の推移)

2024年の日経平均はこれまで5,315円上昇
今年は、日経平均株価「大波乱」の年でした。8月5日には、「令和のブラックマンデー」といわれる大暴落がありました。日経平均は1日で4,451円下がり、1日の値下がり幅として過去最大となりました。
その翌日、8月6日には日経平均は1日で3,217円上昇し、一日の上昇幅として過去最大となりました。
そんな大波乱の年でしたが、年初来の上昇幅は11月25日時点で5,315円となりました。
年末が近づいた時にチェックしていただきたいこと
年末が近づいてきた時に、チェックしていただきたい数字があります。今年、特別口座などの課税口座で、実現損益はどのくらい、出ていますか? 累計で実現益ですか、あるいは実現損の方が多いですか?
日本株も米国株も上昇しているし、円安も進んでいるので、課税口座で保有株の売却をした方は、今年は実現益が出ているのではないでしょうか。そういう方に、今一度、保有株のチェックをお願いしたいと思います。今日のクイズで出題したA社のような株を、保有していないでしょうか?
クイズの正解
それでは、クイズの正解をお伝えします。
ここは「三十六計、逃げるにしかず」。売りの一手です。正解は【3】です。
テクニカル分析の視点から、株価はここからさらに下がる可能性が高いと思われます。
以下四つが懸念されます(詳しい説明は割愛)。
【1】大陰線をつけトレンド転換示唆
【2】二番天井をつけて下げ加速
【3】13週移動平均線と26週移動平均線がデッドクロス形成
【4】13週移動平均線と26週移動平均線が下向き転換
A社株価チャート(再掲)

A社株は実在の会社をモデルとして作成しています。ここで売らないと、以下の通り急落して、大変なことになります。
<A社 その後>

良い損切りとは
改めて、お伺いします。今年、皆さまの課税口座での株の売買損益、利息・配当金などを通算して、実現益が出ていますか? 実現益が出ている場合に、年末にかけて損切り売りをすることに、二つのメリットがあります。
【1】A社のような問題株の保有をなくすことができる。
【2】実現益を減らすことができる。
今年、日本株の売買で累計30万円の実現益を得ているとしましょう。課税口座で分離課税を選択していると、約20%(復興所得税を入れると20.315%)の源泉税が差し引かれています。つまり、約6万円の源泉税が差し引かれています。
ここで、30万円の含み損のあるA社のような株を保有しているとしましょう。これを売って、実現損30万円を出すと、今年の累計損益を、ほぼゼロにすることができます。そのまま年末を迎えれば、源泉税で差し引かれていた6万円を取り戻すことができます。
問題株の保有をなくすことに加え、損益通算のメリットも受けることができます。
以上は、極めて簡略化した説明です。特殊なケースで源泉税が戻らないこともあります。詳しい説明が必要な方は税の専門家に相談してください。
2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ
最後に、テクニカル分析を書籍で勉強したい方に、私が2021年12月にダイヤモンド社から出版した「株トレ」をご紹介します。
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ」

私が25年の日本株ファンドマネジャー時代に得たテクニカル分析のノウハウを初心者に分かりやすく解説しています。クイズ60問を解いて、トレーニングする形式です。株価チャートの見方が分からなくて困っている方にぜひお読みいただきたい内容です。
(窪田 真之)