米国株が最高値更新でも日経平均は上値重い
先週(営業日12月2~6日)の日経平均株価は、1週間で883円(2.3%)上がって3万9,091円となりました。
米国株が強く、主要3指数(ナスダック総合指数・S&P500種指数・ダウ工業株30種平均)が先週そろって史上最高値を更新したことを受け、日本株も上昇しました。米景気が堅調な中で米インフレが低下、12月もFRB(米連邦準備制度理事会)は利下げを続けるとみられていることが、米国株の上昇につながっています。
ただし、日経平均は、3万8,000~4万円のレンジで上値が重くなってきています。日本の企業業績が足踏みしていること、12月に日本銀行が利上げを行う可能性があることなどが、日本株の上値を重くしています。
日経平均週足チャート:2024年1月4日~12月6日

米景気は「熱すぎず、寒すぎず」
米景気は熱すぎず、寒すぎず、株にとって理想的なゴルディロックス【注】にあります。
【注】ゴルディロックス
景気が強すぎると、金利上昇によって株が下がります。景気が弱すぎると、業績悪化によって株は下がります。景気が強すぎず、弱すぎず、株が上昇しやすい「ほど良い強さ」にあることを「ゴルディロックス」「適温経済」と呼びます。
米景気がここから冷え込むと、「ハードランディング」懸念で株は下がります。景気がここからさらに強くなるとインフレ再燃が懸念され、金利が上昇して株が下がります。危い均衡ですが、今のところ、ほど良い景況が持続しています。
11月の米雇用統計も「熱すぎず、寒すぎず」
米労働省が6日発表した11月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で22万7,000人増加しました。事前の市場予想を上回る伸びで、米景気好調と判断される20万人を上回る増加でした。ただし、ストとハリケーンの影響で伸びが低かった10月(3万6,000人増)からの回復によるもので、米雇用がやや緩和していることには変わりありません。
米雇用統計、非農業部門の雇用者増加数(前月比):2021年1月~2024年11月

完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の4.2%でした。強すぎず、弱すぎない状況と考えられます。
米雇用統計、完全失業率:2021年1月~2024年11月

ISM景況指数は弱めだが非製造業は50を上回っている
先週発表された11月の米ISM(米サプライマネジメント協会)景況指数では、製造業は持ち直したものの、まだ50割れが続いています。非製造業は反落したものの50は上回っています。総じて、強すぎず、弱すぎない状況と言えます。
米ISM製造業・非製造業景況指数:2020年1月~2024年11月

一番注目の米インフレ率(CPI(消費者物価指数)総合・コア指数の前年比上昇率)は、以下の通り、ピークアウトして下がってきたものの、コアインフレ率が3%台で下げ止まっています。11月の値が、今週12月11日に出ます。インフレ率が2%台に向かって低下していくか、あるいは、インフレ再燃の懸念が強まるかが注目されます。
米インフレ率(CPI総合・コア指数の前年比上昇率):2020年1月~2024年10月

日本株の投資判断
日本株は割安で、長期的に上値余地が大きいと考えています。2025年も日本株には強気のスタンスを維持します。
米景気は来年に向けてソフトランディングが見込まれ、日本の景気・企業業績は、緩やかな拡大が予想されます。この環境が続けば、来年の日経平均は、今年の高値(7月11日の4万2,224円)を超えていく展開が予想されます。
ただし、短期的なショック安は、これからも繰り返すと思われます。時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。
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(窪田 真之)