今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは149.95円↓下値メドは148.15円アパレル:モンクレールがバーバリー買収検討
ECB:デポ金利が2%になるまで、2025年6月まで毎会合0.25%利下げ
米政治:共和党と民主党に共通する政策があるとすれば「財政赤字に無関心なこと」
中国、不動産取得税の減税拡充 大都市で購入しやすく
トランプ政権:USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を2026年までに破棄へ
前日の市況
3月5日(水曜)のドル/円相場の終値は148.83円。前日終値比0.99円の「円高」だった。
2025年46営業日目は149.71円からスタート。

海外市場では、雇用関係のデータの悪化で米景気の先行き懸念が強まり全般的なドル売りが強まった。ドル/円は未明に149円を割ると、148.39円まで下落してこの日の安値をつけた。ただ、前日の安値(148.09円)を抜けることはなく148円台後半に反発して引けた。24時間のレンジ幅は1.79円。

この日のマーケットではユーロが大幅に上昇した。動きはまだ始まったばかりで断定はできないが、これは短期的なフローではなく、長期的なドル安/ユーロ高の始まりとの見方がある。
今回のユーロ上昇の背景は、第一に、トランプ関税の発動とそれに対する主要貿易相手国から報復関税によって、マーケットは、(トランプ大統領のもくろみとは逆に)米国の経済成長がさらに弱まることを懸念していることがある。米国(ドル)に代わる投資先として欧州(ユーロ)が選好されたことがユーロ高を支えている。
米国の欧州離れを危惧するEU(欧州連合)は、ロシアの軍事脅威に備えるため約8,000億ユーロ(125兆円)規模の「再軍備計画」を急いでいる。ドイツの次期首相のメルツ党首は、国防費の増強に向けてドイツの厳格な債務抑制策を緩和する方針で合意した。
マーケットのポジションが、ユーロショートに大きく傾いていたことも理由だ。ユーロは、ECB(欧州中央銀行)利下げや、ドイツやフランスの政局不安などのマイナス材料が多く、ヘッジファンドはユーロのパリティ(1.0000)を予想して大量のユーロショートを積み上げていた。ユーロの買い戻しがユーロの急上昇につながっている面がある。
主要指標 終値

今日の為替ウォーキング
今日の一言
力の低い人ほど自分を過大評価する。権力を得た人ほど共感能力が低くなる。
Pride
トランプ大統領は、円安を誘導することによって米国に非常に不公平な不利益をもたらしていると日本を名指しで批判した。トランプ大統領は、日本の政府と日本銀行が円安を止めるために介入をしたことを知らないのか、あるいは自分はその時大統領ではなかったから関係ないというのだろうか。
日本経済にとって円安のメリットは三つある。第一に、円安は輸出企業の国際競争力を高める。日経平均株価には輸出関連の大型株が多く含まれているため、円安は株価を押し上げる効果がある。
第二に、円安はインバウンド(訪日外国人)の需要を増やしている。インバウンドの増加は、サービス業や小売業などの国内消費にプラスに働く。そして第三に、円安によるインフレ期待が高まることで、消費や投資の前倒し効果が期待できる。
その一方で、円安にはデメリットもある。例えば輸入品価格の上昇が引き起こすインフレで生活費が高くなっていることだ。賃金上昇ペース以上でインフレ上昇が進行しているので国民の生活は苦しくなっている。
しかし、政府は日本経済にとって円安のメリットはデメリットより大きいと考えているから、円安を止めることはしない。日銀も同じだ。日銀は物価の安定の名においてインフレを上昇させることを目的に円安を放置する。
円安が日経平均株価の追い風になってきたことは間違いない。逆に言うならば、「円安効果」が薄れることが、日経平均にとっての大きなリスクのひとつとなる。ドル/円が昨年31年ぶりの水準まで円安になったのは、FRB(米連邦準備制度理事会)が2022年から開始した利上げによる日米金利差拡大が主因だ。であれば、その逆の日米金利差縮小は強い円高要因になる。
2024年9月の会合で0.5%の大幅利下げを実施して、利下げサイクルを開始したFRBだが、トランプ関税がインフレを再燃させるとの見通しを持ち、今後の利下げに慎重になっている。
植田和男日銀総裁は、日本経済は「デフレではなくインフレの状態にある」との見解を示している。高田創審議委員は利上げで一段のギアシフトを進める局面にあるとの見解を示した。このように、フォワードガイダンスをタカ派方向にシフトしておきながら、今年の春闘の結果を待って、さらなる利上げに踏み切ることになるだろう。
円安が日本株の上昇の大きな理由であったならば、円安が円高に変わったとき、株式市場も大きな調整が入る可能性がある。日経平均4万円は通過点という強気の意見も多かったが、円高の強さによっては、4万円は天井になってしまう可能性もある。

今週の注目経済指標

ヒートマップ分析


(荒地 潤)