週明けのFX市場では、ドル/円相場が大きく動いた。米国の景気先行き懸念から148円台前半までドルが売られたが、地政学リスクの後退や日本の政局不安が円売り材料となって、149円台まで円安が進んだ。


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今日のレンジ予測

[本日のドル/円]上値メドは149.65下値メドは148.30 

欧米関係:欧州は、中国以上にトランプ貿易関税の対象になる可能性
ブラジル:インフレ期待はまだ上昇傾向
ECB:デギンドス理事「ECBの懸念はインフレから成長へ移った」
南ア:S&P、南アの見通しを安定的からポジティブに格上げ
メキシコ:ムーディーズ、メキシコの格付け見通し引き下げ、憲法改正の影響懸念


前日の市況

 3月17日(月曜)のドル/円相場の終値は148.61円。前日終値比0.57円の「円安」だった。


 米国の2月小売売上高が予想を下回り、個人消費伸び悩みの懸念からドルが売られた。その一方で、日本銀行が今週の会合で政策金利を据え置く可能性が高いこと、また国内政治リスクが日銀利上げの制約になるとの思惑が広がったことが円売り材料になった。


ドル/円続伸、149円台回復
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 2025年54営業日目は148.73円からスタート。海外市場に入り、東京時間の夜遅くにこの日の安値となる148.21円まで下げた。ただ、明け方には149円台を回復すると、149.28円まで上値を伸ばしてこの日の高値をつけた。24時間のレンジ幅は1.07円。


主要指標 終値

ドル/円続伸、149円台回復
出所:楽天証券作成

今日の為替ウォーキング

今日の一言

真実は、数学と化学のためには完璧だが、人生のためには適さない 


Blinded by the Light

 この2年間、他国を圧倒する勢いで成長してきた米国経済に、不穏な兆しが見えてきた。米国の経済成長をこれまで支えてきたのは、労働市場と消費の強さ、FRB(米連邦準備制度理事会)利下げによる政策金利の緩和、そしてAIの優位性である。しかし、今年になってから、これら三つの柱がぐらつき始めている。


 2月に発表された経済データを見ると、小売売上高、非製造業ISM(米サプライマネジメント協会)、サービス業PMI(購買担当者指数)、ミシガン消費者信頼感、地区連銀景況感指数など、ソフトデータ、ハードデータにかかわらずそのほとんど全てが悪化しているのだ。


 労働市場は今のところまだ持ちこたえているようだが、イーロン・マスク氏が率いるDOGE(政府効率化省)による政府機関職員の大量レイオフが雇用市場に新たな下振れリスクを加えている。


 またインフレについては、ミシガン大学消費者態度指数によると5~10年のインフレ期待は3.9%まで上昇し、これは実に1991年以来34年ぶりの高水準となる。


 今年1月に発表されたDeepSeekやManusは、「スプートニクの瞬間(米国が敵対国に先行を許した瞬間)」と形容されている。投資家はデータセンターや半導体チップへの巨額の投資に価値があるのか疑問を持ち始めている。米国のAIの絶対的優位という楽観論が否定されようとしている。


 米国の堅調な消費の背景に株高と暗号通貨高があったとすれば、この富の効果は消えつつある。米政府は、米景気を維持するために、関税よりも減税などの景気刺激策を優先するべきだが、その順番が逆になっている。トランプ大統領は、景気後退の可能性を暗に認めている。


ドル/円続伸、149円台回復
出所:楽天証券作成

ドル/円続伸、149円台回復
出所:楽天証券作成

今週の注目経済指標

ドル/円続伸、149円台回復
出所:楽天証券作成

タイムゾーン 分析

ドル/円続伸、149円台回復
出所:楽天証券作成

(荒地 潤)

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