プラチナ積立が大きな可能性を秘めていることをご存じでしょうか。世の中では、貴金属の積立といえば金(ゴールド)、というイメージが定着しているかもしれません。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 プラチナ積立でジャイアント・キリング! 」
弱者プラチナと強者金(ゴールド)
今回のレポートでは、金(ゴールド)とプラチナの積立投資に注目します。「純金積立」というサービス名に含まれているとおり、積立投資の王道は「金(ゴールド)」でしょう。同サービスで取引できるプラチナに比べれば「強者」と言えます。
図:純金積立サービスにおける金(ゴールド)とプラチナの価格推移

実際の価格推移を振り返ってみても、金(ゴールド)に強者の風格が漂っています。プラチナは弱者のごとく、低迷を強いられています。2015年まで、価格差の議論がなされるほど、同じような値動きをたどっていた両者でしたが、転機が訪れました。同年9月に発覚した「フォルクスワーゲン問題」です。
当時、金融関係者はもとより、個人投資家の皆さまの間で、「プラチナはもうダメだ」「プラチナ価格はもう上がらない」などと、まことしやかにささやかれました。
図:プラチナの需要内訳とフォルクスワーゲン問題

プラチナという弱者は、金(ゴールド)という強者を、打ち負かすことができるのでしょうか。プラチナのジャイアント・キリングが実現し得るか、という問いです。
毎月1万円で積み立ててみた
以下は、プラチナの「敗北ぶり」です。毎月1万円を積み立てた場合のシミュレーションです。期間は、2015年年初から2025年2月末までです。月々1万円、手数料は買い付け時に1.65%(税込)、分配・配当なし、で試算しています。
毎月、手数料(165円)を差し引いた9,835円分を購入することとし、9,835円を営業日数で案分した額で毎日買い付けます。毎日の買い付け額はその月の営業日数で異なり、本シミュレーションではおよそ427~546円です。
図:累積資産額の推移 単位:円

上記のとおり、圧倒的に金(ゴールド)が優位です。プラチナも健闘していますが、金(ゴールド)に遠く及びません。このおよそ5年間はまさに、強者の金(ゴールド)、弱者のプラチナだったと言えます。
では今後はどうなのでしょうか。
図:価格推移シミュレーション 単位:円/グラム

2025年3月から始めたシミュレーションは、2035年の年末で終わります。最終的な価格は、プラチナが1万0,147円、金(ゴールド)が1万9,395円です。金(ゴールド)の約半値で取引を終えたプラチナは果たして、金(ゴールド)にあらがうことはできたのでしょうか。
価格推移によってはジャイ・キリできる
シミュレーションの結果は以下です。プラチナは、金(ゴールド)に勝利しました。弱者が強者を打ち負かす、まさに「ジャイアント・キリング」となりました。この130カ月間、投資した金額は130万円でした。この投資に対し、プラチナの資産の額はおよそ216万円、それに対して金(ゴールド)は159万円でした。
図:累積資産額のシミュレーション 単位:円

なぜ、弱者のプラチナが強者の金(ゴールド)を打ち負かすことができたのでしょうか。理由はいたってシンプルです。「保有数量を効率よく獲得し、それを効率よく収益化できたため」です。
以下のグラフは、この期間の累積保有数量の推移です。最終的な保有数量は、プラチナが約213グラム、金(ゴールド)が約82グラムとなり、2.5以上の差が生じました。この2.5倍の差が生じた保有数量が、最終的な資産の額を大きく(大きく)左右したのです。
図:累積保有数量のシミュレーション 単位:グラム

プラチナだけが満たす積立効率化条件
このシミュレーションから言えることは、次の二点です。そもそもはじめから安い銘柄を選択することで、効率よく保有数量を増加させることができること、長期視点で価格上昇が望める銘柄を選択することで、積み上げた保有数量を効率的に収益化できることです。
裏を返せば、「すでに高い」かつ「長期視点で価格上昇が望めない」銘柄は、積立投資に適さないと言えます。こうした銘柄は、保有数量を効率的に増やすことができないだけでなく、最終的に収益化ができない恐れがあります。
また、「すでに高い」ことがきっかけで、長期視点プロジェクトである積立投資を遂行する上で大きな障害になり得る、精神面での問題が生じる場合があります。
「すでに高い」ことは、すでに相当の下落余地が存在していることを意味します。こうした銘柄を選択した場合、積立投資をしながら、絶えず、価格が大きく下がることへの不安と付き合わなければなりません。
価格下落が保有数量を効率的に増やす好機だと、深いレベルで考えられるようになるまでは、しばしば、積み立てを続けることが厳しいと感じるかもしれません。また、「すでに高い」ことは、価格が下落し、最終的な価格反発を享受できない可能性が存在することを意味します。
こうした可能性を認識しつつも、長期視点で価格上昇が起きてほしいと、無理にでも自分に言い聞かせ、自分の心に期待を植え付けなければならない場面があるかもしれません。
長期視点の価格上昇が起きるかどうかは、実際のところ、その時になってみなければ分かりません。ですが、少なくとも、「そもそもはじめから安い銘柄」を選択すれば、上記で示したような、さまざまな精神面での障害を回避できると、筆者は考えます。
どの銘柄で積み立てをするかは、投資家の皆さま一人一人がご自身で判断できることです(人気があるから、著名人が推奨しているからなどの理由は、高値で推移する銘柄で積み立てをはじめる理由にはならないと、筆者は考えます)。
図:積立投資の収益イメージと効率化させるための二つの条件

プラチナは「今のところ」金(ゴールド)に対し、弱者と言わざるを得ませんが、「今安い」という、金(ゴールド)が持ち得ない、積立投資上の強みを持っています。
そして、最終的な価格反発は、以下のとおり、フォルクスワーゲン問題発覚後、非難の的になった自動車排ガス浄化装置向け需要が回復傾向にあることを考えれば、遠い将来、価格反発は起き得ると言えるでしょう。
図:プラチナの自動車排ガス浄化装置向け需要の推移 単位:千オンス

プラチナ積立が金(ゴールド)積立を上回る可能性はあると、筆者は考えています。ぜひ、長期視点のプラチナの価格推移にご注目ください。
[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例
長期:
純金積立(当社ではクレジットカード決済で購入可能)
純金積立・スポット購入
投資信託(当社ではクレジットカード決済、楽天ポイントで購入可能。以下はNISA成長投資枠対応)
三菱UFJ 純金ファンド
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)
中期:
関連ETF(NISA対応)
SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)
短期:
商品先物
国内商品先物
海外商品先物
CFD
金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウム
(吉田 哲)