パーク24(4666)は駐車場サービスとカーシェアサービスで国内首位。コロナ禍から回復し最高益を更新中。

今後も安定成長が期待できる。特にカーシェア事業の法人向け成長余地が大きい。予想PERは15倍で、好業績・割安な内需中小型株として「買い」判断を継続する。


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※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 パーク24「買い」継続:タイムズ駐車場とカーシェア国内首位 」


コロナ禍を克服、最高益

  パーク24(4666) (3月24日株価2,020.5円)は、時間貸し駐車場で国内最大手です。また、カーシェアリング事業でも、国内トップです。


 駐車場事業で安定収益を稼ぎつつ、カーシェア事業で成長するシェアリングエコノミー【注】関連の成長株として、私は高く評価しています。投資判断は「買い」です。


【注】シェアリングエコノミー
 乗り物・住居・家具・衣服や各種サービスなどを単独で所有せず、多数の人間が共有(シェア)して利用すること。または利用する仕組み。自動車をシェアするカーシェアリング(カーシェア)・住居のシェア(シェアハウス)、自動車の相乗りサービス(ライドシェア)のほか、さまざまな共有サービスが生まれ、グローバルに拡大している。


 昨年12月10日、前日株価1,804円をもとに、パーク24の買い推奨を出しています。そこからまだ12%しか株価は上昇していません。さらなる上値余地が大きいと判断しているため、現株価(3月24日終値:2,020.5円)で買い判断を継続します。


パーク24株価日足:2024年12月2日~2025年3月24日
「パーク24」の「買い」継続。コロナから回復、最高益続く(窪田真之)
出所:楽天証券MSIIより楽天証券経済研究所が作成

 パーク24は、コロナ・ショックで駐車場およびカーシェアの利用が急減したため、2020年10月期・2021年10月期は二期連続で赤字となりました。株価も大きく下がりましたが、コロナ禍からの回復で前々期(2023年10月期)に営業最高益を更新、さらに前期(2024年10月期)は2期連続で営業最高益を更新しました。


 今期(2025年10月期)は3期連続の最高益を予想しています。3月14日に発表された第1四半期(2024年11月-2025年1月期)決算は好調で、今期も順調なスタートを切っています。第1四半期の営業利益は、前年同期比8.1%増の93億円でした。


パーク24売上高・営業利益推移:2014年10月期(実績)~2025年10月期(会社予想)
「パーク24」の「買い」継続。コロナから回復、最高益続く(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 パーク24を「買い」と判断する理由について詳しく説明する前に、まず同社の2010年以降の株価推移について説明します。


株価は2016年の最高値から44.7%下落

 パーク24は2016年7月に最高値(3,655円)をつけてから大きく下落しました。現在(2025年3月24日)の株価(2,020.5円)は、最高値から44.7%下がった水準です。


パーク24株価、月次推移:2010年1月末~2025年3月(24日)
「パーク24」の「買い」継続。コロナから回復、最高益続く(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

【1】2010~2013年

 国内の駐車場事業の拡大で、最高益の更新が続きました。それを好感して株価の上昇が続きました。

2009年にカーシェア事業に参入していましたが、先行投資負担が重く、同社のカーシェア部門は赤字でした。


【2】2014年

 消費税引き上げ(4月)の影響で、時間貸し駐車場の利用が一時的に減少。2014年10月期が減益となったことを嫌気して株価が下落。


【3】2015年~2016年7月

 消費増税の影響は一巡。カーシェア事業の利益成長への期待が高まり、株価が大きく上昇。2009年に開始したカーシェア事業は、先行投資負担が重く、赤字が続いてきたが、2014年10月期に営業損益が初めて1,600万円の単年度黒字に転換。2015年以降、カーシェア事業の利益拡大が加速する期待が高まりました。


【4】2016年7月~2019年

 カーシェア事業の利益は拡大しているものの、先行投資負担が重く、利益の伸びは投資家の期待を下回っています。国内の駐車場事業は、利益がまだ伸びていますが、徐々に成長余地は小さくなっています。また、海外駐車場事業で赤字が拡大していることも、嫌気されました。


【5】2020~2021年

 コロナ禍で2020年10月期・2021年10月期は2期連続の赤字。2020年は新型コロナの感染拡大、2021年はコロナ変異種の感染拡大で外出を控える人が増え、駐車場・カーシェアとも利用率が大きく減少しました。


【6】2022~2024年

 コロナからの回復が進んでいます。2023年10月期には営業最高益を更新。2024年10月期も営業最高益を更新した模様ですが、株価の回復は鈍くなっています。


パーク24を「買い」と判断する三つの理由

 パーク24を「買い」と判断する理由を説明します。三つあります。


【1】安定成長株として評価

 国内駐車場事業で安定高収益を稼ぎつつ、カーシェアリング事業で成長していく、安定成長株として評価しています。


パーク24の事業セグメント別営業利益:2024年10月期
「パーク24」の「買い」継続。コロナから回復、最高益続く(窪田真之)
出所:同社決算補足資料より楽天証券経済研究所が作成

 国内駐車場事業は、安定高収益を稼ぐと考えられますが、成長余地は小さくなりつつあります。


 代わって、カーシェアリング事業の成長が続くと予想しています。特に法人向け事業の成長が見込まれます。個人向け事業はコロナ禍からの回復が進みつつありますが、法人向けの回復は鈍くなっています。コロナ禍でリモート会議が広がった影響から、出張での利用が伸び悩んでいると思われます。


 ただし、自動車を所有しないで利用する流れは、長期的には法人向け・個人向けとも拡大すると考えられることから、カーシェア事業がパーク24の成長をけん引する見通しは変わりません。


 将来の成長を期待して始めた、海外(台湾・英国・オーストラリアなど)での駐車場事業は、収益性が低く、成長に貢献するとは考えていません。


【2】今期業績に上ぶれ余地、予想PER15倍、株価は割安と評価

 今期(2025年10月期)営業利益の会社予想は390億円ですがこれは保守的(低め)予想で、楽天証券では前期比8%増の418億円まで拡大すると予想しています。楽天証券予想から計算される予想EPS(1株当たり利益)は135.1円です。


 そこから計算される今期予想PER(株価収益率)は15.0倍です(24日株価2,020.5円÷EPS135.1円=PER15.0倍)。安定的に最高益を更新していくと期待できる、割安な株と評価しています。


【3】好業績の内需・中小型株が買われる流れになると予想

 3番目の理由は、株式市場全体の銘柄物色の傾向に関することです。トランプ米大統領が仕掛ける関税戦争への不安で、グローバルにビジネスを展開する大型株が買いにくくなっています。そうした中で、好業績の内需中小型株に物色が向かいやすくなると予想しています。


 ここで、カーシェアがどういうものであるかご存じない方のために、内容を簡単に説明します。


【ご参考】カーシェアリングとは
 自動車(カー)を共同利用(シェア)する仕組み。欧米で普及し、日本にも広まりつつあります。日本国内でトップが、パーク24が運営する「タイムズカー」です。

全国に1万9,961の車両ステーションを有し、6万9,170台の車両を保有、303万2,000名の会員を有します(2024年10月時点)。競合大手に、オリックスカーシェア、三井のカーシェアーズ(旧カレコ)などがあります。


 カーシェアのメリットは、「安」「近」「短」といわれます。近所にカーシェア用の自動車を設置したステーション(駐車場)があることが前提ですが、安価な利用料金で、自宅近くから、近距離・短時間のドライブにも利用できます。


 カーシェアの会員になると、スマホで申し込み、簡単に自動車を借りることができます。ネット予約してカーシェア用の車両を置いてある駐車場に行き、会員証をかざすだけで、簡単に開錠できます。旅先で、駅前からカーシェアを利用することも可能です。


 利用料金は、タイムズカーの場合、15分で220円(ガソリン代・保険料込み:ベーシック車種)からとなっています(2025年3月時点)。自動車を保有するコスト(車両購入・車検・駐車場・保険・税金など)がかからないので、割安な利用方法です。


 レンタカーと比較すると、利用手続きが簡単で、短時間・短距離の利用にも使えることが評価されています。ただし、利用者の多い地域では、土日祝日に、カーシェアの車が空いていない(他の会員に使われている)という問題が起こることもあります。


 パーク24は、レンタカー事業とカーシェア事業を両方とも行っていますが、利用者のニーズ変化を受け、レンタカー事業を縮小、カーシェア事業を拡大する方針を採りつつあります。


 国内のカーシェア事業は、順調です。先行投資の成果で、収益拡大が軌道に乗ってきました。拠点数の多さから国内で圧倒的に高い競争力を有します。


 最後に、決算書の読み方、株式投資のファンダメンタルズ分析を学びたい方に、以下、私の著書をご紹介します。


「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編」


「パーク24」の「買い」継続。コロナから回復、最高益続く(窪田真之)
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(窪田 真之)

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