NISAを活用した金(ゴールド)投資について述べます。NISAを活用する上で欠かせない前提条件、具体的な銘柄をご紹介した上で、どの人にどの銘柄が合うか、銘柄選定のフローを示します。

ぜひ最後までお読みください。


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原題:NISAで買う金(ゴールド)関連銘柄[2025年4月版]


※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 NISAで買う金(ゴールド)関連銘柄[2025年4月版] 」


NISAを活用できる金(ゴールド)関連商品

 通常、株式や投資信託などに投資をして利益や配当を受け取った場合、約20%の税金がかかります。一方、NISA (ニーサ:少額投資非課税制度)口座での投資で得られる利益は非課税です。※ただしNISA口座で投資できる金額に上限あり。本レポートであつかう「成長投資枠」は、年間投資枠が240万円、非課税保有限度額が1,200万円(NISA全体では1,800万円)。


 NISAには二つの投資枠があります。「つみたて投資枠」と「成長投資枠」です。このうち「つみたて投資枠」を利用して取引ができる商品は、金融庁が定める基準を満たした投資信託とETF(上場投資信託)です。これらは、国内外の株式や債券などを基にしてつくられた金融商品です。


 現時点(2025年4月14日時点)で、こうした投資信託やETFの中に、金(ゴールド)関連の金融商品は含まれていません。

このため、NISAを利用した金(ゴールド)関連の投資の際は、「成長投資枠」を利用することになります。


 成長投資枠を利用できる金(ゴールド)関連商品は「投資信託(対象外あり)」、国内外の「ETF」「個別株」です(2025年4月14日時点)。楽天証券のサービスである「米株積立」や「かぶツミ®」を利用することで、成長投資枠で長期の資産形成になじむ積立投資が可能です。


 また、成長投資枠で、長期投資だけでなく瞬間的な判断で売買を行うデイトレードもできます。積立投資もデイトレードも、グローバルなドル建ての金(ゴールド)、日本の円建ての金(ゴールド)の両方を対象とすることができる点にも、注目です。


図:NISAがカバーする金(ゴールド)投資の範囲(2025年4月14日時点)
NISAで買える金(ゴールド)関連銘柄は?投資信託・ETF・個別株の選び方
出所:筆者作成

金(ゴールド)の相場と「間接的」に連動

 下の図のとおり、成長投資枠を利用できる「投資信託(対象外あり)」「ETF」「個別株」はいずれも「間接的」な取引手法です。「直接的」な手法は、金(ゴールド)現物そのもの、あるいはそれに限りなく近い手法である、純金積立や商品先物、CFD(差金決済取引)などです。


「間接的」と「直接的」の最も大きな違いは、金(ゴールド)相場との連動性です。直接は、ほぼ金(ゴールド)そのものであるのに対し、間接はそれよりも連動性が低くなる傾向があります。


 また、投資信託については早期償還となったり、個別株については金(ゴールド)関連の本業以外の要因がマイナスの影響をもたらしたりすることがあります。これらはいずれも、関連する金融商品と金(ゴールド)の現物相場の連動性が低下する例です。こうした点は、NISAで金(ゴールド)関連の投資商品を取引する上で、留意しておきたい点です。


図:金(ゴールド)関連銘柄の価格と現物価格の連動傾向
NISAで買える金(ゴールド)関連銘柄は?投資信託・ETF・個別株の選び方
出所:筆者作成

具体的な銘柄、配当が得られるものもある

 以下は、NISAの成長投資枠を活用できる金(ゴールド)商品の具体例です(楽天証券において)。投資信託における「為替ヘッジあり」は、価格の推移が「ドル建ての金(ゴールド)」に近い金関連商品です。

「為替ヘッジなし」は、価格の推移が「円建て金(ゴールド)」に近い金関連商品です。


 ETFと個別株では、グローバルに記した金融商品については「ドル建て」、日本に記した金融商品については「円建て」です(中には、ドル建てを円換算した商品もある)。商品のラインアップ数としては、グローバルはETFと個別株が多く、日本は投資信託が多い傾向があります。


 金(ゴールド)相場に連動することを目指すETF、個別株は、配当を受け取ることができる場合があります。個別株に挙げた全てと、以下の二つのETFです。しばしば、「金(ゴールド)は保有していても配当を得られない」と言われますが、関連する個別株と関連する個別株を指数化したETFは、必ずしもそうではありません(関連企業・会社が配当を出した場合に限る)。


図:新NISAで利用できる金(ゴールド)商品の具体例(2025年4月14日時点)
NISAで買える金(ゴールド)関連銘柄は?投資信託・ETF・個別株の選び方
出所:筆者作成

あなたに合う銘柄を選ぶ「五つのフロー」

 NISAを使って金(ゴールド)投資を行う際、いくつか整理しておくべき点があります。このことを、以下の図のとおり「五つの選択」としてまとめました。


 1.材料(=取引手法)、2.地域、3.投資枠、4.分野、5.銘柄の順に選択することで、ご自身の意図にできるだけ近い、成長投資枠を利用した金(ゴールド)の取引ができると考えます。


 1の「材料」については、注目する材料によっておのずと売買手法が決まる、という考え方です。


 例えば、戦争などの「有事ムード」や株との対比「代替資産(≒株との逆相関)」などの、時間軸が短中期の材料に注目した場合は、デイトレードを含む機動的な売買を行う、中央銀行の金(ゴールド)保有高や世界分断などの、時間軸が長期の材料に注目した場合は、長期を前提とした積立投資で購入する、などです。


図:NISAを使った金(ゴールド)投資を行う際のフロー(例)
NISAで買える金(ゴールド)関連銘柄は?投資信託・ETF・個別株の選び方
出所:筆者作成

 2の「地域」については、グローバル(ドル建て)なのか、日本(円建て)なのかの選択です。「グローバル」は、米国を中心とした世界全体の有事ムードや物価動向、中央銀行の動向などを反映しやすい傾向があります。


 一方、「日本」は、グローバルな金(ゴールド)の価格動向に追随しつつ、ドル/円相場の影響を受けます。基本的に、円安は円建て金に上昇圧力、円高は円建て金に下落圧力をかけ得るため、2の選択時は、ドル/円の方向性を参考にすることになります。


 とはいえ、「日本」は、グローバルな金(ゴールド)の価格動向に追随することが基本路線であるため、ドル/円の動向を最重要視することはありません。


 3の「投資枠」については、現行の制度において、「成長投資枠」のみです。4の「分野」については、「投資信託」「ETF」「個別株」から選択します。最低投資額や、ポイント投資ができるか、クレジットカード決済ができるか、配当を受け取ることができるか、などが選択の基準になります。


 5の「銘柄」は、金(ゴールド)相場との連動性の高さや、諸コストの額などが選択の基準になります。こうした五つの選択肢を経て、具体的な銘柄の選択がなされます。


注目材料と戦略の方向性を合わせること

 先ほどの選択肢1の「材料」について、補足します。注目した材料が何であるかで、「機動的な売買」なのか「積立投資」なのかが決まる、という考え方です。


 下の図のとおり、有事ムード、代替資産、代替通貨といった短中期的な材料に注目した場合に行う売買は、ETFや関連個別株を用いたデイトレードを含む機動的な売買、中央銀行の金(ゴールド)保有高や世界分断などの、時間軸が長期の材料に注目した場合は、長期を前提とした積立投資で購入することが、想定されます。


図:グローバルな金(ゴールド)市場に関わる材料(一例)と売買戦略
NISAで買える金(ゴールド)関連銘柄は?投資信託・ETF・個別株の選び方
出所:筆者作成

 短中期的な材料に注目しつつ積立投資をする、あるいは中長期・超長期的な材料に注目をしつつ機動的な売買をすることは、実態になじまない、ということです。(取引をしているさなかに、注目している材料と目の前の価格動向が食い違っていることに気が付くと思います)


 具体的には、中央銀行の動向に注目してデイトレードをする、短期的な株価の急落に注目して積立を開始する、などです。


 今回は、NISAを活用した金(ゴールド)投資について述べました。NISAを活用する上で欠かせない前提条件、具体的な銘柄、どのような人にどの銘柄が合うか、銘柄選定のフローなどを紹介しました。今後のNISAを活用した金(ゴールド)投資に、お役立ていただけましたら、幸いです。


 金(ゴールド)価格の方向性など、市場環境については、随時、当コンテンツ「週刊コモディティマーケット」で更新してまいりますので、ご注目ください。


[参考] NISA成長投資枠対応商品の例

【投資信託】

グローバル:ドル建て金(ゴールド)への投資

ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
Smart-i ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジあり)


日本:円建て金(ゴールド)への投資 ※円換算含む

三菱UFJ 純金ファンド
ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)
Smart-i ゴールドファンド(為替ヘッジなし)
iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)


【ETF】

グローバル:ドル建て金(ゴールド)への投資

SPDR ゴールド・シェア(GLD)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)
ヴァンエック・中小型金鉱株ETF(GDXJ)


日本:円建て金(ゴールド)への投資 ※円換算含む

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(1540)
WT 金(1672)
iS ゴールド(314A)


【個別株】

グローバル:

バリック・ゴールド(GOLD)
アングロゴールド・アシャンティ(AU)
アグニコ・イーグル・マインズ(AEM)
フランコ-ネバダ(FNV)
ゴールド・フィールズ(GFI)


日本:

住友金属鉱山(5713)


(吉田 哲)

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