今日は、トランプ関税ショックを、過去の三大危機(昭和ブラックマンデー・リーマンショック・コロナショック)と比較し、今回の危機がどれと似ているか考えます。三大危機との比較を踏まえた上で、トランプ関税ショック後の日経平均株価が、どう推移するか考えます。
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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 トランプ関税不況なければ、昭和ブラックマンデー型の回復へ 」
令和ブラックマンデーを、三大危機と比較
トランプ関税への恐怖で暴落した4月7日の日経平均株価は、前日比2,644円安(7.8%安)の3万1,136円となりました。1日の下落幅で過去3番目、下落率では1987年以降9番目の大きさでした。
<日経平均の1日の下落率ランキング(1987年以降)>

下記グラフを作成するにあたり、危機の起点として以下の年月日を設定しました。
◆トランプ関税ショック:2025年2月19日(下落が加速する前)
◆昭和のブラックマンデー:1987年10月19日(ダウ工業株30種平均暴落の日、日経平均暴落の前日)
◆リーマンショック:2008年9月12日(リーマン破綻が決まった15日の前営業日)
◆コロナショック:2020年2月12日(欧米株式が急落する直前の日経平均高値)
<トランプ関税ショック後の日経平均を三大危機と比較:危機起点から5カ月の動き>

上記グラフを参照し、三大危機から5カ月余りの日経平均の動きを比較すると、以下のことが分かります。
昭和のブラックマンデー、コロナショックでは、半年くらいで日経平均は高値を更新しました。株価暴落によって一時危機的状況に陥ったものの、半年くらいで景気はしっかり回復していったため、株価の回復も早かったと言えます。
一方、リーマンショックでは、半年たっても、まだ株価回復は始まっていませんでした。リーマンショックは、金融危機を伴う世界的な景気後退であったため、回復に時間がかかりました。
株価暴落後に、経済危機が起こるか起こらないかによって、株価の動きが変わるということです。
世界不況が起こらなければ昭和ブラックマンデー型回復へ
トランプ関税ショックがどういう暴落か、まだ完了していないので結論を出すことはできません。これから世界不況が起こるのか、起こらないのかによって、今後の株価の動きは変わります。
【1】メインシナリオ
トランプ関税は緩和されて世界不況は回避。4~6月の世界景気は悪化するものの7月以降に持ち直すシナリオ。日経平均は、昭和のブラックマンデー型回復となると予想されます。
【2】リスクシナリオ
トランプ関税が世界不況を引き起こし、金融危機も誘発するならば、リーマンショック型の推移になると考えられます。
昭和ブラックマンデーは、NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株平均株価)が先物主導で暴落したことを受けて、日本に暴落が波及したものでした。NYダウが歴史的下落率となったことから、経済恐慌の前触れではないかと、不安が広がりました。1929年にNYダウが暴落した後、世界恐慌が始まったことが、引き合いに出されました。
ところが、1987年のブラックマンデーは、世界恐慌の前兆ではありませんでした。1988年には日本の景気も世界の景気も回復に向かいました。ブラックマンデーの株価暴落は、先物が引き起こした過剰反応であって、世界恐慌の前兆ではありませんでした。
トランプ関税ショックは、今後どうなるでしょうか? トランプ関税しだいでありますが、世界不況を起こさないで済むかどうか、今後の推移を慎重にウオッチする必要があります。
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