超節約と株主優待を駆使して資産8億円、年間配当2,000万円を達成した御発注さんは、今でも会社員として働き続けている。今でも会社を辞めない理由とは? 御発注さんの売買ルールやおすすめの株主優待銘柄、会社員投資家のメリットなどを伺った。


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店頭で見た株主優待が投資のきっかけに

トウシル:御発注さんは現在、株主優待も駆使して資産形成されています。株主優待を始めたきっかけを教えてください!


御発注さん:どうすれば仕事を辞められるか考えていた中、たまたま リンガーハット(8200) に行ったら、店頭の株主優待の案内を見たのがきっかけです。


「株主になったら無料でご飯が食べられるのか!」と調べてみると、ほかにも、株主優待がもらえて配当金ももらえる、高コスパな銘柄がいくつかあることに気が付きました。そこで、 ワタミ(7522) と 吉野家ホールディングス(9861) を買ったのが投資を始めたきっかけですね。


トウシル:御発注さんが愛している優待銘柄をいくつか教えてください。


御発注さん:今だと、お米の価格が急騰しているので、お米がもらえる サカイ引越センター(9039) 、 ヤマザワ(9993) 、 エコス(7520) 、 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(3222) 、 高松コンストラクショングループ(1762) 、 ソルクシーズ(4284) などを重宝しています。(*2025年5月時点の情報。優待内容は変更になる可能性があるため必ず事前にご確認ください)。


トウシル:お米以外に、節約に役立つ、インフレサポート優待銘柄を教えてください。


御発注さん: アスクル(2678) はティッシュなどの日用品が買えるので節約におすすめです。 U-NEXT HOLDINGS(9418) の優待では、自社コンテンツ配信サービスが無料になるため、ネットで映画を見ることができるし、ポイントを本や映画のチケットに変えることもできます。


  パレモ・ホールディングス(2778) は1年以上保有でファッションや雑貨などと引き換えられる優待券がもらえます。また、僕はサウナが好きなので ニフティライフスタイル(4262) では温浴施設の優待がもらえます。


 また、子供がマクドナルドが好きなので 日本マクドナルドホールディングス(2702) も、節約に役立っています。外食するときは、ほぼ優待ですね。無料の方がおいしく感じませんか?


トウシル:え、味は同じですよ(笑)。


「配当+優待=実質利回り」で効率的に資産運用

トウシル:ところで、御発注さんは高配当銘柄も多く保有していて、年間の配当金が2,000万円超えと伺っています。優待から高配当投資へ、投資の幅を広げられたきっかけは何ですか?


御発注さん:株主優待を知ってから投資について調べていくと、お金持ちの方程式は「資産形成=(収入-支出)+(現有資産×運用利回り)」だと分かりました。そこで「利回り」に注目し、僕は配当利回りに株主優待の金額を加えた「総合利回り」を考えるようになりました。この考えに至った瞬間、「銀行預金の利息だけでは社会から逃れられない」という不安が吹き飛びましたね。


トウシル:社会から逃げたい、という当初の目的を達成する手段が見つかりました。節約でためたお金をどんどん投資に回すようになったんですね。


御発注さん:はい! 投資を始めた最初の頃は、給料が入るとすぐに目についた株を買っていましたが、経験を積むにつれて、減配や株価の下落といったリスクも気にするようになりました。


 どうにかして、安い元手で値上がりも期待できそうな銘柄を買えないか…と調べていたところ、株価収益率(PER)という指標を知りました。僕の解釈だと、PERは、今の株価がお買い得か、そうでないか、を見る指標です。


▼トウシルより補足
株価収益率(PER)とは…企業の収益に対して、今の株価が割安か割高かを判断する指標。

単位は「倍」。数が多いほど「割高」、低いほど「割安」となる。利益が多い割に株価が低い=割安(PERが低い)、利益の割に株価が高い=割高(PERが高い)と判断。


計算例
株価が1,000円、1株当たり利益(EPS)が100円の場合
1,000円(株価)÷100円(EPS)=10→「PER10倍」となる


 僕は投資の才能があるわけでもない、極めて普通の人です。実際、ライブドアショックとリーマンショックで元本割れも経験しました。正直、最初は、なぜ株価が上がったり下がったりするのかも分からないレベルでしたが、手痛い失敗やミスをしながらも、手探りで売買していくうちに、だんだん知識もついて、投資も上達してきたなと感じています。


1億円達成から、11年間で8億円へ!

トウシル:2013年には資産1億円を達成されています。


御発注さん:はい。投資を始めて11年目で到達しました。年収は手取り400万円くらいでしたが、とにかく節約を続けて年間約300万円以上を投資につぎ込んだ結果です。


トウシル:年収のほぼ8割の入金力はスゴイの一言です! 1億円を超えて変わったことはありますか?


御発注さん:節約生活は大きく変わりませんでしたが、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)を前よりは重視するようになりました。2008年に結婚し、その後子供が生まれたことも大きかったと思います。


 また、2億円を超えてからは少し心境が変わり、守りの投資も心がけました。

「預貯金」「債券」「高配当」で資産を構成し、暴落がきても資産が大きく目減りすることを防ぎたい、と思い、ポートフォリオの約3分の1をインカムゲイン目当ての投資にシフトしていきました。


 また、コロナ禍で大きく株価が下落した際も、第二の転機になりました。政府が経済政策で補助金などを市場に投じていたのを見て、「これからはインフレの時代が来る」と感じ、徐々にキャッシュポジションを減らして株式投資に回し、今はフルポジとなっています。


トウシル:コロナ禍以降、どんな銘柄を買われたのですか?


御発注さん:コロナ禍から通常の生活に戻ったらどうなるかを考えて銘柄を選びました。コロナが収まったら外出の機会が増えるだろうという観点からアパレルの 三陽商会(8011) や、無印良品のOEM製品を扱っていた 三栄コーポレーション(8119) などは、その後、株価も配当も上々で、大きな利益になりました。


トウシル:2015年に2億円、2018年に3億円、そして2024年末には、8億円の資産、2,000万円の年間配当収入を得られています。11年で超富裕層に到達されたのですが、その理由は何だと思われますか?


御発注さん:まずは「節約」で種銭をつくれたこと、そして辛いときも投資を辞めずに続けたことが理由だと思います。もちろん順風満帆だったわけではなく、リーマンショックの時は、保有額が元本割れして、超節約の努力が全部吹き飛んでしまい、精神的にキツイときもありました。


 ただ、市場をよく見ると、リーマンショック後は投資を始めた時よりもさらに割安になっていたんです。中には、株主優待と配当を合わせると8%くらいの利回りになっている銘柄もありました。保有していれば株主優待と配当金はもらえるので、いずれ株価は戻るだろうと思い、基本に立ち返ってコツコツと投資を続けました。


 4月のトランプショックで、株価が大きく下落しましたが、この程度の下げ幅は、僕にとって「気持ちいい」レベルでした(笑)。

まだ暴落とは言えないですし、すぐに株価が戻ってきましたからね。


御発注さんの現在(2025年5月現在)のポートフォリオ
優待と高配当投資で資産8億円、それでも僕が会社員を辞めないワケ:御発注さんインタビュー[後編]
日本株の主力銘柄は、 ゲオホールディングス(2681) 、 ニッピ(7932) 、 アシロ(7378) 、 三栄コーポレーション(8119) 、 DAIWA CYCLE(5888) 、 エスビー食品(2805)

 


会社員投資家にはたくさんのメリットがある

トウシル:御発注さんは社会から逃れるために超節約をして、結果、もう節約など必要ないほどの資産をお持ちです。8億円あればいつでも会社を辞められるはずですが、なぜまだ会社員なんですか?


御発注さん:最初は働くことを「強要」されることが辛すぎて、すぐに辞めたいと思っていました。しかし、いつでも辞められる状態になったら逆にストレスがなくなり、苦痛なく働けるようになってしまったんです(笑)。それに、会社員をしていると隠れた福利厚生がたくさんあります。


トウシル:どのような福利厚生ですか?


御発注さん:例えば定期券です。通勤定期券があるので、遊びで移動する際も無料で移動できます。また、会社に行けば、冷暖房完備の空間にいられて、割安な社食でお昼も食べられます。会社員である限り、年金も自分で払わなくて済むし、会社員ってけっこう快適で便利でおトクなんですよ。


優待と高配当投資で資産8億円、それでも僕が会社員を辞めないワケ:御発注さんインタビュー[後編]
8億円を超えても無駄なぜいたくはしない。旅行が好きで家族旅行によく行くが、車中泊ができる車を購入し、豪華ホテルではなく車中泊でワイワイ楽しむことが多い。お金をかけるよりみんなで楽しんだ経験のほうが貴重、と御発注さん。
年間配当2000万円! 超節約と優待株で8億円を貯めた御発注の「コジ活」投資法 、P184~P185/宝島社/1,760円(税込)/マンガ・イラスト:三ツ藤

トウシル:でも、8億円ですよ?8億円! もう働く必要ないじゃないですか(笑)。


御発注さん:ずっと会社にいるつもりはないですが、今のところ辞める予定はないです。僕は人生の最期に、病院のベッドで「ああ、あれをやっておけばよかった…」と後悔したくないんです。

今後、「世界中の全ての国を回りたい」など、会社を辞めないと時間が足りない夢が出てきたら明日にでも辞めますが、今はまだその順番が来ていないというだけです。


トウシル:もっと大事なことが出てきたら、優先順位は変わるということですね。


御発注さん:会社員は毎月給料がもらえるので、株価の上下で生活が困窮することはありません。これは会社員であることの最大のメリットです。実は僕のNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座は今、「含み損」なんです。S&P500種指数も米国債もマイナスになっていますが、給料が毎月入るので生活には困りません。


 逆に、会社員投資家で大変なのは、時間がないことです。個別株投資でインデックス以上のリターンを目指すならば、決算書を読んだり研究したりする時間が必要です。それができる人は挑戦したらいいと思うし、無理な人は、NISAで毎月、自動的に長く積み立てていけばいいと思います。


トウシル:投資も節約も、自分なりに無理せず長く続けることが大切ですね。あ、会社を辞めたらトウシルにもご連絡ください。何を満喫していらっしゃるのか、ぜひ教えてくださいね(笑)。


御発注さん:はい(笑)。


トウシル:本日は想像を絶する節約術から、波乱万丈の投資歴まで、さまざまなお話をありがとうございました!


優待と高配当投資で資産8億円、それでも僕が会社員を辞めないワケ:御発注さんインタビュー[後編]
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5株のつもりが500株を信用取引で誤発注!痛恨のミスで僕が学んだこと:御発注さんインタビュー[前編] はこちら>>


(トウシル編集チーム)

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