6月はドル売りスタート。ドル円3日続落、142円台まで円高

　2025年のドル/円は、月の前半に高値をつけて、後半に安値をつけるという明らかなパターンが見られます。しかも、今年5回のうち2回はその月の初日、1回は2日目に月の高値をつけています。

今日のレンジ予測

FRB批判：トランプ大統領「パウエル議長はFRBがつくり出したインフレを止められなかった」
米規制緩和：BOE総裁「市場と政治家はリーマンショックの教訓を忘れようとしている」
マイナス金利：日銀副総裁「日本の実質金利は依然マイナス。異常な状況が長期間続いている」
カナダ安：BoC「カナダ安はトランプ関税の影響を一部軽減できる」
政治忖度：植田日銀総裁「緩和政策続ける必要ある」

前日の市況

　6月2日（月曜）のドル/円相場の終値は142.68円。前日終値比1.37円の「円高」で、1日のレンジ幅は1.45円だった。

出所：楽天証券作成

　2025年109営業日目は143.73円からスタート。東京時間朝につけた143.99円がこの日の高値。144円台乗せに失敗して東京時間夜遅くには143円台を割ると142.54円まで下げてこの日の安値をつけた。

　TACO呼ばわりされてトランプ大統領が憤慨したのか、「6月4日から鉄鋼・アルミニウムの追加関税を50％に引き上げる」と表明した。これに対して、カナダ、オーストラリア、欧州連合（EU）は報復関税を検討と伝わるなど、貿易摩擦のエスカレーションを嫌気してドル売りが強まった。

　一方で、トランプ大統領と中国主席が今週電話会談を行う予定があることや、中国原産品に対する追加関税である「301条関税」の適用を一部8月末まで延期するなど、「明るい」ニュースもあった。しかしドル売りの流れを変えるには至らなかった。

ドル/円：サポートとレジスタンス

出所：楽天証券作成

レジスタンス：
147.67円    05/14
146.75円    05/15
146.28円    05/29
144.44円    05/30
143.99円    06/02

サポート：
142.54円    06/02
142.11円    05/27
141.97円    04/29
141.45円    04/23
139.89円    04/22

2025年 主要指標 終値

出所：楽天証券作成

今日の為替ウォーキング The Heart of Rock ＆ Roll

今日の一言

「これはじっくり考える価値のあるものか」と自問してみる。くだらない考える必要のないことは、とっとと「永久追放」する

The Heart of Rock ＆ Roll

　日米財務相会合でベッセント米財務長官と加藤勝信財務相は「為替は市場によって決定されるべき」との認識を共有した。だからといって、トランプ大統領がドル高を容認しているわけではない。投機筋は「マールアラーゴ合意」に備えて円買いポジションを構築している。

　ムーディーズが先週末に、米国の信用格付けを最上位「Aaa」から引き下げたこともドルの頭を重くしている。

　トランプ大統領が推し進める大型減税法案は、連邦政府の歳入を減少させることになり、米国の財政悪化懸念はさらに深刻になる懸念がある。米連邦準備制度理事会（FRB）のウォラー理事は「金融市場は、米国政府の財政規律の強化を求めている」と警告している。

　日本銀行は、米国の関税政策の不確実性を理由に、金融政策は「当面現状維持が適当である」との考えを示している。別の見方をすれば日米が貿易協定に合意すれば、日本経済の不確実性は低下するから、金利正常化サイクル（追加利上げ）に向けて動きやすくなるはずだ。

　もし、日米貿易協定の一部に為替水準が組み込まれることになれば、日銀の利上げは円安是正のための最強手段となるだろう。

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今週の注目経済指標

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コーンチャート分析

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（荒地 潤）