「株を買おうと思っているけど、だいぶ上がってしまった…」「下がったら買おうと思うけど、下がらずこのまま上がってしまうかも…」。個人投資家にとって株の買い時は最大の悩み。

トレンドの読み方、判断ポイントなどを個人投資家目線で解説。


株の買い時、いつが最適?買いを避けたい「過熱状態」の見分け方...の画像はこちら >>

株はいつ買えばいい?

 株式投資では、当然のことながら株を買って、その株を売ることで利益をあげ、資産を増やしていきます(配当金による利益の話はここでは触れないでおきます)。よって、「いつ株を買うか」は重要な話で、それにより損益も大きく異なってきます。


 しかし、専門家やプロと呼ばれる方に、「株をいつ買ったらよいのですか?」と聞くと、人により異なる回答が返ってくるため、さらに混乱する個人投資家も少なくありません。


 よくあるのが、「その企業を優良だと評価していて、今後も会社の業績が伸びる可能性が高いのなら、いつ買ってもよい」という回答です。


 この回答は決して間違いではないのですが、回答している専門家の時間軸と、個人投資家の時間軸が異なっている可能性があることに注意しなければなりません。


長期投資であれば「いつ買ってもよい」

 例えば、投資信託の積立投資などでは時間軸が数十年と長いため、2024年8月や2025年4月の株価急落、さらには2008年のリーマンショック時でさえも、長期間の株価推移からみれば単なる「ノイズ」とされます。ですから、株価の変動を気にせず「いつ買ってもよい」という考え方になります。


 長期的に見れば資本主義経済の発展により株価は右肩上がりに上昇するため、株価の変動を気にする必要もありません。それにより、株価が下落するタイミングなどを待たず、「できるだけ早く買った方がよい」という思考になるのです。


 この考え方を個別銘柄の長期投資に当てはめても同じことが言えますので、10年、20年、それ以上の時間軸で株式投資を考えているのであれば、「いつ買ってもそれほど大差はない」ということになります。


短期・中期投資の場合、過熱時の買いは避けたい

 一方、短期・中期投資であったり、筆者が実践しているように株価のトレンドに応じて売買を行ったりする場合は、「いつ買うか」は結構重要な要素になってきます。


 例えば、バブルのピークだったり、短期的に株価が急騰したりしているときの買いは、できるだけ避けるべきです。


 確かに数十年単位ならノイズになるかもしれませんが、1、2年程度の時間軸であれば、高く買ってしまうと、利益を上げるのがかなり難しくなってしまうからです。


 ただし、下手に株価急落時を狙って買おうとすると、何年もの間、株価が大きく下落せず、上昇を続けたような場合、その上昇の恩恵を受けられなくなる可能性もあります。


 よって実践的には、過熱状態での買いは避けつつ、通常時もある程度の保有はしておくと同時に、株価急落時に買い出動ができるように、目一杯のポジションは持たず、一定割合はキャッシュを確保しておくのが一つの考え方となります。


過熱状態かどうかを判断する注目ポイントはどこ?

 では、今が「過熱状態」かどうかを判断する際、どのようなものに注目しておくべきでしょうか?


 まず、個別銘柄でいえば、移動平均線からの乖離(かいり)が大きかったり、短期間で株価が大きく上昇している場合は、その状態から新規に買うのはかなり分が悪いと感じます。


 例えば、筆者であれば、25日移動平均線からのプラス乖離が10%を超えているようなものは買わないようにしていますし、1年間で数倍、3年間で10倍など、大きな上昇を見せているものも、できるだけ手を出さないようにしています。例外的に手を出す場合でも、損切り価格を事前に設定し、大きな損失を出さないように注意しています。


 また、マーケット全体でいえば、25日騰落レシオの130%超えだったり、日経平均株価の25日移動平均線からの8%プラス乖離だったりした場合、その後、調整局面が来る可能性が高いため、新規での買いは控えるようにしています。


 直近で言えば、2025年4~5月がよい例で、日経平均株価が一気に25%も反発した後は、新規でどんどん買い進めるのは、やはりリスクが高いと感じます。


 なお、新規での買いは控えるものの、すでに保有している銘柄については、無理に売却するということは、筆者はしていません。上昇トレンドをキープできている限り、保有を続けるようにしています。マーケット全体が調整局面に入っても、強い銘柄は株価上昇が続きますし、ここまで下がったら売却、というルールをあらかじめ決めておけば問題ないからです。


 長期目線で考えるのか、それとも短期・中期目線で考えるのかによって、買い時の考え方は変わってきます。ご自身の投資スタンスを確認して、それに合ったルールを設けるようにしましょう。


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(足立 武志)

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