急落する人気成長株を前に、あなたならどう行動しますか?「落ちてくるナイフ」を安全につかむ方法はあるのでしょうか? 私がファンドマネージャー時代に実践していた投資手法を学んでいただくためのクイズを出題します。


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第1問

 今日は、チャートを見て考えるクイズを二つ出します。まず、第1問です。


 人気の小型成長株は、いつも株価が高くて投資しにくいですね。そんな人気株が急落したら、すぐ買って良いでしょうか?


 N社は、画期的デジタルサービスを創り、急成長中の人気株です。ところが、世界景気が急激に悪化、日経平均株価が急落したあおりを受けて、N社株も急落しています。


 N社株を最終的に100株買いたいと思っていますが、ここで買うのは何株にしたら良いでしょうか? あるいは、ここでは買わない方が良いでしょうか? どうすべきか、以下の選択肢【1】~【4】から一つだけ選んでください。


【1】100株買う。
【2】「かぶミニ®」で50株だけ買って様子見する。
【3】「かぶミニ®」で20株だけ買って様子見する。
【4】買わずに様子見する。


<N社の株価チャート>


小型成長株が急落!すぐ買っていい?何株買う?ファンドマネージャーの実践術
出所:実在の会社をモデルとして筆者作成

「かぶミニ®」を使えば日本株を1株単位で売買できます

 日本株は通常100株からしか買えません。そのため株価1,000円で買える銘柄ならば、最低でも10万円(1,000円×100株)ないと投資できません。


 ただし、楽天証券の「かぶミニ®」(単元未満株取引)を使えば、1株単位で売買することができます。株価1,000円ならば、1株1,000円から売買が可能です。


かぶミニ®(単元未満株取引)取扱銘柄一覧


 クイズに出したN社は、「かぶミニ®」を使って、1株単位で売買できる銘柄です。


 最終的に100株買いたいと思っているN社をここで100株すぐに買うか、「かぶミニ®」で50株だけ買うか、20株買うか、あるいは何もしないで様子見するか選択するクイズです。


第1問の正解

 N社株は、今まさに急落中です。13週移動平均線も26週移動平均線も下向きです。


 相場格言に「落ちてくるナイフはつかむな」があります。「株価が勢いよく下がっている時に買うと、さらに大きく下がることがある」ことへの警告です。


 長期的には良い買い場かもしれませんが、短期的にはさらなる下値を警戒すべきです。100株全部、いきなり買ってしまうのは無謀です。


【1】100株買う、は誤り。


【2】50株買う、【3】20株買う、【4】買わずに様子見、はいずれも正解とします。


 私が考えるベストな選択肢は、【3】20株買う、です。長期的に上昇を期待する成長株だから少しは買いたいが、短期的な下値リスクが高いので、20株ずつ5回に分けて買っていく方針です。


 【2】でも良いです。50株ずつ2回に分けて買うのも悪くはありません。


 【4】も悪くはありません。急落中は手出ししないで底打ちしてから買い始めるのもOK。


第2問

 第1問で、N社を20株だけ買ったとして、その後、N社株は以下のチャートの通り、さらに下がりました。


 みなさまはN社を最終的に100株買いたいと思っていますが、現時点で20株だけ保有しています。ここで、どうしたら良いでしょうか? 以下【1】~【4】から一つだけ選んでください。


【1】80株買い増し。目標としていた100株の投資を完了する
【2】50株買い増し。合わせて70株保有。残り30株の買いタイミングをはかる
【3】20株買い増し。合わせて40株保有。残り60株の買いタイミングをはかる
【4】買わずに様子見する。


<N社、3カ月後の株価チャート>


小型成長株が急落!すぐ買っていい?何株買う?ファンドマネージャーの実践術
出所:実在の会社をモデルとして筆者作成

時間分散する意味

 第1問で【1】100株買う、を選んでいたら大変でした。株価はさらに大きく下がり、頭を抱えていたことでしょう。


 どんなに良い株だと確信していても、「落ちてくるナイフをつかむ」のは良いことではありません。

私はファンドマネージャー時代、下がってくる株を買う時は、5回くらいに分けて買うことを心掛けていました。


第2問の正解

 最初に20株買ってから3カ月たちましたが、N社株は、まだ勢いよく下がっています。13週移動平均線も26週移動平均線も下向きです。チャートを見ると、まだ「落ちてくるナイフ」です。


 長期的には良い買い場かもしれませんが、短期的にはさらに下がることを警戒した方が良いと思います。


 従って、【1】80株買って100株投資を完了は誤り。さらに下がった時に買う余力を残しておくべきです。


【2】50株買い増し、【3】20株買い増し、【4】買わずに様子見、はいずれも正解とします。


 私が考えるベストな選択肢は、【3】20株買い増しです。短期的な下値リスクは払拭(ふっしょく)できないので、20株ずつ5回に分けて買っていく方針を堅持します。


 N社はその後、以下のように推移しました。私がファンドマネージャーだったらどのように買うか、チャートに書き込みました。


<N社その後>


小型成長株が急落!すぐ買っていい?何株買う?ファンドマネージャーの実践術
出所:実在の会社をモデルとして筆者作成

 2回目に20株買い増ししたところが、後から振り返ると、まさに大底での買いです。


 あとから振り返るならば、第2問のところで、【1】80株買い増しして100株投資を完了、を選んでいれば大成功です。ただし、それは結果論です。


 誰もどこが大底になるか分かりません。ここが大底と決めつけて、大量に買い付けると、とんでもない損失を被ることになりかねません。「落ちてくるナイフ」に対して慎重に時間分散して買う姿勢を堅持すべきです。分からないなりに、少しずつ時間分散して買っていくのが、ベストな選択肢です。


テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく勉強したい方へ

 最後に、株式投資を書籍でしっかり勉強したい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方などを学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。


「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 」


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「株トレ」 シリーズ2点の書影

(窪田 真之)

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