国内需要の不振を東南アジアなど海外受注がカバー、今後は米関税が足かせに

現地コード 銘柄名 01882

海天国際


(ハイティエン・インターナショナル)


株価 情報種類

19.36HKD
(6月5日現在)


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 中国の射出成形機大手、海天国際の5月の新規受注は前年同月比10%台前半の伸びを示し、1-4月の増加ペースを維持したとみられる。ただ、需要状況はまちまちで、海外と国内が明らかに明暗を分けた。

1-4月に前年同期比横ばいだった国内の新規受注が5月には10%台前半の減少に転じる一方、海外受注は1-4月の10%台前半の伸びから、5月には50%超に加速。中でも東南アジアからの受注が倍増した。BOCIは輸出を取り巻く長期の不確実性を理由に、同社の収益成長率が市場予想を下回るとの見方。2025年の売上高、純利益に関する予想を前年比6%増、6.5%増に引き下げ、市場予想の10.6%増、10.9%増を下回る水準に設定した。また、輸出への逆風を踏まえ、目標株価を引き下げたが、目標水準までの上値に言及。株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。


 2025年1-5月期の新規受注の伸びは前年同期比10%台前半。経営陣が示した2025年通期の売上高に関するガイダンス(前年比10%増)を上回るペースとなった。ただ、国内需要は低調。BOCIはマクロ経済の減速による自動車・家電業界への影響に加え、川下のプラスチック製品メーカーが追加関税による輸出減への懸念から生産計画を削減する、あるいは他国への生産移転に動き始めたことが響いたとみている。対照的に、海外からの新規受注は5月に急回復したが、そのけん引役は東南アジアであり、5月の受注伸び率は前年同月比100%超。海外需要の急拡大が国内の不振を相殺した。


 同社は2023年8月に製品値下げに動いたが、一段の価格引き下げの計画はないとしている。現在のところ、新規受注のうち、30%は大型プラスチック射出成型機(PIMM)。残りは小型・中型PIMMとなっている。


 同社経営陣は当初、2025年の売上高と純利益について前年比10%増とのガイダンスを示していたが、関税問題を受け、この先、下方修正する可能性が高い。米中は5月前半、追加関税率の暫定的な大幅引き下げに合意したが、関税合戦の先行きは依然不透明であり、同社の輸出業務に一定の打撃となる可能性がある。同社の海外売上高は2024年に全体の37.3%だったが、海外売上高のうち北米の割合は13.9%。売上高全体に占める北米の比率は5.18%だった。ただ、これは直接輸出分に限った数字。同社の顧客である国内プラスチック製品メーカーの一部は米国向けに製品を輸出しており、BOCIは間接的な対米輸出の比重は無視できないとしている。


 BOCIは2025年の増収率、増益率に関する予想を6%、6.5%に下方修正するとともに、2026-27年の予想増益率を6%、5.5%に引き下げた。利益成長の鈍化見通しを受け、目標株価の算出基準を2024年予想株価収益率(PER)13倍から、25年予想PER11.5倍に下方修正。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。


(Bank of China int.)

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