6月ごろに届く「住民税決定通知書」や「特別徴収税額通知書」。届いたらまず確認したいのは自分の住民税額や、ふるさと納税による税額控除ができているかなど。

必ず開封して、確認しておきたい重要ポイントを押さえよう。


ふるさと納税の控除できてる?「住民税決定通知書」で確認するチ...の画像はこちら >>

住民税決定通知書とは?

 住民税は所得税と異なり、前年分の所得を基に今年の納税額が計算され、決定されます。この決定された税額を、会社からの特別徴収(給与からの天引き)であれば6月~翌年5月まで12回に分けて納付、普通徴収(自身で納付)であれば6月末、8月末、10月末、翌年1月末の4回の期日に分けて納付することとなっています。


 毎年6月ごろになると、住民税を会社から特別徴収されている方は会社から、そうでない方(普通徴収の方)は自治体から、「住民税決定通知書」もしくは「特別徴収税額通知書」というものが送られてきます。


 なお、令和6年度から、勤め先の会社によっては、紙ではなく電子データにより「特別徴収税額通知書」が交付される場合もあります。


参考: 地方税共同機構のパンフレット


住民税決定通知書で何が分かるのか?

 住民税決定通知書(会社勤めの方の場合は特別徴収税額通知書)に記載されているのは次のような内容です。


[1]納付額:今年度納付すべき税額が、月ごとに記載されています。この金額が毎月の給与から天引きされます。
[2]所得額:給与所得の額やその他所得の額が記載されています。
[3]所得控除:基礎控除、扶養控除、社会保険料控除などの所得控除の内容やその額が記載されています。
[4]税額:住民税額や、ふるさと納税などによる税額控除の額が記載されています。


参考: 特別区民税・都民税 特別徴収税額通知書の見方(千代田区の例)


ふるさと納税の控除が行われているかを確認しよう

 ふるさと納税による住民税の税額控除がある場合は、通知書中に「寄附金税額控除額 ××円」などと記載されています(実際にどのような形で記載されるかは自治体により異なります)。


 もしご自身が令和6年中にふるさと納税をしたにもかかわらず、令和7年6月に受け取る「住民税決定通知書」もしくは「特別徴収税額通知書」の中に、「寄附金税額控除」の金額が記載されていない場合や金額が合わない場合は、ふるさと納税が反映されていないことになります。


 その理由と、対処法をまとめてみました。


[1]ワンストップ特例の申し込みをしておらず、かつ所得税の確定申告でふるさと納税について申告していない
対処法:所得税の期限後申告もしくは更正の請求を行い、ふるさと納税につき申告する


[2]ワンストップ特例の申し込みをしたつもりだったが、引っ越しなどで住所が変わったためワンストップ特例が使えていなかった
対処法:所得税の期限後申告もしくは更正の請求を行い、ふるさと納税につき申告する


[3]ワンストップ特例の申し込みをしたが、所得税の確定申告をしていて、かつふるさと納税についてはワンストップ特例を使っているため不要と勘違いして申告しなかった
対処法:所得税の確定申告をするとワンストップ特例が使えないので、ふるさと納税につき所得税の更正の請求にて申告する


ふるさと納税の金額と控除額が合わない場合はどうすればよい?

 ふるさと納税の金額は、ワンストップ特例の場合、「寄付金額-2,000円」と「寄附金税額控除額」がほぼ一致します。


 また、ワンストップ特例の適用を受けていない場合は「寄付金額-2,000円」と「所得税の寄付金控除による控除税額と住民税の寄附金税額控除額の合計額」がほぼ一致します。


 もし、「ふるさと納税の金額-2,000円」と、実際の控除税額が合わないという場合、次のような理由が考えられます。ケースごとに対処方法を整理しました。


[1]ふるさと納税した金額の一部が申告漏れになっている
対処法:所得税の更正の請求により漏れているふるさと納税について申告する


[2]ふるさと納税した金額が、自己負担2,000円の範囲を超えている
確認:この場合はふるさと納税による税控除額が「ふるさと納税額-2,000円」より小さくなってしまう


再発行は不可のため、大事に保管しておこう

 住民税決定通知書を紛失してしまった場合、再発行はできません。ただし、所得証明書や納税証明書を自治体で発行してもらうことができるので、それで代替可能なことが多いです。


 例えば住宅ローンを新たに組むような場合、収入の証明のために金融機関から提示を求められることもあります。


 また、上記のようにふるさと納税の控除が適切に行われているかを確認するためにも使います。


 そのため、手元に届いた「住民税決定通知書」や「特別徴収税額通知書」は、内容を確認するとともに、大事に保管することをお勧めします。


(足立 武志)

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