米国発の相互関税発表で乱高下した株式相場は強い企業決算の発表で大きく戻しましたが、今度は中東の地政学リスクが高まっており、不安視されています。原油価格の上昇などからインフレ再燃も懸念されています。

その中で投資妙味のある高配当株も現れています。


5万円で買える米国高配当株。関税影響に注目(7月権利落ち分)...の画像はこちら >>

 米国の株式市場は世界最大の時価総額を持ち、建国当初から株価は右肩上がりの成長を続けています。その理由の一つとして、常に企業の新陳代謝が起こり、時代ごとに革新的な企業を生み出していることが挙げられます。


 米国株式の代表的な株式指数には下記があります。


  • 鉄道・公共事業以外の工業株30銘柄で構成される「NYダウ平均株価」
  • ナスダック(NASDAQ)に上場している全銘柄を対象とした「ナスダック総合株価指数」
  • ニューヨーク証券取引所(NYSE)とNASDAQに上場している大型株500銘柄を対象とした「S&P500種指数」

 これらに採用されている企業は長期間にわたり利益を出し続け、株価も上昇し、配当を増配し続けている銘柄も珍しくはありません。


 そこで2025年7月権利落ちの米国株高配当5銘柄について解説します。


▼参照データ
•    株価… 楽天証券 のHPにて、日本時間2025年6月11日終値を採用
•    時価総額… 楽天証券 のHPにて、日本時間2025年6月11日時点の記載情報を採用
•    配当情報、決算情報… Investing.com のHPにて、日本時間2025年6月11日時点の記載情報を採用
•    為替:1ドル=145.00円で計算
※上記日付のデータで数値を抽出・算出しております。記事公開後の市況変動で数値が異なる場合がございますので、ご了承いただきますようお願いいたします。

 まずは、日本と米国の高配当銘柄への投資で、特に重要な三つの違いについて、お伝えします。


(1)米国株の配当金は、通常米国で10%、日本で20.315%の2段階、約30%の課税がされます。しかし確定申告で還付を受けることにより、日本株と同じように20.315%の税率と同じになります。


 ただし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で購入した場合は、日本での利益・配当金はもともと非課税のため、還付を受けることはできません。

この場合は米国で10%の課税のみとなります。


 ※米国市場で上場していても、国籍が米国籍企業以外の場合、配当金にかかる源泉税率は日本との租税条約によって異なり10%ではありません。


(2)米国株は日本株と異なり、権利落ち日が月末に集中していません。そのため、銘柄ごとに権利落ち日を確認する必要がありますので注意が必要です。


(3)米国株は日本円で買う円貨決済と、米ドルで買う外貨決済を選べます。日本円から外貨に替える為替手数料も積み重なると大きな金額になるので、米国株を買い続けるなら売却時にも外貨決済で米ドルにしなければ無駄に手数料を支払うことになります。


 2024年に制度改正された新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠に分かれていますが、米国株も投資できる成長投資枠では、年間240万円を運用期間無期限かつ最大1,200万円まで投資が可能となり、制度期間も恒久化されています。


 とはいえ、米国株でNISAを必ず枠全部まで利用しなければいけないわけではありません。運用期間が無期限になったことにより、自分のペースで投資をすることができますので、無理のない範囲で長期投資の手段として有効活用していきましょう。


【2024年からの新NISA制度について、詳しい説明は こちら 】


米国高配当株1: アンテロ・ミッドストリーム(AM)

 アパラチア盆地で事業を展開するフルサービス型ミッドストリームエネルギー企業で、収集パイプライン、圧縮施設、加工・分留プラントへの出資、および北米の主要なシェール層であるマーセラス・シェールとウティカ・シェールにおける水処理システムなどを取り扱っています。


 集荷事業を通じ、集荷パイプラインと圧縮ステーションのネットワークを使って天然ガスを輸送し、MPLXとのジョイントベンチャーを通じ、処理・分画資産の開発を進め、水処理事業では、オハイオ川、地元の貯水池、複数の地域水系から水を調達し、井戸の完成工事を支援するための永久パイプラインなどを展開しています。


 時価総額は89億9,000万ドルで、日本円で約1兆3,000億円となっています(1USD=145.00円換算)。


事業の注目ポイント

 事業の中心は「収集&集荷事業(Gathering and Processing)」で、続いて「水処理事業(Water Handling)」となります。


「収集&集荷事業」では、ウェストバージニア州とオハイオ州にあるAntero Resourcesの油井からの生産物を集荷・加工する集荷パイプラインとコンプレッサーステーションのネットワークが含まれ、「水処理事業」では、オハイオ川、地元の貯水池、いくつかの地域水路を含む水源から水を供給する二つの独立したシステムが含まれています。


5万円で買える米国高配当株。関税影響に注目(7月権利落ち分)
※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

競合他社

 競合他社として、多様なミッドストリーム資産を所有・運営・開発・買収し、会社および第三者顧客にサービスを提供するミッドストリーム会社である ヘス・ミッドストリーム(HESM) 、北米における中流サービスを提供する会社であり、補完的な国内中流インフラ資産の多様なポートフォリオを所有・運営・買収・開発し、米国全土にエネルギーを供給する タルガリソース(TRGP) などがあります。


株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は横ばいで推移しています。


 5億ドルの株式買い戻しプログラムがある中で、2025年3月31日現在、2,900万ドルで170万株を買い戻しましたが、まだ多くのプログラム残存容量を有していることも好調な株価につながっています。


 直近の決算で会社側は、「処理量拡大と債務および利息費用の減少により、前年同期比で二桁の1株当たり利益成長を達成することができ、これにより債務の削減、魅力的な配当の支払い、株式の買い戻しを通じて、株主への資本還元を強化することができました」と発表しています。


 好調な業績と多くの自社株買いの残存容量から今後も堅調な株価の推移が期待されます。


業績動向

 2025年4月30日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。


 直近の決算で会社側は、「集荷量拡大と記録的な処理量を達成した第1四半期となり、さらに第1四半期末にTorrey's Peak compressor stationを稼働開始することができましたが、当初の予定だった第2四半期稼働開始より早期の達成となり、推定3,000万ドルの資本コスト削減効果が見込まれるとともに、この稼働によって2025年を通じて予想される集荷量成長を支えることになります」と発表しています。


 また、これらによって調整後純利益は1億3,400万ドルとなり、前年同期比で1株当たり17%増加したとも発表しており、今後も堅調な業績が期待されます。


 次回2025年7月23日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。


注意点

 関税の影響は株価にほとんど影響が出ていない状況ですが、環境規制など外部要因で業績に悪影響を及ぼす可能性には注意が必要です。


株価動向、配当利回り紹介

配当:0.90ドル
配当利回り:4.89
株価:18.13ドル(約2,600円)


 この銘柄、権利落ち日は7下旬の予定(権利実施は8上旬)です。


 配当利回りは611日時点で4.89%、株価は611日終値が18.13ドルでおよそ2,600円から購入できます(1USD=145円計算)。


 2023年からの最高値は18.99ドル、最安値は9.79ドルとなっています(終値ベース)。


米国高配当株2: AT&T(T)

 全国規模の高速・信頼性・セキュリティに優れた5Gと、拡大を続けるマルチギガビット光ファイバー家庭用インターネットサービスを組み合わせ、変革をリードしています。


 145年以上前にアレクサンダー・グラハム・ベルが電話を発明して以来、人と企業をつなぐ分野におけるリーダーとしての地位を維持し、現在はスマートな住宅や都市、高品質のリモートヘルスケア、拡張現実や仮想現実、そして洗練された新しい職場コラボレーションツールなど、あらゆることを可能にするネットワークの強化に取り組んでいます。


 時価総額は2,020億5,200万ドルで、日本円で約29兆3,000億円となっています(1USD=145.00円換算)。


事業の注目ポイント

 事業の中心は「コミュニケーション事業(Communications)」で、続いて「中南米事業(Latin America)」となります。


「コミュニケーション事業」では、AT&T、AT&T Businessなどの複数のブランド名で米国内の消費者および世界中の企業に無線・有線通信サービスおよびブロードバンド・サービスを提供しており、「中南米事業」では、メキシコにて全国的な無線ネットワークを利用し、消費者および法人顧客に無線データ通信および音声通信サービスを提供しています。


5万円で買える米国高配当株。関税影響に注目(7月権利落ち分)
※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

競合他社

 競合他社として、米国、プエルトリコ、米領バージン諸島において、主力ブランドである「T-Mobile」「Metro by T-Mobile」や「Mint Mobile」を通じて音声、メッセージング、データなどの無線通信サービスを提供する T-モバイル・US(TMUS) 、ルクセンブルグに本拠を置く国際的なデジタル通信およびメディア企業である ミリコム・インターナショナル・セルラー(TIGO) などがあります。


株式の注目ポイント

 株価は年初水準を上回って推移しており、配当は横ばいで推移しています。


 関税の話が出ている状況であるにもかかわらず事業の中心が米国であることから、株価は影響を受けずに上昇しています。


 直近の決算で会社側は、「高品質で利益率の高い5Gおよび光回線サービスの加入者増加を背景に、適切な成長戦略を継続していることを示す堅調な第1四半期業績を発表することができ、そのかいもあって2025年通期の財務および事業見通しを全て維持しており、さらに第2四半期中に株式買い戻しを開始する計画です」と発表しています。


 業績が堅調なことと、自社株買いを予定していることから今後も底堅い株価の推移が期待されます。


業績動向

 2025年4月23日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回り、売上は市場予想を上回りました。


 直近の決算で会社側は、「業績面では調整後1株当たり利益(EPS)は前年同期0.48ドルに対して0.51ドル、営業活動によるキャッシュフローは前年75億ドルに対して90億ドル、フリーキャッシュフローは前年28億ドルに対して31億ドル、事業面では26万1,000件のAT&Tファイバーの純増となり21四半期連続で20万件以上の純増となり、消費者向け光ブロードバンド売上高は21億ドルで前年同期比19.0%増となるなど好調な結果となった」と発表しています。


 2025年見通しにおいても、会社計画を着実に実行しており今後も堅調な業績が期待されます。


 次回は2025年7月23日に四半期決算の開示予定ですが、前年同期の業績を上回る数字を出せるか注目です。


注意点

 インフレの高まりによるコスト高には会社も懸念であると発表しています。


株価動向、配当利回り紹介

配当:1.11ドル
配当利回り:3.98
株価:28.42ドル(約4,100円)


 この銘柄、権利落ち日は7中旬の予定(権利実施は8上旬)です。


 配当利回りは611日時点で3.98%、株価は611日終値が28.42ドルでおよそ4,100円から購入できます(1USD=145円計算)。


 2023年からの最高値は28.60ドル、最安値は13.45ドルとなっています(終値ベース)。


米国高配当株3: RBC(RY)

 目的主導、原則主導のアプローチでトップクラスの業績を実現するグローバル金融機関です。


 カナダ最大の銀行として、また時価総額ベースで世界最大級の銀行として、カナダ、米国、その他27カ国の1,800万人を超えるお客さまに、イノベーションと卓越した体験を提供することに重点を置いた多様なビジネスモデルを展開しています。


 9万8,000人以上の行員が想像力と洞察力を駆使してビジョン、価値観、戦略を実現し、顧客と地域社会の繁栄を支援し続けています。


 時価総額は1,798億6,200万ドルで、日本円で約26兆800億円となっています(1USD=145.00円換算)。


事業の注目ポイント

 事業の中心は「個人向け銀行事業(Personal Banking)」で、続いて「資本市場事業(Capital Markets)」、「ウェルスマネジメント事業(Wealth Management)」、「商業銀行事業(Commercial Banking)」、「保険事業(Insurance)」となります。


「個人向け銀行事業」では、本拠地であるカナダ市場にサービスを提供しており、カナダ全土で最大の支店網、最多のATM、最大級のモバイル営業部隊を擁し市場をリードするデジタル機能を備えています。


 また、「資本市場事業」では世界中の企業、機関投資家、資産運用会社などに対してアドバイス、商品、サービスを提供しています。


5万円で買える米国高配当株。関税影響に注目(7月権利落ち分)
※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

競合他社

 競合他社として、金融持株会社で、投資銀行業務、消費者および小規模企業向けの金融サービス、商業銀行業務、金融取引処理および資産管理を行う JPモルガン・チェース(JPM) 、個人、企業、機関投資家向けに、バンキング、投資、住宅ローンなど多角的な商品・サービス、消費者金融、商業金融を提供する ウェルズ・ファーゴ(WFC) などがあります。


株式の注目ポイント

 株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は今年に入って増配しています。


 普通株式最大3,500万株の普通株式買い戻しプログラムを開始すると発表したこともあって株価は底堅く推移しています。


 直近の決算で会社側は、「第2四半期において当社の多様な事業モデルの強さが主要な事業部門全体に反映され、マクロ経済の不確実性と市場変動が特徴的な四半期においても、お客さまが当社に期待するアドバイス、洞察、経験を提供し続けることで、お客さまを支援し続けた結果である」と発表しています。


 業績は堅調に推移することが予想されており、今後もそれに伴う株価の推移が期待されます。


業績動向

 2025年5月29日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回り、売上は市場予想を上回りました。


 直近の決算で会社側は、「四半期における純利益が44億カナダドルと前年同期比4億カナダドル増加、希薄化後1株当たり利益は3.02カナダドルで前年同期比10%の増加となったが、これは個人向け銀行事業、ウェルスマネジメント事業、保険事業の利益成長と、商業銀行事業の業績改善によるものだ」と発表しています。


 今後も、人工知能への投資、米国を含むグローバルな手数料収入の拡大に取り組んでいくことで中期目標の達成に取り組んでまいりますとも発表しておりこれからの堅調な業績が期待されます。


 次回は2025年8月27日に四半期決算の開示予定ですが、前年同期の業績を上回る数字を出せるか注目です。


注意点

 金融政策の不確実性による景気への悪影響については会社側も懸念であると発表しています。


株価動向、配当利回り紹介

配当:4.46ドル
配当利回り:3.49
株価:128.31ドル(約1万8,600円)


 この銘柄、権利落ち日は724の予定(権利実施は822日)です。


 配当利回りは611日時点で3.49%、株価は611日終値が128.31ドルでおよそ1万8,600円から購入できます(1USD=145円計算)。


 2023年からの最高値は128.94ドル、最安値は78.19ドルとなっています(終値ベース)。


米国高配当株4: エジソン・インターナショナル(EIX)

 Southern California EdisonとTrioの親会社として、電気電力業界の変革をリードし、クリーンエネルギーの未来へと導くことをビジョンとしています。


 140年近いイノベーションの歴史を持つエジソン・インターナショナルは、クリーンエネルギー、効率的な電気化、未来の電力網、顧客の選択権といった分野における機会を捉え事業強化と成長を目指すための基盤と準備を整えています。


 時価総額は206億8,400万ドルで、日本円で約3兆円となっています(1USD=145.00円換算)。


事業の注目ポイント

 事業は「SCE事業(Southern California Edison)」の単一事業で構成されています。


「SCE」は、エジソン・インターナショナルの子会社であるSouthern California Edisonの略称であり、米国最大級の電力会社の一つで、再生可能エネルギーとエネルギー効率化分野で長年リーダーシップを発揮しています。また、中央カリフォルニア、沿岸部、南部カリフォルニアの約5万平方マイルに及ぶ地域で、約1,500万人の顧客に電気サービスを提供しています。


競合他社

 競合他社として、全国規模でエネルギー関連ビジネスおよびサービスの開発・管理を行う多角的なエネルギー会社である DTEエナジー(DTE) 、公益事業子会社を通じてエネルギー供給事業を行う公益事業持株会社である エバーソース・エナジー(ES) 、オクラホマ州とアーカンソー州西部で電力を供給する持株会社である OGEエナジー(OGE) などがあります。


株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を3割近く下回って推移しており、配当は昨年増配し21年連続増配となっています。


 1月7日からロサンゼルス全域を襲った、米国史上最も高額な自然災害と推定される大規模な山火事をSCEの送電線と鉄塔が火災の一つであると主張する複数の訴訟に直面していることで株価は年初に下落し、その後横ばいで推移しています。


 一方で、株価が下落したことで以前まで4%台だった配当利回りは6%近くまで上昇しており、ヘッジファンドも同社の保有株数を増やすなどの動きを見せていることから、生活になくてはならない電力事業を営む同社の保有を検討してみてもよいのではないでしょうか。


業績動向

 2025年4月29日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を下回りました。


 直近の決算で会社側は、「山火事被害を受けた地域をこれまで以上に強固に再建し、SCEのこれらの地域における送電網の強化工事が完了すれば、送電インフラへの強風やその他の極端な気象条件の影響を軽減し、信頼性を向上させ、地域社会をより効果的に保護し支援することが可能になります」と発表しています。


 第1四半期の調整後利益は5億2,800万ドル(1株当たり1.37ドル)で、前年同期の4億3,800万ドル(1株当たり1.13ドル)と比べ増加しており、2025年から2028年までのコアEPS成長率5~7%の達成には引き続き自信を持っているとも発表しており今後の業績回復が期待されます。


 次回2025年7月24日に開示予定の四期決算で、前年同期を上回る決算を発表できるか注目です。


注意点

 会社側は、今後も自然災害の業績に与える影響は懸念であると発表しています。


株価動向、配当利回り紹介

配当:3.31ドル
配当利回り:6.69
株価:50.44ドル(約7,300円)


 この銘柄、権利落ち日は7上旬の予定(権利実施は7下旬)です。


 配当利回りは611日時点で6.69%、株価は611日終値が50.44ドルでおよそ7,300円から購入できます(1USD=145円計算)。


 2023年からの最高値は88.36ドル、最安値は49.42ドルとなっています(終値ベース)。


米国高配当株5: バータス・インベストメント・パートナーズ(VRTS)

 個人投資家と機関投資家の長期的な成功に専念する独自のブティック型投資運用会社のパートナーシップです。


 おのおのが独自の投資スタイルと独立した投資プロセスを有する関連投資運用会社および選任のサブアドバイザーを通じて、多様な分野と商品タイプにわたる投資ソリューションを、幅広い投資家のニーズに対応してご提供しています。


 時価総額は11億7,800万ドルで、日本円で約1,700億円となっています(1USD=145.00円換算)。


事業の注目ポイント

 事業はブティック型投資運用業務(boutique investment)の単一事業で構成されています。


 2024年12月31日時点の運用資産残高は、機関投資家向け運用口座(Institutional Accounts)、リテール向け運用口座(Retail Separate Accounts)、米国リテール・ファンド(U.S. Retail Funds)、クローズド・エンド型ファンド(Closed-End Funds)などの順に続いており、資産クラス別では株式(Equity)、債券(Fixed Income)、投資信託(Multi-Asset)、オルタナティブ(Alternatives)の順となっております。


競合他社

 競合他社として、世界的な独立系投資運用会社である アフィリエーテッド・マネジャーズ・グループ(AMG) 、南北米、欧州、中東、アジア、オーストラリアで事業を展開する金融アドバイザリーおよび資産管理会社である ラザード・インク (LAZ) 、ケイマン諸島に本拠を置く世界的なオルタナティブ投資会社である パトリア・インベストメンツ(PAX) などがあります。


株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を2割程度下回って推移しており、配当は昨年増配しています。


 バータス・インベストメント・パートナーズの総株主利益率は商品および戦略全体にわたって相対的に高い投資パフォーマンスを維持しており、2024年12月31日時点ではリテール特別勘定資産の84%、機関投資家向け資産の52%がそれぞれのベンチマークを5年ベースでアウトパフォームし、格付けされた米国リテール・ファンド資産の72%がモーニングスターの総合評価で五つ星または四つ星を獲得しています。


 ただ、マーケット変動の影響から年初と比較して株価は下落しており、それに伴って以前は3~4%台だった配当利回りが5%台まで上昇しており配当を目的として保有を検討してもよいのではないでしょうか。


業績動向

 2025年4月25日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を下回り、売上は市場予想を上回りました。


 直近の決算で会社側は、「第1四半期は市場のボラティリティが厳しく、運用資産残高の減少につながりましたが、正味の資金流出はあったものの、引き続き堅調な財務・営業成績を達成しました」と発表しています。


 また、「前年同期比で1株当たり利益が増加し、商品全般にわたる債券戦略の売上が増加し、最近のボラティリティを通じた相対的な投資パフォーマンスが非常に堅調であり、四半期末時点のバランスシートが堅固であり、事業への投資と資本還元に継続性が保てている」と発表しており、相場が荒れている中でも堅調な業績を維持しています。


 次回2025年7月25日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。


注意点

 極端なマーケット変動は将来の業績に影響を与える可能性のあるリスクとして会社側は懸念しています。


株価動向、配当利回り紹介

配当:9.00ドル
配当利回り:5.13
株価:177.25ドル(約2万5,000円)


 この銘柄、権利落ち日は731日(権利実施は815日)です。


 配当利回りは611日時点で5.13%、株価は611日終値が177.25ドルでおよそ2万5,000円から購入できます(1USD=145円計算)。


 2023年からの最高値は250.89ドル、最安値は143.20ドルとなっています(終値ベース)。


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(西崎努)

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