成長株・割安株の違いを、実在の企業を例として、クイズを解きながら学んでいただきます。最後に、高配当利回りの買い推奨銘柄を二つ紹介します。


ファストリ、INPEX、王子HD、リクルートHD、配当利回り...の画像はこちら >>

今日のクイズ

 今日は、株価指標で割安な銘柄を当てるクイズを出します。


 株価収益率(PER)が低い株、株価純資産倍率(PBR)が低い株、配当利回りが高い株を、株価指標から見て割安な株と言います。それを当てるクイズです。


 2015年以降の株価の動きも、参考までにご覧ください。


 クイズを二つ出します。


【第1問】
 以下に、A社・B社の、2025年6月17日時点のPER・PBR・配当利回りと、2015年以降の株価推移が出ています。A社・B社は、それぞれ以下2社のどっちでしょう?


【1】 ファーストリテイリング(9983) (カジュアル衣料品店「ユニクロ」経営)
【2】 INPEX(1605) (日本最大の原油・ガス開発生産企業)


<A社・B社の株価指標:2025年6月17日>


ファストリ、INPEX、王子HD、リクルートHD、配当利回り4~5%の割安株はどれ?
出所:QUICKより筆者作成

<A社・B社の株価推移比較:2014年末~2025年6月(17日)>


ファストリ、INPEX、王子HD、リクルートHD、配当利回り4~5%の割安株はどれ?
出所:2014年末の値を100として指数化、QUICKより筆者作成

 【第2問】
 以下に、C社、D社の、2025年6月17日時点のPER・PBR・配当利回りと、2015年以降の株価推移が出ています。C社・D社は、それぞれ以下2社のどっちでしょう?


【3】 王子ホールディングス(3861) (紙・パルプ業界の国内トップ企業)
【4】 リクルートホールディングス(6098) (インターネットサービス大手、人材・販促サービスなど)


<C社・D社の株価指標:2025年6月17日>


ファストリ、INPEX、王子HD、リクルートHD、配当利回り4~5%の割安株はどれ?
出所:QUICKより筆者作成

<C社・D社の株価推移比較:2014年末~2025年6月(17日)>


ファストリ、INPEX、王子HD、リクルートHD、配当利回り4~5%の割安株はどれ?
出所:2014年末の値を100として指数化、QUICKより筆者作成

PERとは

 株式投資をするとき、投資する銘柄のPERを見ていますか? PER10倍だから株価は割安とか、PER40倍だから割高といった話を聞いたことがありますか?


 PERは以下の式から計算されます。


PER=【株価】÷【1株当たり利益(今期予想)】


 詳しい解説は、以下のレポートからお読みください。


クイズでわかる!資産形成2024年12月14日: PERの高い株・低い株、どちらを買うべき?PER何倍なら割安?


PBRとは

 株式投資をするとき、投資する銘柄のPBRを見ていますか? PBR0.7倍だから株価は割安とか、PBR5倍だから割高といった話を聞いたことがありますか?


 PBRは以下の式から計算されます。


PBR=【株価】÷【1株当たり純資産】


 詳しい解説は、以下のレポートからお読みください。


クイズでわかる!資産形成2024年4月6日: PBR1倍割れってどういう意味?今、注目される理由とは


正解

【第1問】
 A社は【1】ファーストリテイリング、B社は【2】INPEXです。


<ファーストリテイリング・INPEXの株価指標:2025年6月17日>


コード 銘柄名 株価:円 配当
利回り PER:倍 PBR:倍 9983 ファーストリテイリング 46,400.0 1.0% 34.7 6.5 1605 INPEX 2,114.5 4.3% 8.4 0.5 出所:各社決算短信・QUICKより作成、配当利回りは今期1株当たり配当金(会社予想)を6月17日株価で割って算出、1株当たり配当金はファーストリテイリング480円、INPEX90円、今期とはファーストリテイリング2025年8月期、INPEX2025年12月期

「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、株式市場で「成長株」として認識されています。過去の売上・利益の成長率が高く、株価上昇率も高かったからです。そのため、PER・PBRで高い株価評価となっています。


 一方、INPEXは、株式市場で「割安株」として認識されています。過去の売上・利益の成長率・株価の上昇率があまり高くなかったからです。そのため、PER・PBRで低い株価評価となっています。


 INPEXは、長年にわたる先行投資が実り、オーストラリアなどの海底ガス田の生産が増え、業績が拡大する局面に入っていると私は判断しています。従って、INPEXの投資判断は「買い」です。高配当利回り株として長期投資する価値が高いと考えています。


【第2問】
 C社は【4】リクルートHD、D社は【3】王子HDです。


<リクルートHD・王子HDの株価指標:2025年6月17日>


コード 銘柄名 株価:円 配当
利回り PER:倍 PBR:倍 6098 リクルートHD 7,900.0 0.3% 26.8 7.0 3861 王子HD 693.6 5.2% 10.0 0.6 出所:各社決算短信・QUICKより作成、配当利回りは2026年3月期1株当たり配当金(会社予想)を6月17日株価で割って算出、1株当たり配当金はリクルートHD25円、王子HD36円

 リクルートHDは、株式市場で「成長株」として認識されています。過去の売上・利益の成長率が高く、株価上昇率も高かったからです。

そのため、PER・PBRで高い株価評価となっています。


 一方、王子HDは、株式市場で「割安株」として認識されています。過去の売上・利益の成長率・株価の上昇率があまり高くなかったからです。そのため、PER・PBRで低い株価評価となっています。


 王子HDは、近年の構造改革の成果で、安定的に高収益を得られるビジネスモデルができつつあると判断しています。従って、王子HDの投資判断は「買い」です。高配当利回り株として、長期投資する価値が高いと考えています。


テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく勉強したい方へ

 最後に、株式投資を書籍でしっかり勉強したい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方などを学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。


「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 」


「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編 」


ファストリ、INPEX、王子HD、リクルートHD、配当利回り4~5%の割安株はどれ?
「株トレ」 シリーズ2点の書影

(窪田 真之)

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