成長のための資金を負債に依存していることを考えると、金利の上昇(インフレ)は本質的に破壊的である。
アメリカ帝国の終焉:長期債務サイクルはフォース・ターニング(第4の転換期)と一致している
タッカー・カールソンは、トランプ大統領がイスラエルの攻撃に「加担している」と述べ、大統領に「イスラエルを放棄し、イスラエル自身の戦争を戦わせる」よう求めた。
「米国はいかなるレベルにおいてもイランとの戦争に参加すべきではない。
今回のイスラエルの攻撃でトランプ支持者の多くは落胆していると報道されているが、結局、軍産複合体やネオコンにトランプも巻き込まれていく。残念ながら戦争は止められそうにない。
プーチン大統領の知恵袋であるロシアの哲学者アレクサンダー・ドゥーギンは次のように述べている。
【イスラエルは、「ライジング・ライオン作戦」が失敗した場合、代替案として、イランとイエメンに対する核兵器の直接使用、そして必要な場合には自殺計画としてイスラエル国内で汚い爆弾を爆発させることを含む「サムソン・オプション」を取るだろう。
*「サムソン・オプション」:イスラエルには、核兵器を使う際には、このサムソンのように自らも滅びることを覚悟して敵国に壊滅的な打撃を与える戦略、その名も「サムソン・オプション」という考え方があると語られてきた。サムソンは旧約聖書に登場するイスラエルの英雄で、とてつもない怪力の持ち主。
イスラエルの閣僚らは、EU(欧州連合)諸国が二国家解決を支持しパレスチナ国家を承認した場合(すでに一部の国は承認している)、ヨーロッパの首都への核攻撃を警告している。
イスラエルが「ライジング・ライオン作戦」の一環としてイラン国内に潜伏細胞を作り上げ、軍指導者や科学者の排除、重要施設の破壊を狙っているのなら、そしてレバノンで装備の破壊やナスララとヒズボラの司令官の暗殺に成功したのであれば、他の国で何を計画していたかは想像もつかない。したがって、「サムソン ・オプション」はまさに世界の終わりを意味する可能性がある】
イスラエルとイランの戦争については様々な見方や情報が飛び交っているが、結局、相場参加者にとってよりどころになるのは原油価格しかない。原油価格の上昇、すなわち、インフレは宴の終わりである。
現在の相場は社会主義的な国家管理相場で、金融当局の自作自演の相場をみて金融資本主義が続いているように錯覚している。
NY原油CFD(日足)

3月に亡くなったThe Burning Platformのジム・クインが、『アメリカ帝国の終焉』というコラムに以前書いたことが現実化しているのが昨今の状況だ。
【衰退の一途をたどる帝国の末期を生き抜くことは、借金、堕落、否定という死の淵で暴れまわり、動揺し、決して楽しい経験ではない。
しかし、それは歴史のサイクルが再び繰り返されるだけであり、帝国の名前は変わり、悪役や愚か者は変わり、内戦や国際紛争が起こり、その果てに債務不履行が起こる。
20世紀初頭からアメリカが支配し、コントロールしてきた既存の社会秩序は、債務不履行、社会的混乱、世界規模の戦争という津波に押し流され、急速に終焉に向かっている。それが「フォース・ターニング」だ。
レイ・ダリオはグローバル・エリートの一人だが、私はレイ・ダリオの世界秩序の変化に関するチャートは、私たちがこのサイクルの中でどのような位置にいるのかについて正確だと信じている。
ドット・コムの大暴落と9.11をきっかけに、債務、貨幣印刷、専制政治が天文学的に増大し、債務と貨幣印刷によって引き起こされた危機のたびに、さらなる債務と貨幣印刷という「解決策」が打ち出された。
米国債の利子は年間1兆ドルを超えようとしており、アメリカの経済システムは数年以内に崩壊するだろう。
2016年のトランプ当選以来の内紛と、その後のクーデター、不正選挙、詐欺まがいの行為、そして今やトランプへの不当な憲法違反の迫害によって、この国は内戦の瀬戸際に立たされている。政権メディアや注意散漫な大衆が内戦の可能性を嘲笑うのは知っているが、1859年にも同じことがあった。
この国には、自分たちの利益のためにこの国を破壊してきた人々に対する怒りが渦巻いている、正当な怒りを持った人々が大勢いる。
私たちはすでに、第16段階「基軸通貨の喪失」と第17段階「弱いリーダーシップ」の真っ只中にいると私は考えている。
帝国のビッグサイクル

アメリカ帝国が始めたウクライナ戦争は、世界の基軸通貨としての米ドルの崩壊を引き起こし、世界貿易のための決済通貨として70年間君臨してきた米ドルの支配に終止符を打った】
(ジム・クイン)
「フォース・ターニング理論」は、この危機の後半(2024年~2032年)に大規模な戦争と流血が起こると予測している。
リン・オールデンは先週Xで、フォース・ターニングについて以下のような投稿をした。
【注目すべきは、長期債務サイクルが第4の転換期と一致していることだ。私は主に量的な変化(債務)に焦点を当てている。しかし、社会・地政学的な力学の変化を念頭に置くことは、それに伴う良い側面だ。古い制度や規範は、エントロピー、死、そして再生に直面している。
1997年に出版された『The Fourth Turning』は、歴史は80~100年周期で繰り返され、その4周期ごとに「危機」の時代が訪れると述べている。
2005年から2025年以降が次の第4の転換期になると予測された。古い制度が再構築され、社会規範が急速に変化するなど、様々な変化が起こる。
フォース・ターニングを疑似科学として否定する人もいる。
フォース・ターニング(冬:危機の時代)

そして、大まかなタイムラインの描写はほぼ正確だ。80~100年前に築かれた制度、規範、社会契約は、当時大人だった人たちが亡くなるほど長いものだ。社会はそれらに基づいて動いていますが、物事は変化するため、新しい制度、規範、契約を形成する必要がある。
負債の蓄積は、第 2 および第 3 の転換期にシステム内で蓄積されたエントロピーを定量的に表すのに適しており、その過程で社会的/地政学的に起こっていることと並行して、第 4 の転換期に事実上の債務不履行/価値低下におちいる】
(リン・オールデン)
レイ・ダリオのビック・サイクルに従えば、われわれはこれから戦争や負債処理の時代を迎える可能性がある。
帝国のビッグサイクル

イスラエルとイランの間で最近緊張が高まっているにもかかわらず、賭けサイトKalshiでは2025年に新たな米国とイランの核合意が成立する可能性が47%となっている。現在の市場は、戦争が短期間で終わることを織り込み続けている。そうなればいいが、そのシナリオが外れれば今年と特に来年は大変な年になりそうだ。ウクライナ、イランときて、中国とロシアを巻き込みながら米中の衝突は正念場を迎える可能性がある。
「政治は軍産複合体の娯楽部門に過ぎない」
(フランク・ザッパ)
6月18日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
6月18日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、荒地潤さん(楽天証券FX・CFD事業部)をゲストにお招きして、「基軸通貨の地位は永遠ではない」、「ドル離れの現状」というテーマで話をしてみました。ぜひ、ご覧ください。




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6月18日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー

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