直近1年おおむね横ばいで推移してきた日本株について、騰落率と予想EPSから今後魅力的なセクターを考察します。
1.日本株式市場は、過去1年程度、おおむね横ばいで推移
日本株式市場の代表指数である東証株価指数(TOPIX)は、昨年7月に2,929ポイントの史上最高値を付けた後、足元に至るまでの約1年間、乱高下を繰り返しながらおおむね横ばいで推移してきましたが、その背景には業績予想の推移があります。
図表1は、TOPIXと12カ月先予想1株当たり利益(EPS)の推移です。
しかし、その後は、予想EPSの成長が止まり、今年4月に向けて微妙に最高益を更新したものの、以前のような勢いは感じられない展開となりました。こうした業績推移を反映し、TOPIXの上昇もストップし、おおむね横ばいで推移したものと考えています。
なお、昨夏に高値を付けた後に2度の急落がありましたが、予想EPSが大きく落ち込まなかったことで、すぐに反発しています。
では、この株価指数と予想EPSが伸び悩んだ1年間、TOPIX-17セクターで見るとどうなっていたのでしょうか? 詳しく見てみましょう。
[図表1]TOPIXと同12カ月先予想EPSの推移

2.過去1年程度、TOPIX-17セクターの動きはバラバラ
前述した昨夏(2024年7月11日)のTOPIXの高値から足元の2025年6月6日にかけて、TOPIX-17セクターの株価指数騰落率と予想EPSの変化はどうだったでしょうか。
図表2は、横軸に12カ月先予想EPSの変化率を、縦軸に株価指数騰落率をとった分布図です。ご覧のように、各セクターの動きはかなりバラバラだったことが分かります。
予想EPSでは、電力・ガス、金融(除く銀行)、運輸・物流が10%以上の伸びを見せた一方、自動車・輸送機、エネルギー資源、鉄鋼・非鉄が20%以上の減価となり、これらが合わさってTOPIXの予想EPSは6.2%の減価となりました。
一方の株価指数騰落率は、自動車・輸送機など、予想EPSの変化におおむね連動したセクターが多い一方、電力・ガスなど、予想EPSの変化とは異なった動きをしたセクターもありました。
その中でも、予想EPSの動きに比べて株価指数騰落率が悪かった4セクター(電力・ガス、金融(除く銀行)、医薬品、素材・化学)を分析してみたところ、素材・化学が最も魅力的に見えましたので、最後に同セクターを見てみましょう。
[図表2]TOPIX-17セクターの12カ月先予想EPSの変化率と株価指数騰落率

3.予想EPSの先々の伸びが高い素材・化学セクターに注目!
TOPIX-17素材・化学セクターの株価指数は、おおむね予想EPSに沿って動いてきました。
図表3は、TOPIX-17素材・化学セクターの株価指数と12カ月先予想EPSの推移で、データがある過去17年半程度を見て分かるように、株価指数は予想EPSにやや先行して動いてきた様子が分かります。
ならば、この先のEPSがどうなるかが重要なわけですが、素材・化学の予想EPSは10%前後の成長が続く予想になっています。前述した電力・ガス、金融(除く銀行)、医薬品も含めた4セクターの中では、最も高い成長見通しとなっています。
あくまでもBloomberg予想通りとなればという条件付きですが、素材・化学セクターは予想EPSの推移に比べて出遅れている可能性を感じ、最もポテンシャルがあるのではないかと思い、今回取り上げてみました。
指数構成の上位銘柄は、信越化学工業、富士フイルムホールディングス、日東電工といった成長分野のハイテク銘柄であり、長期的な成長も期待できると考えています。
[図表3]TOPIX-17素材・化学セクターの株価指数と12カ月先予想EPSの推移

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<関連銘柄>
NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1620)
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(阪井 徹史)