地方財政の悪化で売上高や新規受注が縮小、2027年まで収益横ばい推移か
現地コード 銘柄名 00390中国中鉄
(チャイナ・レールウェイ)
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3.77HKD
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中国二大ゼネコンの1社、中国中鉄の2024年12月通期、2025年1-3月期の売上高はそれぞれ前年比8.2%減、前年同期比6.2%減と、国内のインフラ投資の停滞を反映する数字となった。中国政府は現時点で、財政的に厳しい地方政府による積極的なインフラ投資を支持しておらず、これが一部の中小都市における地下鉄建設プロジェクトの減速を招いている要因。
不動産開発の縮小圧力はインフラ投資に響く要因であり、2024年下期には一部の中小都市で地下鉄建設プロジェクトが中止に追い込まれた。主に地方財政の悪化が原因。かつては地方のインフラ整備が地価を押し上げ、土地使用権収入という形で地方財政に大きく寄与してきたが、この手法はもはや機能せず、新規投資に振り向けるだけの資金が不足。地方当局の投資意欲も萎縮傾向にある。
中国中鉄の新規受注は、2024年通期、2025年1-3月期にそれぞれ前年比12.4%減、前年同期比9.9%減。売上高は8.2%、6.2%減少した。粗利益率に大きな変化はなかったものの、財務費用は55.3%増、72.8%増。サプライヤーや下請業者への支払いを期日通りに履行する中で、一部地方当局からの売掛金の未収が打撃となった。
こうした状況にもかかわらず、国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)は国有企業に対し、自社の業績の安定成長と時価総額の維持を求めており、中国中鉄は株価の維持に向け、A株の自社株買いを提案している。さらに高速鉄道、都市プロジェクト、空港、不動産開発、海外事業の展開を通じて、業績に関するSASACの要求を満たす方針という。
BOCIは2025年の売上高、純利益について前年同期比2%減、1%増を見込み、新規受注は3%増加すると予想。続く2026-27年も、売上高と純利益はほぼ横ばいにとどまる見通しを示した。2025年予想株価収益率(PER)5.4倍を当てはめ、目標株価を小幅に引き下げながらも、目標水準までの大幅な上値余地を指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、インフラ投資と不動産投資に対する政策支援の遅れを挙げている。
(Bank of China int.)