週明け東京市場のドル/円相場は、先週末の米国によるイラン攻撃を受けて、「有事のドル買い」が進みドル/円は一時148円台まで円安が進んだが、地政学的リスクは限定的との安心感から円高に転換すると今朝の市場では145円台まで円高に戻している。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは147.50円↓下値メドは145.30円インフレ:「今買う」は消費の前倒し、「後は買わない」という意味
規制緩和:ベイリーBOE総裁「リーマンショックが引き起こした長引くダメージを忘れてはいけない」
トランプ関税:鉄鋼アルミニウム輸入関税の米経済への影響は軽微。経済全体のわずか0.4%
ECB:中立金利1.75-2.25%の見方変えず
7月:日銀利上げとFRB利下げが同時に起きる可能性も
前日の市況
6月23日(月曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.03円「円安」の146.13円。1日のレンジ幅は2.02円だった。
先週末の米国によるイラン攻撃を受けて、中東の地政学的リスクが高まり、週明けの東京市場では「有事のドル買い」が進んだ。

2025年124営業日目はドル/円は先週金曜日の終値(146.10円)に比べて0.50円を超える円安の146.54円からスタートした。午後には147円台にのせ、さらに夜の初めごろには1カ月ぶり以上の以来となる148.03円まで上昇した。
今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを見送った米連邦準備制度理事会(FRB)だが、この日はボウマンFRB副議長が、トランプ関税の影響は予想ほど大きくないことを理由に「7月の利下げを支持する」と発言した。これをきっかけに、米10年債利回りが4.28%台まで低下したこともドル売りを強めた。
ただ、イランによる報復が限定的との認識が広まると共にドルの売り戻しが優勢になり、明け方には146.01円まで円高に動いてこの日の安値をつけた。リスクオフがやわらいだことで原油先物は6%超の急落を記録、ダウ工業株30種平均は一時400ドル超上昇した。
トランプ大統領は東京時間24日朝に「イランとイスラエルが完全かつ全面的な停戦に合意した」と発表。これを受けて「有事のドル買い」ポジションを処分する動きがさらに強まり、ドル/円はさらに145円台まで円高が進んでいる。ただし、現在のところ両国から公式な発表は行われていない。
レジスタンス:
150.48円 04/02
149.17円 04/03
148.65円 05/12
148.45円 05/13
148.03円 06/23
サポート:
145.10円 06/20
144.73円 06/19
144.33円 06/18
144.33円 06/17
143.65円 06/16
主要指標 終値

今日の為替ウォーキング Off the Wall
今日の一言
「私のせいではない」は、いちばん恥ずかしい言葉
Off the Wall
米軍事介入とトランプ関税の関係トランプ大統領がイランに対して直接的な軍事攻撃を実行したことにより中東情勢は緊迫化している。イラン・イスラエル戦争のエスカレーションによる最も直接的な経済的影響は、原油価格の急騰だ。
これはトランプ政権にとっては、特に頭の痛い問題だ。なぜなら、関税引き上げによる物価上昇が既に進行し始めたタイミングにエネルギー価格の上昇が重なる可能性があるからだ。
FRBは、トランプ関税の負担が米国のインフレ率を夏にかけて一層押し上げる公算があり、消費者心理に悪影響を与えると予測している。さらに米国のイランへの軍事介入が長期化した場合、消費者のインフレ期待が増幅することでインフレが長期化するおそれもある。
なぜ、これがトランプ大統領にとって問題かというと、インフレの加速が、トランプ関税を巡る米国の交渉力を弱める要因となるからだ。
主要貿易相手国に対する上乗せ関税発動の猶予期間は7月上旬に期限を迎えるが、米国の消費力が減速に向かっているときに、 トランプ関税で「増税」できる余地は狭まる。交渉相手国も、当然その事情は分かっているから、交渉合意を急ぐインセンティブはない。
とはいえ、トランプ関税が完全に撤廃される見込みもない。つまり、これからも不確実な期間が続くことを意味する。その結果、米国資産の長期的な投資魅力は低下して、米国市場からの資金流出が加速する可能性を高めることになる。
今週の注目経済指標

(荒地 潤)