日経平均が5カ月ぶりに4万円台を回復しました。背景にある外国人投資家の動向や自社株買いの影響を分析します。

コロナショック、令和のブラックマンデー、トランプ関税ショックなど、過去のショックで外国人投資家の動向を解説。今後の投資戦略について考えます。


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日経平均5カ月ぶり4万円を回復、買っているのは外国人と自社株買い

 先週(営業日6月23~27日)の日経平均株価は、1週間で1,747円(4.6%)上昇し、大台の4万円を超える4万0,150円で終えました。4万円超えは1月7日以来5カ月ぶり。トランプ関税ショックで米景気は減速するものの景気後退に陥る不安は低下したため、外国人投資家による日本株買いが続きました。また、日本企業による自社株買いも、上昇を支えています。


日経平均週足:2024年1月4日~2025年6月27日
日経平均4万円超え!今後の投資戦略は?グローバル投資資金が日本株組み入れを増やしている可能性も(窪田真之)
出所:楽天証券MSIIより作成

 世界不況になる恐怖が低下したことから、日本株だけでなく、世界的に株が反発上昇しています。米国のS&P500種指数は、27日に史上最高値を更新しました。


日・米・独・香港株の年初来推移:2024年末=100として指数化(2025年6月27日まで)
日経平均4万円超え!今後の投資戦略は?グローバル投資資金が日本株組み入れを増やしている可能性も(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所作成

 外国人投資家から見ると、日本株は「世界景気敏感株」です。世界景気に不安が出ると、外国人はまず日経平均先物を売ってくる傾向があります。世界景気への不安が低下すると、日経平均先物を買い戻す傾向があります。


 トランプ関税ショック後の日本株の上昇は、外国人投資家の買いがけん引しています。欧米年金基金やソブリンウェルスファンドなど海外の長期投資資金が日本株の組み入れを増やしている可能性があります。


コロナショックも令和のブラックマンデーもトランプ関税ショックも、外国人投資家が主導

 いつもこのコラムでお伝えしている通り、過去30年以上、日本株の動きを支配しているのは外国人投資家です。外国人投資家は、売る時は下値をたたいて売り、買う時は上値を追って買ってくるので、短期的な動きは外国人次第です。


 外国人が買うと上がり、外国人が売ると下がる傾向が、1990年以降続いています(1980年代までは国内投資家が日本株の動きを支配)。


 それを、2020年のコロナショック、2024年の令和のブラックマンデー、2025年のトランプ関税ショックで見てみましょう。


2020年コロナショック前後の日経平均と外国人売買動向:2020年1月6日~12月30日
日経平均4万円超え!今後の投資戦略は?グローバル投資資金が日本株組み入れを増やしている可能性も(窪田真之)
出所:東証データ・QUICKより楽天証券経済研究所作成、外国人売買は、株式現物と株価指数先物の合計

 コロナショックの日経平均急落は外国人投資家の売りによるものであり、その後の急騰は外国人投資家の買いによるものが分かります。ここから得られる教訓は、以下2点です。


【1】日経平均の短期的な動きは外国人が決めている。短期トレードでは、外国人売買についていくことが無難。
【2】いつまでも外国人と同じ売買をしているのは危険。大底で売るのも、すっ高値で買うのも外国人。


 それでは、続いて令和のブラックマンデー、トランプ関税ショックの日経平均と外国人売買をご覧ください。


令和のブラックマンデー:日経平均の動きと外国人投資家売買動向:2024年6月24日~8月30日
日経平均4万円超え!今後の投資戦略は?グローバル投資資金が日本株組み入れを増やしている可能性も(窪田真之)
出所:東証データ・QUICKより楽天証券経済研究所が作成。外国人売買は、株式現物と株価指数先物の合計

トランプ関税ショック:日経平均の動きと外国人投資家売買動向:2025年3月24日~6月27日(外国人売買は6月20日まで)
日経平均4万円超え!今後の投資戦略は?グローバル投資資金が日本株組み入れを増やしている可能性も(窪田真之)
出所:東証データ・QUICKより楽天証券経済研究所が作成。外国人売買は、株式現物と株価指数先物の合計

 令和のブラックマンデーとトランプ関税ショックで、似ているところと異なるところがあります。

どちらも「外国人の売買で急騰急落」という点は同じです。ただし、買っている中身を見ると、資金の性質が異なると思います。以下、外国人の売買を、株式現物と日経平均先物に分けた表をご覧ください。


令和のブラックマンデーの時の外国人売買、株式現物と先物の内訳
日経平均4万円超え!今後の投資戦略は?グローバル投資資金が日本株組み入れを増やしている可能性も(窪田真之)
出所:東証データ・QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 令和のブラックマンデーは外国人投機筋が日経平均先物を大量に買って急騰した後、外国人投機筋の先物売りで日経平均が急落したことが分かります。


トランプ関税ショック時の外国人売買、株式現物と先物の内訳
日経平均4万円超え!今後の投資戦略は?グローバル投資資金が日本株組み入れを増やしている可能性も(窪田真之)
出所:東証データ・QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 トランプ関税ショックは、外国人投機筋が買い建てていた先物を慌てて売り埋めしたことで日経平均が急落しました。ところが、その後、長期投資の外国人投資家が、日本株現物を買うことで、日経平均が急反発したと考えられます。


 米国株に集中させてきたグローバル投資家の投資資金が、一部ドイツ株や香港株に移り、さらに一部日本株に移っていると考えられます。


 世界景気悪化への不安が低下した中、割安な日本株を見直す動きが出ていると思われます。


 最後に日本株の投資判断ですが、いつも書いてきたことと変わりません。日本株は割安で長期的な上昇余地が大きいと判断しています。ただし、トランプ関税ショックはまだ終わっていません。これからも急落・急騰を繰り返しながら、上昇していくと考えています。

時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。


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(窪田 真之)

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