毎月10万円分の配当金を得て、お金の心配から一足先に抜け出した30代のサラリーマン投資家・バクさん。しかし投資を始めたころは流行の株やFXに飛びついて数百万円もの損失を出していたギャンブル投資家だった。

バクさんを変えたきっかけは?


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投資家バクさんプロフィール

パチンコ感覚の投資で大爆死!ギャンブル体質を変えたきっかけは?高配当株投資家・バクさんインタビュー[前編]
30代、IT企業のSEとして働きながら、増配当・高配当銘柄とインデックス投資で資産3,000万円を達成したサラリーマン投資家。20代のころはFXやギャンブル的な投資で数百万円を失うなどの痛い経験も踏んだが、現在は綿密な銘柄調査の上で厳選銘柄に着実に投資を重ね、40代でFIREを目指す。週一で更新しているYouTubeチャンネルは、30分以内と短時間で、分かりやすく濃い情報を提供していると高人気。YouTube: 【投資家バク】高配当・増配株で目指せFIRE (チャンネル登録者数11万人)Instagram: toushi_baku (フォロワー2万人)X(旧Twitter): @Toushi_Baku (フォロワー3.7万人)著書: 驚異のバク益高配当株 サラリーマンが月10万円の不労所得でお金の不安から解放される「黄金ポートフォリオ」 のつくり方 /著者: 投資家バク /2025年05月14日発売/ KADOKAWA /1,870円(税込)

一獲千金を夢見てギャンブル投資、失敗続きの約10年間…

トウシル:毎週土曜日配信のYouTubeが分かりやすい!と高人気です。ですが会社員としてフルタイムで働きながら投資もしてYouTubeも収録して…と、寝る時間、足りてますか?


バクさん:大変です(笑)。でも時間管理しながら、切り分けてなんとか活動できています。


トウシル:サラリーマン投資家が悩む部分でもありますよね。銘柄やニュースを調査したいのに時間が足りない…。


 バクさんのYouTubeは、単に銘柄名をリストアップするのではなく、その背景や決算分析などをしっかりフォローしている内容で、時間のない投資家さんのバックアップをしてくださっているので、高人気なのも納得です。が…、最初の書籍『バクでも稼げる高配当・増配株投資』を拝読すると、すごく気になる点が…(笑)。


バクさん:ああ、投資を始めたころの「ギャンブル投資で大爆死」時代のことですね(笑)。投資を始めた当初は、「投資=短期間で数十倍の利益を目指すもの」だと考えて、一獲千金を目指してやみくもに売買しては討ち死にしていました。


トウシル:信用取引での乱暴な売買や、FXや暗号資産(仮想通貨)に突進するなど、約10年間、負け戦を繰り返していたと書いてあり、今の堅実かつロジカルな投資とは正反対です。そもそも、バクさんが投資を始めたのは何がきっかけですか? どうして投資初期はそんな大暴走をしてしまったのでしょうか?


バクさん:2013年ごろ、社会人になって2年目くらいかな…。友人が「証券会社の口座を開いてみようと思っているんだよね」というので、「僕もやってみようかな」と気軽に便乗したのが投資に触れた最初のきっかけです。


 当然、金融や投資の知識などゼロでした。

職業もSEで、金融とは全く畑違いです。「まぁ、友達も一緒に口座開設するんだから、分かんないことがあったら友達に聞けばいいや」というありさまでした(笑)。


トウシル:口座開設してから、すぐに投資を始めたんですか?


バクさん:はい。最初に買った銘柄は、当時すごく人気があったスマホゲームの「パズドラ(パズル&ドラゴンズ)」を運営している「 ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765) 」です。


 何株買ったか、いくらで買ったかなどはもう記憶していないのですが、たぶん当時は単元未満の投資ができる証券会社は少数派だったので、最低単元の100株以上は購入したんじゃないかなと思います。ガンホーは、1年で100倍も値上がりしたという伝説の銘柄で、これに乗っかるしかない!と思ってつかみに行きました。


トウシル:投資資金はどうされたんでしょう?


バクさん:当時は新卒入社後2年目で、休日出勤、深夜残業などは当たり前、というブラックな労働環境だったので、お金を使う暇もなかったんです。ただ、残業代などは満額しっかり出る会社だったので、投資に回す資金としては一定額保有できていました。


 毎日が本当にしんどくて、「こういう環境から一刻も早く逃げ出したい!」というのが投資に向かった理由ですね。だからこそ、「一獲千金で大もうけしたい!」という欲が募ってしまいました。


トウシル:初投資だったガンホー、どうなったんでしょうか?


バクさん:もうヒドイ有様です。ほぼ天井でつかんで、即損切り、という手痛い洗礼を受けました。


トウシル:あぁ…それはツライですね。


バクさん:はい。おそらく、数カ月くらい保有した挙げ句に、購入時の半値くらいで、泣く泣く損切りした記憶があります。


トウシル:初投資が失敗に終わったのなら、その後慎重になったのでは…と思うのですが、そうではなかったんですよね?


バクさん:はい。損失は損失で痛かったんですが、逆に、「なんか面白いな」って思っちゃったんです。


トウシル:ええっ、なぜそうなる?!


バクさん:実は僕、もともとギャンブル好きで、学生時代からパチンコとかよく行ってたんです。だから、お金を使ってリターンを狙うっていうスタンスは割と好きで、損をすることにも慣れていたというか…。「損失が出るっていうことは、逆に利益が出る可能性もあるんだな」という感覚で、損失をきっかけにのめりこんでいったんです。


トウシル:ハマると熱くなっちゃうタイプですか?


バクさん:はい。先ほども言ったように、社会人生活がブラックすぎて、土日はただ寝てるだけ、ときどき起きてパチンコに行くっていう自堕落な生活をしていました。


トウシル:パチンコでは勝てていたんですか?


バクさん:いえ(断言)。全然勝てませんでした。


トウシル:ですよね~(ため息)。


バクさん:だから逆に、投資に対するハードルも低くて、負けても逆に熱くなってきちゃったんです。


トウシル:うわぁ…。


バクさん:2013年はアベノミクスで好景気も到来したので、長期戦なら投資でも勝てたと思うんです。ただ、僕は早く結果を出したい、という思いで、短期決戦を繰り返していたので、延々と負け続けました。


 当時は転職とか副業もまだ一般的ではなかったので、「会社以外からの収入を得たい、ブラック企業からとにかく逃げたい」という夢を投資に託して、のめりこんじゃいましたね。自分に投資の才能はない、と気づくまで約10年かかりました(笑)。


 数百万単位でお金を失った後は、ロボアドバイザーみたいな、自分が何かしなくても自動的に銘柄をリバランスしてくれるような投資にお金を託して、しばらく投資からは距離をおいていました。


コロナショックで2度目の投資に挑戦、成功した理由は?

トウシル:いったん距離を置いて、次に改めて投資を始めたのはいつですか?


バクさん:コロナショックの2020年です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に大流行して、緊急事態宣言などが出て、外出もままならなくなり、家でYouTubeを見たりして時間つぶしをしていたんです。


 投資関連のチャンネルが多数あることを知り、最初はぼんやり見てたんですが、『 両学長 リベラルアーツ大学 』というチャンネルを見始めた時、目からボロボロうろこが落ちました。もう新知識と新マインドが雪崩のように流れ込んできて、何周も何周も繰り返し見ました。


トウシル:何がいちばん衝撃でしたか?


バクさん:笑われるかもしれないんですが、「インデックス投資」を知ったのが衝撃でした…。


 全世界株式やS&P500種指数(S&P500)など、個別銘柄ではなく、もっと幅広く、指数と連動した投資方法があること、年間平均リターンが3~7%で短期ではなく長期投資が基本であることなどをイチから教えてもらい、いかにこれまでの自分の投資が間違ってたかを思い知らされたんです。


トウシル:やっと反撃の気配が見えてきました!


バクさん:はい。基礎知識を知ったことで、投資スタンスが180度変わりました。また、「投資とは一発逆転を狙うのではなく、長い人生の上で資産を作るための手段の一つにすぎない」と痛感したのもよかったと思います。


トウシル:その後、「新生バクさん」が何をしたのか、教えてください!


バクさん:まずはインデックスファンドの長期積み立て投資です。今も資産全体の25%くらいをインデックスファンドで保有しています。


 主な銘柄は全世界株式に投資するインデックスファンドと、S&P500種指数(S&P500)に投資するインデックスファンドを保有しています。ここをきっちり土台として築いて、余剰資金の中で、高配当・増配株の銘柄をしっかりと調査して購入するようになりました。


トウシル:YouTubeを拝見していても、企業決算をしっかり吟味して、銘柄選びをされている回もあり、これまでの話がうそのようにロジカルな銘柄選びにチェンジされましたね。


バクさん:はい。しっかりと企業分析や決算分析をして、狙った銘柄が万一暴落した際、すぐに購入に動けるよう、現金も5%くらい保有しています。今のポートフォリオは、インデックス28%、現金5%、高配当・増配株が67%…といった割合です。


パチンコ感覚の投資で大爆死!ギャンブル体質を変えたきっかけは?高配当株投資家・バクさんインタビュー[前編]
インデックスファンドはeMAXIS Slim米国株式(S&P500)と、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)をコツコツと積立投資。コストの安いネット証券で購入し、しっかりと土台を構築している。

約50銘柄の高配当・増配株に厳選、主力銘柄を教えて!

トウシル:現在、月に約10万円の配当利益がある、という、非常にうらやましい状況にまで成長されたのですが、高配当・増配株のうち、主力銘柄は何ですか? 主だったものを教えてください。


バクさん:メガバンク系が多いです。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 、 三井住友フィナンシャルグループ(8316) 、 東京海上ホールディングス(8766) など。あとは 伊藤忠商事(8001) 、 三菱商事(8058) 、 三井物産(8031) など、大型銘柄が主流ですね。


トウシル:認知度の高い大手銘柄が多いのですが、中小型株とかは保有されていないんですか?


バクさん:物流・貿易関係の、 センコーグループホールディングス(9069) や、 SOSiLA物流リート投資法人(2979) や、 三菱地所物流リート投資法人(3481) などの国内の不動産投資信託(J-REIT)も少し保有しています。


 不動産系はけっこう期待値が高くて、個別銘柄としても不動産事業、保険事業の ヒューリック(3003) や 野村不動産ホールディングス(3231) などをホールドしています。


トウシル:しかし、いずれも高配当・増配株で、株価自体が高いんじゃないですか?


バクさん:はい。今は株価が上昇していて、なかなか新規や買い増しは手が出ないのですが、安くなっていたタイミング、つまりコロナショック時にしっかり仕込むことができたので、今の配当生活があります。


トウシル:コロナショック時はやはりチャンスだったのでしょうか?


バクさん:もちろんです。その当時、株価が下がった大手の高配当・増配株を手当たり次第200銘柄くらい買いました。そこから、「この業界ならこの銘柄だけでいいかな」「こっちとこっちならより成長性が期待できるな」と、不要な銘柄を削っていって、今個別銘柄は50社くらいになりました。


 失敗続きの7年間の後、見事「勝ちスタイル」に体質改善できたバクさん。

コロナショックを逆手に取り、大型高配当・増配株から毎月約10万円の配当収入を得て、お金の不安から脱出できました。後編では、そんなバクさんの銘柄選びの骨子「決算書の読み方」を指南してもらいます!


▼後編はこちら

苦手な決算書、どこを読めばいい?ポイントが分かる決算書の読み方講座!高配当株投資家・バクさんインタビュー[後編]


(トウシル編集チーム)

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