参院選での大敗を受け、石破政権の先行きが不透明になりつつあります。政局は、外国人投資家が投資判断材料として重視していることもあり、日本株相場を大きく動かす要因の一つです。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 歴代首相、在任中の日経平均上昇率が高かったのは誰?参院選与党大敗、株価への影響は?【クイズでわかる!資産形成】 」
今日のクイズ
7月20日投開票の参院選は、与党(自民+公明)が過半数を割り込む大敗でした。これで衆院選・東京都議選に続き、石破政権下で与党は3連敗となります。石破政権への求心力低下が予想される中、今後強いリーダーシップを発揮できるかが正念場です。今後の政局を慎重にウオッチする必要があります。
今日は、2001年以降の歴代首相の中で、在任中の株価上昇率が特に高かった人物を当てるクイズです。
以下、2001年以降の歴代首相をAからJの記号で示しています。
【1】在任中の日経平均株価の上昇率が最も高かった首相は誰でしょうか?
【2】在任中の日経平均株価の上昇率が2番目に高かった首相は誰でしょうか?
AからJまで記号をつけていますので、それぞれ記号で解答してください。
<歴代首相の在任期間:2001年以降>

なお、2024年10月1日に発足した石破政権は、これまでの在任期間が約10カ月です。
外国人投資家は、日本の政治をよく見ている
日本株を動かしているのは過去30年以上、外国人投資家です。外国人は買う時は上値を追って買い、売る時は下値をたたいて売るので、外国人が買い越す月は日経平均が上昇し、外国人が売り越す月は日経平均が下落する傾向が顕著です。
日本株の動きを予想する時、「外国人から日本がどう見えているか」を常に考える必要があります。私はファンドマネジャー時代、欧米の年金基金や中東・アジアのソブリンウェルスファンドとしばしば日本株の見方について議論してきました。その経験から言えることは、外国人投資家は日本の政治をよく見ているということです。
資本主義の構造改革・成長戦略を推進する自民党が選挙で勝利し、支持率が高まり、強いリーダーシップを発揮する時に、彼らは日本株を積極的に買ってきます。自民党の支持率が低下する時は、日本株を売却します。
もちろん、外国人投資家は日本の政治動向だけを見て日本株を売買しているわけではありません。世界中の政治経済、自然災害や地政学的リスクなど、さまざまな要因を見ながら、日本株を売るか買うかを判断しています。とはいえ、日本の政治の変化は、外国人にとって重要な投資判断材料であることには間違いありません。
参院選の大敗で、石破内閣が強いリーダーシップを発揮しにくくなることは、日本株にとってマイナス材料です。
一方、与党大敗で、野党が求める財政拡張をともなう景気刺激策が実行される可能性が高まったことは、株価にプラス材料と見られています。また、日米関税交渉が良い方向に進む期待が出たことも追い風です。結果的に、参院選直後の日経平均は大幅高となりました。
正解
日経平均上昇率が最も高かったのは、H(第2~4次安倍政権)です。
2番目に高かったのは、J(第1~2次岸田政権)です。
以下、詳細をご覧ください。
<2001年以降の歴代首相の在任期間と日経平均騰落率>

A(第1~3次小泉政権)を選んだ方もいるかもしれません。第2~3次小泉政権での日経平均上昇率は大きいですが、第1次小泉政権での下落率が大きいため、トータルでは11.3%しか上昇していません。
小泉政権がスタートした2001年は、日本ではまだ「バブル崩壊・金融システム不安」の影響による日経平均下落が続いていました。構造改革ブームが起こって日経平均の上昇率が高くなったのは第2~3次小泉政権の時です。
<歴代首相と日経平均の動き:2001年以降>

テクニカル・ファンダメンタルズ分析を詳しく勉強したい方へ
最後に、株式投資を書籍でしっかり勉強したい方に、私の著書を紹介します。ダイヤモンド社より、株価チャートの読み方をトレーニングする「株トレ」(黄色の本)と、決算書の見方などを学ぶ「株トレ ファンダメンタルズ編」(水色の本)が出版されています。どちらも一問一答形式で株式投資の基礎を学ぶ内容です。
「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ 」
「 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの株トレ ファンダメンタルズ編 」

(窪田 真之)