決算レポート：ネットフリックス（映画、テレビ番組ともにヒット作多く業績好調） (2025年7月28日)

決算レポート：ネットフリックス（映画、テレビ番組ともにヒット作多く業績好調）

2025年07月28日(月)18:05

　ネットフリックスの2025年12月期2Qは、15.9％増収、45.0％営業増益。2025年前半も映画では「Back in Action」、テレビ番組では「イカゲーム2、3」などヒット作多数。

昨年後半からの値上げ効果もあったと思われる。今3Q以降もコンテンツ投資を増やす方針。楽天証券の目標株価を引き上げる。

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著者の今中能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「決算レポート：ネットフリックス（映画、テレビ番組ともにヒット作多く業績好調）」

毎週月曜日午後掲載

本レポートに掲載した銘柄： ネットフリックス（NFLX、NASDAQ）

1．ネットフリックスの2025年12月期2Qは、15.9％増収、45.0％営業増益。

　ネットフリックスの2025年12月期2Q（2025年4-6月期、以下今2Q）は、売上高110.79億ドル（前年比15.9％増）、営業利益37.75億ドル（同45.0％増）となりました。営業利益率は前2Q27.2％、今1Q31.7％からさらに上昇し、今2Qは34.1％になりました。

　映画、テレビ番組ともにヒット作が多く、総視聴人数、総視聴時間ともに増加傾向が続きました。2025年1-6月期のネットフリックス・エンゲージメント・レポートを見ると、映画のヒット作ではトップが「Back in Action」で総視聴人数1億6,470万人、総視聴時間3億1,300万時間となり、2024年7-12月期に1位だった「Carry-On」の総視聴人数1億3,730万人、総視聴時間2億7,450万時間を上回りました。テレビ番組も、「Adolescence: Limited Series」が総視聴人数1億4,480万人、総視聴時間5億5,510万時間となったほか、「イカゲーム・シーズン2」「同3」がいずれも好調でした。

大ヒット作が出ると製作費、コンテンツ購入費の効率利用に繋がるため、全社の採算が向上する傾向があります。

　また、昨年後半から各国で実施している値上げの効果もあったと思われます。

　会社側が注力している広告収入の開示はありませんでしたが、年初の予想を若干上回っている模様です。通期では前年比2倍を見込んでいます。

　地域別売上高を見ると、北米、欧州中心に全地域で順調に伸びました。

表1　ネットフリックスの業績

株価（Nasdaq）　1,180.49米ドル（2025年7月25日）時価総額　501,957百万ドル（2025年7月25日）発行済株数　434.883百万株（完全希薄化後、Diluted）発行済株数　425.211百万株（完全希薄化前、Basic）単位：百万ドル、ドル、％、倍出所：会社資料より楽天証券作成。注1：当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。注2：EPSは完全希薄化後発行済み株式数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前発行済み株式数で計算。注3：会社予想は予想レンジの平均値。

グラフ1　ネットフリックス：地域別売上高

単位：100万ドル、出所：会社資料より楽天証券作成

表2　ネットフリックス：地域別売上高

単位：100万ドル、％出所：会社資料より楽天証券作成

表3　ネットフリックスのエンゲージメントレポート：映画

出所：ネットフリックス・エンゲージメント・レポートより楽天証券作成

表4　ネットフリックスのエンゲージメントレポート：テレビ番組

出所：ネットフリックス・エンゲージメント・レポートより楽天証券作成

2．会社側は今3Qの営業利益率低下を予想。ただし、好業績は続こう。

　会社側の今3Q業績ガイダンスは、売上高115.26億ドル（前年比17.3％増）、営業利益36.25億ドル（同24.6％増）です。また、会社側は今期2025年12月期の売上高ガイダンスを、前回の435～445億ドル（レンジ平均値440億ドル）から448～452億ドル（同450億ドル）へ、通期の営業利益率目標を前回の29.0％から29.5％（ただし為替要因は中立と前提）へ各々上方修正しました。

　今3Q以降は季節性もありコンテンツ購入費が増加する見込みです。年末の新作投入、ライブイベント等も多数計画されているため、今3Q、4Qとも、今1Qよりも営業利益率は低下すると予想されます。ただし、前年比では営業利益率は上昇すると予想されます。

　楽天証券では、今2Qまでの実績と今3Q、2025年12月期通期の会社側ガイダンスを参考に、2025年12月期通期を売上高450億ドル（前年比15.4％増）、営業利益136億ドル（同30.5％増）、2026年12月期通期を売上高525億ドル（同16.7％増）、営業利益175億ドル（同28.7％増）と予想します。今期、来期とも売上高予想は前回予想と同じですが、営業利益は2025年12月期予想のみ前回予想から若干下方修正します。引き続き二桁増収増益が予想されます。

　映画、テレビ番組や集客力のある分野であるライブへの投資を続けるため、営業利益率はいったん低下する予想ですが、これは将来の成長に結びつくものです。特に、今年クリスマスシーズンのスポーツ、音楽ライブがどのようになるのか注目されます。2024年クリスマスは、NFLの2試合の生中継、NFLのボルティモア・レイブンズ対ヒューストン・テキサンズ戦におけるビヨンセのライブ（別途、特別番組になった）があり、大変好評でした。