気になるあの本は『もうけの仕組み ビジネスモデル大図鑑 404社を徹底検証!』。東洋経済新報社の担当編集者に、読みどころを紹介していただきました!
気になるあの本をチェック!
もうけの仕組み ビジネスモデル大図鑑 404社を徹底検証!


答えてくれた人
東洋経済新報社 出版局 編集委員室 水野一誠さん
編集・監修
会社四季報業界地図編集部[編]/井上達彦[監修]
編集:会社四季報業界地図編集部
『会社四季報 業界地図』は、話題の業界の勢力図をビジュアルで徹底解説する一冊。株式投資、就活・転職、ビジネスに役立つ、業界研究をサポートする業界ガイドブックです(累計250万部突破!)。
監修:井上達彦さん
早稲田大学商学学術院教授で、ビジネスモデル論とイノベーション研究の⽇本における第⼀⼈者です。本書では監修者として、内容のチェックと9つの取引の図解の作成に協力していただきました。
どんな人にオススメ?
・NISA口座で個別株投資を始めたい投資初心者の方
・中長期で成長するお宝銘柄を探したい個人投資家の方
・ビジネス、経済全般の知識を得たい方
この本の、ここが読みどころ!
この本のお勧めポイントは、個人投資家にとって注目の企業のもうけの仕組みを、たった9つの取引の図解(本書の17ページ)に抽象化して解説していることです。個人投資家の多くは、売上高や営業利益など各社のIR情報をチェックしていると思います。でも、決算説明資料にはあれやこれやと書いてあって、どこをどう読めばいいのか、会社の数字に長けた人でないと理解するのが大変です。
9つの取引の図解は、その会社のもうけの仕組み(強み)を、箱と矢印を使ってシンプルに表しているので、図の形を見るだけで「何が収益の源泉になっているか」「どこからお金が入っているのか」「どんなコストがかかっているのか」を直感的に理解できます。
たとえば、トヨタ自動車の取引の図解(本書の38ページ)を見ると、自動車を製造して顧客に販売することで対価を得ていることがわかります。トヨタ自動車のようなメーカーに多いビジネスモデル(製造販売モデル)で、高い利益率を上げるには、商品やサービスの価格を上げるか、コストを下げるか、どちらかに強みを持つ必要があります。これらの図解を見ていくと、商品やサービスの価格やコストの数字の動きに注目でき、お宝銘柄に出会う確度が高まります。
ただ、取引の図解は、ビジネスモデルをシンプルに抽象化しているので、自社と顧客(取引先企業)を示す箱の具体的な情報や、お金の流れを示す矢印の決算情報や背景情報まではわかりません。お宝銘柄を探すためには、これらの情報を入手することが必要です。
本書では、取引の図解だけではつかめない情報を、四季報記者が解説しています。
個人投資家の皆さんには、取引の図解でもうけの仕組みの全体像を見て、注目するポイントを見つけ、そこをより詳しく分析することで、お宝銘柄を見つけてもらいたいと思っています。井上達彦先生の言葉を借りるなら、空の上から全体を見渡す「鳥の目」から、地上の細部を見る「虫の目」へと切り替えていくイメージです!

編集者の制作秘話
9つの取引の図解は、早稲田大学の井上達彦教授が考案したものです。どんな会社のビジネスモデルでも、9つのどれかで表すことができるってすごいと思いませんか?
しかも、商品やサービスの流れ、お金の流れが一目瞭然です。
最初にこの図を見たとき、あまりにもシンプルすぎるので、株式投資にどう役立つのだろうかと思いました。ところが、井上達彦研究室の大学院生にも協力していただき、取引の図解を作り込んでいくうちに、見え方が変わってきたのです。このシンプルな図の裏側に隠れている情報が気になるようになったのです。
競合と同じビジネスモデルなのに営業利益に差があるのはなぜか? 売上高が減っているのに株価が底堅いのはなぜか?
この本には、お宝銘柄を探すためのアイデアが満載です。中長期投資でしっかり資産を増やしたい投資家のみなさん! ぜひ、『会社四季報』『会社四季報 業界地図』と一緒に活用してください。
本の中身をちょっと読む!


(トウシル編集チーム)