7月29日のドル/円は、今週のメガ指標発表を前に様子見ムードが強まり、特定の方向感が欠けた取引となった。高値警戒感は根強いが、下方向を積極的に攻める動きも見られなかった。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは149.15円↓下値メドは147.85円基軸通貨:FRBを廃止すれば、基軸通貨としてのドル地位も失われる
米欧貿易戦争:ラガルド総裁「トランプ関税は欧州にとって米国依存脱却の機会となる」
ラグジュアリー市場危機:中国に続き米国の需要が目に見えて減速
トランプ関税:米国との貿易は多くの経済にとって重要だが、いかなる国の経済にとってもそれが経済活動の最も重要な部分というわけではない
欧州軍拡:フィンランド、2029年までに防衛費をGDPの3%まで引き上げ
前日の市況
7月29日(火曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.08円「円高」の148.47円。1日のレンジ幅は0.65円だった。

2025年150営業日目は148.46円からスタート。ドル買いの流れが続く中で、午前中に前日の高値(148.58円)を超える場面もあったが、日経平均株価が3日続落してセンチメントが悪化すると、夕方には148.16円まで値を下げてこの日の安値をつけた。
今週は、4-6月期米国内総生産(GDP)速報値、米連邦公開市場委員会(FOMC)、日本銀行会合、それに雇用統計というメガ指標が控えている。また8月1日はトランプ関税の猶予期限でもある。そのため、この日の海外市場では様子見ムードが漂った。ドル/円は148.81円まで戻したが、149円に届かないまま、やや下げて取引を終えた。
レジスタンス:
150.48円 04/02
149.18円 07/16
149.11円 07/17
148.88円 07/18
148.81円 07/29
サポート:
148.16円 07/29
147.52円 07/28
146.81円 07/24
145.85円 07/25
145.75円 07/10

ユーロは一進一退の動きとなったが、結局は売りが勝って下落した。米国と欧州連合(EU)の貿易交渉合意で投資家心理が上向いたのは一瞬で、今は合意内容に対する懸念の方が大きくなっている。フランスやドイツは不平等だとして不満を表明した。
交渉合意によって、欧州経済にとっての「不確実性」は大幅に低下したのは確かだ。しかし、15%の関税率は、最悪を回避したとはいえそれまでの2.5%に比べるとはるかに高く、決して喜べる内容ではない。
主要指標 終値

今日の為替ウォーキング Reunited
今日の一言
初心とは、多くを期待することなく、一瞬一瞬に新鮮に反応することである
Reunited
今日(日本時間の明日早朝)、FOMCは政策金利を発表する。据え置きを決めるのか、それともトランプ大統領の圧力に負けて利下げするのか。世界中のマーケットが注目している。
前回6月17~18日に開催された会合では、FOMCは政策金利を4.25~4.50%の範囲に据え置くことを決定した。FOMCの声明文には、7月の利下げを示すものは見当たらず、9月の予定を示唆する文言もなかった。
別の言い方をすれば、雇用に関するハードデータが、夏の間に大幅に悪化するようなことが起きない限り、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制に重点を置く政策を継続するということだ。
今年の初め、パウエル議長は「インフレは一時的」という表現を使っていたが、今回のFOMCでは、このような軽いセリフは姿を消してしまった。パウエル議長は、利下げを再び行うためには、「強い確信」を持つ必要があると見解を修正している。また、現在の米経済は十分に強い状態にあるため、金融政策を「やや引き締め気味」に維持する必要があると指摘している。
従って、現時点のパウエル議長の考えとしては、近い将来再び利下げを行う可能性は低く、現在の引き締め政策を続けるということになる。経済が堅調であることは長期的には前向きな材料であるが、短期的には利下げを期待していた投資家の失望感を招くことになるだろう。

前回会合時、つまり1カ月前時点のFOMCの考えをまとめると、以下のようになる。
- 米経済は堅調である。失業率は依然として低く、労働市場はほぼ完全雇用の水準にある。
- インフレの影響が持続的になる可能性がある。
- FRBの使命は、物価の一時的な上昇が、継続的なインフレとなって拡大する問題を防ぐことである。
そのために、長期的なインフレ期待(が上昇しすぎないように)しっかりつなぎ止める必要がある。
- 賃金を見ても、雇用創出を見ても、どれも健全な水準にある。
おそらくは、非常にゆっくりとしたペースで減速しているのだろうが、現時点では何も問題はない。
- 現在の金利水準は、若干の引き締め程度の水準と思量する。
経済は厳しい金融政策の下で見られるような、景気抑制な様相を呈していない。このことから、消費や投資が、(現在の金利水準において)想定以上に維持されている可能性が高い。

今週の注目経済指標

(荒地 潤)