7月31日(木曜)のドル/円相場の終値は、前日比1.28円「円安」の150.80円。1日のレンジ幅は2.26円だった。
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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 日銀利上げ見送りで円安加速、ドル/円151円へ接近中 」
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは151.65円↓下値メドは148.85円暗号資産:ブラジル人は株や債券よりも暗号資産に投資する割合が多いことが判明
FRB:リッチモンド連銀総裁「インフレが一時的とは思えない。引締めスタンス維持が妥当」
FRB:ボストン連銀総裁「関税によるインフレ上昇は不可避」
英財政:英国の財政赤字、1960年代以来の高水準となる、対GDP95.5%に達する
ドル:Xデーは10月上旬
前日の市況
7月31日(木曜)のドル/円相場の終値は、前日比1.28円「円安」の150.80円。1日のレンジ幅は2.26円だった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は今週、5会合連続で政策金利を据え置くことを決定した。マーケットの関心事は、米連邦準備制度理事会(FRB)はいつ利下げするかということに尽きるが、パウエルFRB議長は次回9月会合についても明確な利下げのメッセージを示さなかった。このため全般的なドル買いが続いている。
ユーロ/ドルは、7月1日に年初来高値である1.1830ドルまで上昇したが、今では1.1400ドル割れ寸前まで沈んでいる。米国と欧州連合(EU)の交渉合意によって、欧州経済にとっての「不確実性」は大幅に低下した。しかし、15%の関税率は最悪を回避したとはいえ、それまでの2.5%に比べるとはるかに高く、決して喜ぶような内容ではない。
貿易交渉合意で投資家心理が上向いたのは一瞬で、合意内容に対する懸念の方が大きくなっている。フランスやドイツは不平等だとして不満を表明した。
日本は、日米関税交渉の合意で「経済の不確実性」が減ったかと思ったら、今度は「政治の不確実性」だ。日本銀行の利上げは「早くて来年」という予想になっている。円を買う理由が見当たらない。

2025年152営業日目は149.44円からスタート。日銀は、この日の政策決定会合で政策金利を据え置いた。展望レポートでは2025年度の物価見通しが上方修正されたことで年内の利上げ期待が高まり、政策金利発表後の日本時間昼には149円を割り148.58円まで円高に動いた。
しかし、慎重居士の植田和男日銀総裁は、インフレ率の上方修正は利上げに直接結びつくものでないという弱気の見解を示したため、円買いは止まり円安へと動きを変えた。
149円台を通り抜け150円台に乗せたドル/円は、明け方には米国「解放の日」(トランプ大統領が相互関税を公表した日)後の円の最安値となる150.84円をつけた。
レジスタンス:
151.43円 02/20
151.31円 03/03
151.21円 03/28
150.84円 07/31
サポート:
148.58円 07/31
147.80円 07/30
147.52円 07/28
146.81円 07/24
145.85円 07/25
2025年 主要指標 終値

今日の為替ウォーキング Wonderful Tonight
今日の一言
人は過去の出来事に腹を立てるのではない。過去の出来事に囚われている自分に腹を立てているのだ。
Wonderful Tonight
今日は米国の7月雇用統計が発表される。7月のFOMCはすでに終わっているが、今回の結果は次回9月会合の利下げの可能性を探る上で重要なデータとなる。非農業部門雇用者数10万人以下、失業率4.3%以上が早期利下げのトリガーレベルになりそうだ。
なお7月雇用統計の予想については、『 7月雇用統計の注目ポイント「もう働くの疲れた…」リストラはないけど、人も増えない。米雇用市場はどうなる?7月米雇用統計 詳細レポート 』をお読みください。

前回6月の雇用統計は堅調な結果となった。非農業部門雇用者数(NFP)は15万人近くまで増えて予想を大きく上回り、失業率は4.1%に低下して雇用環境が安定していることを示した。
民間部門の雇用の伸び鈍化など、減速の兆候も見え隠れしているが、FRBが今すぐに政策を変更するほどではなかった。FOMCは今週、5会合連続で政策金利を据え置いた。今後も引き続き、経済データの結果に基づいて政策を決定する「データ依存型」のアプローチを維持しながらも、雇用よりも物価の安定(インフレ)に政策をフォーカスしていくことだろう。

7月3日に発表された米労働省経済統計局(BLS)による2025年6月の雇用統計ではNFPの就業者数は14.7万人増加して、市場予想の11.0万人増を大幅に上回る結果となった。5月の就業者数は当初発表の13.9万人から14.4万人に上方修正されたが、6月はさらにそれを上回る結果となった。
失業率は4.1%で前月から0.1ポイント低下した。市場予想は4.3%だった。失業率の予想外の低下は、政府部門の雇用が7.3万人増と堅調だったおかげだ。
雇用統計の実績は、FRBが利下げまでにもうしばらく様子見する時間ができたことを意味する。現時点でパウエルFRB議長は利下げの明確なサインを示していない。
今週の注目経済指標

(荒地 潤)