8月4日のドル/円相場の終値は、前日比0.33円「円高」の147.06円。1日のレンジ幅は1.22円だった。
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]↑上値メドは147.85円↓下値メドは146.05円
ドル:ドルは世界の基軸通貨であるため、貿易不均衡を是正するために必要なほど減価することはない
トランプ関税:関税政策だけでは米経済は自滅する。成長政策が必要
FRB介入:FRBが非経済的な理由で市場介入(利下げ)するのは、リーマンショックや新型コロナの時のように、市場が「本当に失敗して」機能不全に陥った場合のみ
ECB:ビルロア理事:政策金利、さらに利下げありえる
欧州軍拡:スウェーデンの軍需品メーカーSAAB株、1カ月で88%上昇
前日の市況
8月4日(月曜)のドル/円相場の終値は、前日比0.33円「円高」の147.06円。1日のレンジ幅は1.22円だった。
2025年154営業日目は147.20円からスタートした。先週金曜日のマーケットでは米雇用統計の弱い結果を受けてドルが急落した。この反動で週明けの東京市場ではドルの買い戻しが優勢となり、東京時間夕方には148.09円まで上昇した。

しかし、海外市場ではドル売りが再開。ドル/円は夜遅くに147.00円を割り146.87円まで下落してこの日の安値をつけた。その後147円台まで浮上したが戻りは鈍かった。
米雇用統計では7月の非農業部門雇用者数(NFP)が10万人を下回った。さらに6月と5月の就業者数が修正されて、合わせて26万人近く減少した。米連邦準備制度理事会(FRB)の9月利下げ観測が急速に強まるなかでドルの上値が重くなっている。ただ、米国の雇用市場が構造的人手不足であることに変わりはない。トランプ関税の不確実性がなくなりさえすれば、雇用市場はすぐに回復するとの見方もある。
レジスタンス:
151.43円 02/20
151.31円 03/03
151.21円 03/28
150.92円 08/01
148.09円 08/04
サポート:
146.87円 08/04
146.81円 07/24
145.85円 07/25
145.75円 07/10
144.22円 07/07
2025年 主要指標

今日の為替ウォーキング Sunshine Of Your Love
今日の一言
どうせダメだろうと決めつけることなく、他人と比較せず、やるべきことに心を集中させる
Sunshine Of Your Love
米労働省(BLS)が8月1日に発表した2025年7月の雇用統計では、非農業部門(NFP)の就業者数は11.0万人増の事前予想に対して7.3万人の増加にとどまった。
しかし、それ以上にショッキングだったことは、5月と6月の就業者数が、合わせて「25.8万人」も下方修正されたことだ。安定した雇用環境が維持されているという楽観論は消え、トランプ関税が思った以上に雇用市場をむしばんでいることが明らかになった。
失業率は4.2%で、前月から1ポイント上昇した。失業率は4.1%から4.2%の狭いレンジが1年以上続いている。
時間当たり賃金の伸びは、前月比0.3%増、前年比3.9%増だった。(前回 0.2%増、3.8%増)

パウエルFRB議長は、7月29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の記者会見では、「米労働市場はバランスが取れている」という認識を示していたが、大幅な見直しを迫られている。今回の結果を受けて9月FOMCで利下げに踏み切る確率は約83%まで高まっている。マーケットはFRBの新たなガイダンスを心待ちにしている。
予想を大幅に下回るNFPと失業率の上昇は、労働需給が緩んでいるサインであり、FRBにとっては早期利下げ判断要因となる。その一方で、堅調な平均時給の伸びは、個人消費の拡大を通じてインフレが下支えされる可能性が高いことを示している。これがFRBの判断を難しくさせている。

FRBの利下げで経済活動の減速が回避できるかどうかは、今後さらに検討しなくてはいけない。ただ現時点で言えるのは、トランプ関税の影響は軽微だという考えは、誤っていた可能性が高いことだ。この仮定が見直される必要がある場合、マーケットは相当な下落局面を経験することになるだろう。
ただ、FRBは1回だけの結果で利下げを決めることはせず、今後発表される経済指標を確認したうえで慎重に判断を下すだろう。次回9月のFOMC(2025年9月16-17日)までの間に、雇用統計はあと1回(9月5日)、消費者物価指数(CPI)は2回(8月12日と9月11日)ある。
(荒地 潤)