2025年7月、日本株式市場の急騰により史上最高値を更新したTOPIXの今後について、業績動向をふまえて考えます。
1. TOPIXは2025年7月に史上最高値を更新した
日米関税交渉が急転直下で合意にたどり着いたことを好感し、7月23~24日にかけて日本株式市場は急騰しました。この急騰により、東証株価指数(TOPIX)は2024年7月に付けた史上最高値を更新するなど、先高観が高まりました。
図表1は今年4月にもご紹介したもので、過去12年程度の「TOPIXと予想EPSに基づく妥当レンジ(赤線と青線)の推移」です。米関税問題などにより今春に予想1株当たり利益(EPS)が下方修正されたことで妥当レンジが切り下がった影響などもあり、7月28日の終値は妥当レンジ上限値(赤線、2,726ポイント)よりも7~8%程度割高であるとみています。
この観点からみれば、TOPIXは最高値を更新したものの、さらなる高値追いは難しいと考えています。ただし、今後の業績動向次第では高値圏にとどまる可能性もあるので、その辺りを分析してみようと思います。
[図表1] TOPIXと予想EPSに基づく妥当レンジの推移

2. 2025年度の業績予想は減益予想だが、2026、2027年度は増益に転じる予想
米関税問題などで業績予想が下方修正された影響なども受け、2025年度の業績予想は全般では減益見込みとなっています。
図表2は、Russell/Nomura Large Cap インデックス・ベースでの経常利益(増減益率)の推移です。米関税や円高の影響などにより、2025年度の経常利益は全体では減益予想となっており、製造業および非製造業ともに減益予想となっています。
一方、2026年度については、米関税や円高による落ち込みの反動などから増益転換が予想されており、特に製造業の増益率が高い予想になっています。また、翌2027年度についても増益が続く見通しです。
2026~2027年度の業績がこのような格好で伸びていけば、TOPIXの1年後の妥当レンジは10%程度上昇することが見込まれるため、上述した割高感はなくなり、さらなる高値追いは難しいにしても、相場は高値を維持できる可能性もあると考えており、割高なので即弱気ともみておりません。今後の業績動向に注目していこうと思います。
[図表2] Russell/Nomura Large Cap インデックス・ベースの業績予想(経常利益)

3. 日経平均株価もほぼ同じ状況にある
個人投資家の皆さんにはTOPIXは水準感的になじみがない方が多いと思うので、日経平均株価でも水準感を確認してみましょう。
図表3は図表1と全く同じ考え方に基づいて日経平均株価ベースで描いたものです。
日経平均株価の妥当レンジは、TOPIXに対してN/T倍率(日経平均株価÷TOPIX)で算出しているので、今後どのような物色になるかによってTOPIXからの乖離(かいり)も生じます。
具体的には、半導体関連株のような値がさ株が買われればN/T倍率は上昇するので、日経平均株価はTOPIXよりも優位になる一方、銀行株や自動車株が物色されるとN/T倍率が低下するので、劣位になります。この辺りの影響も勘案しながら見定めていく必要がありますが、基本的にはTOPIX同様に業績改善が進めばポジティブな見方になっていくでしょう。
[図表3] 日経平均株価と予想EPSに基づく妥当レンジの推移

<関連銘柄>
NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(証券コード:1306)
NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信(証券コード:1321)
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(阪井 徹史)