2025年下期決算に下振れリスク、7月に一段の販売不振
現地コード 銘柄名 02015理想汽車
(リー・オート)
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96.45HKD
(8/8現在)
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中国の三大新興EVメーカーの1社、理想汽車は2025年上期に販売不振に直面したが、7月に入ってからは一段と状況が悪化。直近1週間の販売台数は6,000台にも届かなかった。
ただ、7-9月期以降には利益率の低い純電気自動車(BEV)の販売比率の拡大、部品・材料全体(BOM)コストの増大、さらに最近の値下げが、総車両マージンの希薄化を招く可能性に触れ、下期決算の下振れリスクを指摘している。予想外の需要低迷とiシリーズBEVの投入による利益率の圧迫を考慮した上で、2025-26年の業績見通しを下方修正した。
上期の販売台数が業界平均を下回った結果、4-6月期の国内新エネルギー車(NEV)市場における同社のシェアは2024年から2ポイント縮小(14%→12.1%)。特に30万元超の高価格帯で、4.8ポイントの大幅なシェアの低下に見舞われた。その後も苦戦が続き、7月28日-8月3日週の販売台数はそれまでの8,000-9,000台から6,000台弱に縮小している。
競争激化や、既存のLシリーズレンジエクステンダーEV(EREV)モデルに対する関心の薄れ、iシリーズBEV「Li i8」の発売を控えたターゲット層の様子見姿勢などが影響したとみられる。「Li i8」は8月20日に納車開始予定だが、BOCIはこれに伴い、iシリーズBEVとLシリーズEREVとの間に利益の衝突が生じるとの見方。価格設定を含めた戦略的課題に対処する必要があるとしている。
7-9月期の段階ではBEVモデルの貢献はまだ小さく、BOCIは同社全体の販売台数が前年同期比で30%以上落ち込む可能性があるとみる。その後の10-12月期には、BEV2種に対する評価や納車ペース、さらにNEV購入支援措置の終了を見込んだ受注動向が影響するとの見方。
いずれにせよ、2025年通期の販売目標(前年比横ばいの約50万台)の達成は難しいとみて、同期の予想販売台数を58万台から49万台に下方修正。
これに伴い、両年の予想売上高を11-16%減額修正。iシリーズBEVによる利益率の低下やニューモデルの初期コスト、競争激化などを理由に、非GAAPベースの予想純利益を37-47%引き下げ、それぞれ62億元、101億元に設定している。
理想汽車は過去5年間、中国の高級NEV市場で急成長を遂げたが、その後は他社の追随を許し、競争激化に直面している。BOCIは後発企業に対処するための感覚や機敏さに欠けるとして、戦略転換の必要性に言及。
現時点では、同社に対する評価方法を株価収益率(PER)から、黒字化前の新興NEVメーカーと同じ株価売上高倍率(PSR)に戻すとした。販売不振と市場予想の下方修正リスクを理由に、短期的には同業銘柄をアンダーパフォームするとみて、目標株価を下方修正(2025年予想PSR2倍)している。
(Bank of China int.)