2025年9月に初めて優待を実施する優待新設銘柄の中で1番お得度が高いのはソフトバンク。約2.3万円の少額投資でPayPayマネーライトが年間2,000円分もらえ、しかも高配当な点が魅力です。

東京メトロやシイエム・シイもお得度が高く、業績や財務の安定性が評価できます。高額な金券優待を新設した銘柄の中で業績面で安定感のある株も紹介します。


【2025年9月株主優待】上場厳格化で増加!高額金券系&株価...の画像はこちら >>

上場基準厳格化で9月末の優待新設銘柄は24銘柄増加!

 この特集では、2025年9月の優待株の中でテーマ別に有望な銘柄をランキング形式で紹介していきます。


 まずは2025年9月に、初めて9月株主に対する優待を新設した銘柄の中で、優待のお得度が高い株を厳選。株価の上昇にも期待できそうな銘柄を選びました。


 2025年9月優待株は全部で406銘柄※。昨年2024年9月に比べて24銘柄増えました。
※楽天証券 株主優待検索より


 優待新設銘柄が増えている背景には、東京証券取引所(以下、東証)が上場基準を厳しくしていることがあります。


 特にクリアするのが難しいといわれているのが、市場に流通して一般の投資家に取引されている株式の時価総額(=流通株式時価総額)です。


 東証プライム市場では流通株式時価総額100億円以上、発行済み株式に占める流通株式比率35%以上が求められています。東証スタンダード市場では10億円以上、25%以上、東証グロース市場では5億円以上、25%以上が上場維持基準です。


 この基準を満たすため、株主優待制度を新設して、新たな個人投資家を獲得し、流通時価総額の基準を満たそうとする企業が増えているのです。


 昨年2024年も高額な金券優待を新設する企業が続出し、優待新設の発表直後には株価が急上昇する銘柄も目立ちました。


 例えば、2024年1月に年間3万円分の高額QUOカード優待を始めると発表した 日本エコシステム(9249) は、優待新設の発表直後に株価が500円台後半から1,528円の高値まで約3倍も急騰。1年半以上が経過した今も1,573円※で高止まりしています。


※株価は2025年8月8日終値。以下、文章中の株価、投資金額、予想配当利回りは全て2025年8月8日終値を基に計算したものです。


 日本エコシステムは愛知県一宮市を地盤に競輪場など公営競技場の運営・システム開発や高速道路の点検・保守事業を手掛ける割安株です。


 その優待は3月・9月末に600株(投資金額94万3,800円)保有でQUOカード1万5,000円分贈呈というもの。


 同社は株主配当の増配が続いていることも(今期2025年9月期の予想配当利回りは1.13%)株価が高止まりしている理由です。


 優待新設株を買う際は、発表後の株価急騰で高値つかみしてしまい、その後の下落に巻き込まれてしまうことに注意が必要です。


 優待新設発表後もずっと株価が高止まりしそうな銘柄を選ぶためには「業績や財務が安定しているか」「優待だけでなく株主配当もきちんと支払っているか」などにも注目する必要があるのです。


No.1は断然人気面や投資のしやすさで ソフトバンク(9434) !

 9月の優待新設株ランキング1位は、何といっても三大携帯キャリアの一角、 ソフトバンク(9434) です。


 楽天証券の「株主優待検索」で9月優待株を抽出し、「人気順」に並べ替えてもトップ銘柄に君臨しています。


 同社は2025年3月末から株主優待制度を新設。


 3月・9月末に100株以上を1年以上継続保有すると一律で、電子決済アプリ「PayPay」で使える「PayPayマネーライト」1,000円分が贈呈されます。


 今回2025年9月末は初の9月優待になります。


 2025年9月26日(金)の権利付き最終日にソフトバンク株を100株以上購入し、来年2026年9月末まで1年間継続保有すると、初めてPayPayマネーライト1,000円分が贈呈されます。


 PayPayマネーライトは、PayPay残高の一つで、銀行口座への現金での払い出しや税金、後払いサービスの支払いには利用できないものの、本人確認が不要で、PayPay加盟店での支払いや他のPayPayユーザーへの送金には自由に使えるので、金券優待としての利便性も万全です。


 ソフトバンクの株価は234.4円で、100株購入にかかる費用は2万3,440円に過ぎません。


 非常に少額資金から投資可能で100株以上を1年間継続保有すれば年間で合計2,000円のPayPayマネーライトが贈られるわけですから、投資効果の面でも抜群といえるでしょう。


 ソフトバンクは法人向けのクラウド事業が伸びており、登録ユーザーが7,000万人を突破した電子決済アプリPayPay事業はすでに黒字化を達成し、新規上場を準備中です。


 上場に際してはPayPayの米国進出を狙って米国市場への上場も検討されており、企業成長性の面でも期待が持てます。


 さらに、個人向け携帯電話の回線契約という超安定した収益源があるため、予想配当利回りが3.67%と、三大携帯キャリアの中でも最も高い高配当株です。


 株価も上場来高値を日々更新するほどの、きれいな上昇トレンドが続いており、優待、配当、株価の面で3拍子そろった超優良株といえるでしょう。


権利付き最終月:3月・9月
株価:234.4円
配当金:4.3円(2026年3月期予想)
優待発生株数:100株以上を1年以上継続保有
優待内容:電子決済アプリ「PayPay」で使える「PayPayマネーライト」1,000円分
その他条件:-
最新情報は 企業HP からご確認ください


 

2. 東京メトロ(9023)

 第2位は「東京メトロ」の愛称で呼ばれる 東京地下鉄(9023) です。


 東京メトロは2024年10月23日の新規株式公開(IPO)前から株主優待制度の導入を発表。2025年3月末から株主優待をスタートし、今回2025年9月末が初の優待になります。


 その優待内容は3月・9月末に200株(投資金額34万4,200円)保有で東京メトロ線片道1乗車に利用できる株主優待乗車証3枚が贈呈されるというもの。


 3月末にはECサイト「メトロの缶詰」300円引きクーポン1枚(3,000円以上の買い物で1年間何度でも利用可能)、「地下鉄博物館」無料招待券5枚など、同社関連施設の各種優待券ももらえます。


 東京メトロ線の乗車券の最大金額は330円(大人、普通券[きっぷ])のため、200株保有の場合、年間で最大1,980円の節約になります。


 100株保有では優待権利が発生せず、200株以上の保有が必要ですが、首都圏在住で頻繁に東京メトロ線を利用する人にとっては、金額はともかく、満足度が比較的高い優待といえるかもしれません。


 同社は銀座線、丸ノ内線などの都心駅を中心にインバウンド(訪日外国人)需要が好調で、鉄道収入が堅調。今期2026年3月期も2期連続最高益更新予想です。


 株主配当も2円増配の1株当たり42円を予定しており、予想配当利回りは2.44%に達します。


 株価は2025年4月に2,125円の高値をつけたあと、7月には1,600円の安値まで急落しましたが、8月に入って1,721円まで回復しています。


 今後はホテル事業など好立地な都心駅周辺の不動産開発が成長源になることを考えると、株価の長期的な上昇にも期待が持てそうです。


権利付き最終月:3月・9月
株価:1,721円
配当金:42円(2026年3月期予想)
優待発生株数:200株以上を1年以上継続保有
優待内容:全線きっぷ(片道1回限り)。株式保有数に応じて贈呈数が増加。
その他条件:-
最新情報は 企業HP からご確認ください


 

3. シイエム・シイ(2185)

 2025年8月8日に9月末株主に対する優待新設を発表したばかりなのが シイエム・シイ(2185) 。自動車向け技術仕様書などのマニュアル作成や製造企業向け製品データベース活用支援を行うニッチなIT系企業です。


 9月末に100株を1年以上継続保有すると、同社の行動基軸である「心動かす」の思いを込めた商品を選択できるカタログギフト3,000円相当が贈呈されます。


 今回2025年9月末の初回基準日に株主名簿に記載され、1年間継続保有すると、来年2026年9月末に初めて優待が贈呈されます。


 同社は主に自動車産業向けに技術仕様書のAI翻訳サービスやデジタルトランスフォーメーション(DX)支援を手掛ける企業ということもあり、業績は比較的安定しています。


 また自己資本比率が80%に達する高財務企業です。


 今期2025年9月期は減収減益予想ですが、それでも株主配当は前期比8円増配の1株当たり52円を予定しており、予想配当利回りは3.10%に達します。


 時価総額241億円の小型株ということもあり、AI、DX関連で成長が持続したり、積極的な株主還元策をさらに打ち出したりすれば、株価が大きく跳ね上がる期待感もあります。


 取引時間中に株主優待新設を発表した8月8日には前日比10%株価が急騰しました。


 しかし、いまだ株価純資産倍率(PBR)が1.06倍の割安株のため、業績が回復すれば株価も2025年2月の高値1,847円超えを目指す展開に期待できそうです。


権利付き最終月:3月・9月
株価:1,676円
配当金:52円(2026年3月期予想)
優待発生株数:100株以上を1年以上継続保有
優待内容:カタログギフト3,000円分。株式保有数に応じて贈呈数が増加。
その他条件:-
最新情報は 企業HP からご確認ください


 

4. アートネイチャー(7823)

 株価的にも安定感のある9月優待新設銘柄の第4位は、かつら、ウィッグなど毛髪関連製品・サービス大手の アートネイチャー(7823) です。


 同社は2025年7月15日に2025年9月末からの優待新設を発表したばかり。


 優待内容は、9月末に700株(投資金額57万1,900円)保有で「アートネイチャー・プレミアム優待倶楽部」で同社の商品、食品、飲料、家電など5,000種類以上の商品から好きな商品を選べるポイント3,000ポイント贈呈というもの。


 保有株数が100株増えるごとにポイント数は1,000ポイントずつ増加し、1,000株(投資金額81万7,000円)保有では6,000ポイントになります。


 同社は男性向けかつらの国内シェアNo.1で、市場全体が縮小傾向にはあるものの、女性向けのオーダーメードウィッグが成長源となっています。


 ここ数年は業績横ばいが続くものの、自己資本比率が53.8%で無借金経営の高財務企業であることも魅力の一つです。


 株価は成長期待がないこともあり700円台から800円台の底ばいが続くものの、全体としてはやや右肩上がりで底堅く推移しています。


 株主配当は1株当たり28円と横ばいが続いていますが、予想配当利回りは3.43%。高財務を生かした、より積極的な株主還元を打ち出せば、さらなる株価の上昇が見込めるかもしれません。


権利付き最終月:9月
株価:817円
配当金:28円(2026年3月期予想)
優待発生株数:700株以上
優待内容:「アートネイチャー・プレミアム優待倶楽部」で使える3,000ポイント。株式保有数に応じて贈呈数が増加。
その他条件:-
最新情報は 企業HP からご確認ください


 

5. ユー・エス・エス(4732)

 優待新設ではなく、今回の2025年9月末から優待内容を拡充するのが中古車のオークション会場運営最大手の ユー・エス・エス(4732) です。


 従来の優待内容は、3月・9月末に100株以上499株以下の保有でQUOカード500円分でしたが、今回からは新たに300株(投資金額53万1,150円)以上499株以下の枠が設定され、三井住友VJAギフトカード2,000円分に拡充されました。


 これまで500株(投資金額88万5,250円)保有だと3月・9月末に2,000円分の贈呈だった三井住友VJAギフトカードの金額も3,000円分に増額されました。


 また、300株を3年以上継続保有すると、同ギフトカードの額が1,000円増額(年間合計6,000円分)されるといった継続保有期間による優待増額制度も導入されました。


 同社は収益源の中古車オークション事業の急成長が続き、前期に続いて今期2026年3月期も過去最高益更新が見込まれる成長株です。


 近年は成長株でありながら株主還元にも力を入れており、2025年度からは配当性向60%以上を掲げ、2027年度までに自社株買いを含む総還元性向を80%から100%に引き上げる方針です。


 成長株でありながら手厚い株主還元もあり、株価は急上昇が続いています。


 予想配当利回りは2.85%と高水準ですが、高値つかみが怖いのでいったん株価が調整するのを待ってからの購入が安全かもしれません。


権利付き最終月:9月
株価:1,770.5円
配当金:25.2円(2026年3月期予想)
優待発生株数:100株以上
優待内容:QUOカード500円分。株式保有数と保有年数に応じて贈呈数が増加。
その他条件:500株以上で三井住友VJAギフトカード2,000円分、1,000株以上でグルメギフト5,000円相当。株式保有数と保有年数に応じて贈呈数が増加。
最新情報は 企業HP からご確認ください


高額の金券優待が魅力で業績不安の少ない優待新設株!

 ここ最近増えているのが、高額金券系の株主優待制度を新設して株価が急騰する企業です。


 ただ、高額金券優待を発表した企業の中には、業績が低迷して株主配当も支払っていない銘柄が含まれるのも事実です。


 2024年10月に4月・10月末に2,000株以上を半年保有すると年間12万円分のQUOカードPay贈呈という超高額優待を発表した不動産関連会社の REVOLUTION(8894) は一度も株主優待を実施せずに廃止しています。


 こういった「悪質」な事例を避ける意味でも、高額金券優待株に投資するときは、減収減益が続いて業績が低迷していたり、自己資本比率が低く財務面で不安定な銘柄を避けることが重要です。


 2025年9月末が初の優待権利獲得月となる高額金券優待株の中で、業績、財務面で比較的安定した銘柄には以下の表のようなものがあります。


 ただし、多くの銘柄は時価総額が小さく、今回は9月26日(金)の優待権利付き最終日から9月29日(月)の権利落ち日にかけて、金券優待の金額分以上の株価急落が起こる恐れもあるので注意が必要です。


高額金券優待新設で業績面も比較的安定した企業。番外編には2025年9月末の特別優待を発表した、あの会社も!

銘柄名 購入金額
(100株) 配当利回り 優待内容 BBDイニシアティブ(5259) 14万8,700円
※株主優待は500株から 無配
(2024年9月期は有配) 中小企業向けのITエンジニア派遣や営業支援クラウドサービスを展開。2025年3月末より、3月・9月末に500株(投資金額74万3,500円)以上保有で2万円分のデジタルギフト(PayPayマネーライト、Amazonギフトカードなど)が贈呈される優待を新設。9月末は継続保有1年以上で3万円、2年以上で4万円、3年以上で5万円分に増額される。前期に続き今期2025年9月期も過去最高益更新予想で、無配予定だが有配の可能性もある成長株。 バッファロー(6676) 25万3,600円 3.15% 無線LANなどのシェアが高いパソコン周辺機器メーカー。2025年9月末より、3月・9月末に100株以上保有で、同社の商品購入時に利用できるデジタルギフト(PayPayマネーライトなどになる予定)3,000円分贈呈の優待を新設。3年以上継続保有で5,000円分に増額。同社は製麺メーカー・ シマダヤ(250A) をスピンオフしたことで今期は大幅減収、利益半減だが、本業のPC周辺機器事業は底堅く推移。予想配当利回りも3.15%と高い。 バルテス・HD(4442) 4万3,800円
※株主優待は500株から 0.91% ソフトウエアのテストやモバイルアプリ開発などを手掛けるIT企業。2025年3月末より、3月・9月末に500株以上(投資金額21万9,000円)を半年間継続保有で1万5,000円分のQUOカード贈呈の優待を新設。今回9月末までに購入すると来年2026年3月末からの贈呈になる。同社の今期2026年3月期は減益予想だが、黒字経営が続いている。株価は優待新設を発表した2025年2月に577円の高値をつけたものの、それ以降は300~400円台で底ばい推移。 【番外編】
オリエンタルランド(4661) 32万2,800円 0.43% 優待新設銘柄ではないものの、2025年9月末株主に限って100株以上保有で一律、東京ディズニーランド・シーで使える1デーパスポート1枚贈呈の特別株主優待を実施するのがオリエンタルランド。通常は100株保有では9月末を基準日に3年以上継続保有で1デーパスポート1枚贈呈の長期保有株主優待しかない。同社は成長鈍化や大株主の 京成電鉄(9009) に対するオリエンタルランド株の売却圧力もあり、株価が2024年1月高値5,765円から2025年4月安値2,755円まで低迷。ただ日本有数のアミューズメント系成長株としての魅力は健在。 ※最低購入金額は2025年8月8日の終値で計算。

(トウシル編集チーム)

編集部おすすめ