日経平均最高値! 日米合意で日本への相互関税・自動車関税が15%になる見通しとなったことが評価されています。日本企業は長期的にトランプ関税を克服していけそうです。
日経平均最高値、外国人投資家の買いがけん引
先週(営業日8月12~15日)の日経平均株価は、1週間で1,557円上昇して4万3,378円となり、史上最高値を更新しました。
日経平均週足:2024年1月4日~2025年8月15日まで

日米合意で日本に対する相互関税・自動車関税が15%に引き下げられる見通しとなったこと、米景気は軟着陸(ソフトランディング)する見通しであることから、日本の企業業績の先行きへの悲観が低下しました。
東証プライム3月期決算主要841社純利益(前期比%):2024年3月期~2026年3月期(予想)

日米合意が守られ、米景気がソフトランディングするならば、今期(2026年3月期)は減益となるものの、来期(2027年3月期)以降、増益トレンドに戻ると期待されます。その見通しを先取りして、日経平均上昇が続いていると考えられます。
日経平均の上昇をけん引しているのは、外国人投資家の買いです。
日経平均と外国人投資家の売買動向(売越・買越):2025年3月24日~8月15日(外国人投資家の売買動向は8月8日まで)

外国人投資家から見ると、日本株は世界景気敏感株です。トランプ関税ショックで世界不況になる不安が高まった4月には外国人投資家の売りで日経平均が急落しました。その後、トランプ関税が緩和され、世界景気ソフトランディングの見通しが広がると、外国人投資家は日本株を買い戻しました。
外国人投資家が日本株を買うのは、世界景気の見通しが変化したことだけが理由ではありません。米国が内向きの国となり、米国株に投資する魅力がやや低下する中、外国人投資家はグローバルポートフォリオの中で、ドイツ株、香港株、日本株などの組み入れを増やしてきています。
外国人投資家から見た日本株の魅力

日本株は、財務良好・収益が安定的にもかかわらず株価純資産倍率(PBR)1倍を割れるなど、株価割安の銘柄が多数あります。自己資本対比で割安な日本株で、自社株買いが急増していることが、外国人投資家が評価する重要ポイントです。
また、日本で財政・金融の大盤振る舞いが続いていることも注目されています。米国は財政・金融とも一時的に引き締めになっている中、財政・金融とも景気刺激的で、景況が相対的に良好な日本株の組み入れを引き上げています。
日米合意は本当に実行されるのか?
日本株にとって、短期的に一番心配なのは、日米合意が、日本側が理解する通りに実行されるか否かです。合意文書が無く、トランプ大統領が日本側の理解と異なる発言をたびたびしていることが、不安です。確かに、日本に対する相互関税が15%に下がるか、自動車関税も15%に下がるか、不透明です。
相互関税は、欧州連合(EU)と同じく15%になると日本側は理解していましたが、実際には15%の追加関税とされています。既存の関税率に15%の追加となっているので、15%を超える税率もあります。
赤沢亮正・経済再生担当相は、相互関税について15%になることで米国側と話をしているというものの、本当に実行されるまでどうなるか分かりません。
自動車関税も同じです。本当に15%になるのか、米国は合意文書を作らないであいまいにしているので、最後の最後まで分かりません。
トランプ大統領のことなので、また突然いろいろと言いがかりをつけてきて、日本への自動車関税を15%にしないとか、相互関税を引き上げるとか、言ってくることもないとは言えません。
日本株は割安、長期で上昇余地あり
日本株は割安で長期的な上昇余地は大きいと判断しています。ただし、トランプ関税ショックは終わっていません。日米合意が実行されない可能性が出てくると、日本株がまた売られるリスクもあります。
日本株はこれからも、急落・急騰を繰り返しながら上昇していくと考えられます。時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えます。
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(窪田 真之)