TOPIXが急騰し1年後の利益成長まで織り込む水準となっている中で、2026年度に利益成長が大きい業種を吟味します。
1. TOPIXは3,100ポイントまで上昇、1年先の利益成長を織り込む
前回記事で、史上最高値圏にある東証株価指数(TOPIX)(7月28日の終値=2,930ポイント)に対し、「妥当レンジ上限値(赤線、2,726ポイント)よりも7~8%程度割高であり、高値追いは難しいものの、今後の業績動向次第では高値にとどまる可能性もある」としました。しかし、その後にさらに急騰し、8月13日には3,100ポイントを一時突破しました。
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急騰の背景には、出遅れていた海外勢による買いが押し上げているなどの報道があり、焦って買っている投資家がいるようです。
図表1は前回投稿時にご紹介したものと同じものですので、見方は前回記事を参照ください。基本的に業績想定に大きな変化はなく、足元の妥当レンジの上限は2,726ポイントであり、1年後の妥当レンジは10%程度高い約3,000ポイントとみています。
13日の株価は1年後の妥当レンジ上限も上回っており、株式市場はかなり先の利益成長まで織り込んでしまった水準に達していると思います。
[図表1] TOPIXと予想EPSに基づく妥当レンジの推移

2. 2026年度に利益成長が大きい業種を吟味する。
日本株式市場は、米関税問題などによる業績悪化は一時的であると捉え、業績回復が予想される2026年度の業績予想を見ながら動き始めているようなので、業種別に吟味してみましょう。
図表2は、Russell/Nomura Large Capインデックス・ベースでの経常利益(増減益率)の推移です。株式市場が意識していると考える2026年度の業績伸長が大きい業種をハイライトしてみました。
化学、鉄鋼・非鉄、自動車、電機・精密、ソフトウエア、メディア、通信、建設の業績伸長が大きそうです。これをTOPIX-17業種に置き換えると、素材・化学、鉄鋼・非鉄、自動車・輸送機、電機・精密、情報通信・サービスその他、建設・資材に相当すると考えますので、これらの株価指数の動向を確認してみましょう。
[図表2] Russell/Nomura Large Capインデックス・ベースの業種別業績予想(経常利益)

3. 業績伸長を織り込んでいる鉄鋼・非鉄、出遅れている素材・化学
図表3は上述したTOPIX-17各業種の株価指数の推移です。足元の動きこそ2026年度の利益成長への期待に基づいていると思われますが、足元で急上昇するまでの動きは2024~2025年度の業績の影響を受けているようであり、パフォーマンスにはばらつきが見られます。
急騰するまでのパフォーマンスがTOPIXを上回っており、今後の成長も期待できる業種は鉄鋼・非鉄、情報通信・サービスその他、建設・資材で、これらへの投資は「順張り投資」となるでしょうか?
一方、これまでのパフォーマンスはTOPIXをやや下回るも、2026年度の業績回復への期待ができる業種は電機・精密、TOPIXを大きく下回るも、業績回復期待が大きい業種が自動車・輸送機、素材・化学で、こうした業種への投資は「逆張り投資」となるでしょう。
冒頭で説明したように、相場全体としては1年先の利益回復まで織り込んでしまった可能性がある中で、勢いに乗って順張り投資に挑むか、あるいは、逆張り投資に挑むかは、投資家の好みであり、自らの感性に合った投資をするのも良いかもしれません。
[図表3] TOPIX-17業種の中で2026年度の予想利益成長が大きい業種の株価推移

<関連銘柄>
NEXT FUNDS 建設・資材(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1619)
NEXT FUNDS 素材・化学(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1620)
NEXT FUNDS 自動車・輸送機(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1622)
NEXT FUNDS 鉄鋼・非鉄(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1623)
NEXT FUNDS 電機・精密(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1625)
NEXT FUNDS 情報通信・サービスその他(TOPIX-17)上場投信(証券コード:1626)
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(阪井 徹史)