メタ・プラットフォームズの2025年12月期2Qは、21.6%増収、37.7%営業増益。企業の広告出稿意欲が回復したため、広告売上高の伸びが全地域で今1Qを上回った。

会社側は今3Q以降に設備投資を増やし高度人材を増強する計画だが、引き続き順調な業績が予想される。楽天証券の目標株価を引き上げる。


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「 決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復) 」


毎週月曜日午後掲載


本レポートに掲載した銘柄 メタ・プラットフォームズ(META、NASDAQ)


1.メタ・プラットフォームズの2025年12月期2Qは、21.6%増収、37.7%営業増益。

 メタ・プラットフォームズ(以下メタ)の2025年12月期2Q(2025年4-6月期、以下今2Q)は、売上高475.16億ドル(前年比21.6%増)、営業利益204.41億ドル(同37.7%増)となりました。今1Q決算時の今2Q会社側売上高ガイダンス425~455億ドルを上回る好業績でした。


 セグメント別に見ると、ファミリー・オブ・アプス(主にフェイスブック、インスタグラム等のSNS事業)は売上高471.46億ドル(同21.8%増)、営業利益249.71億ドル(同29.1%増)となりました。営業利益率は今1Q51.9%から今2Q53.0%に上昇しました。


 ファミリー・オブ・アプスの多くを占める広告売上高は465.63億ドル(同21.5%増)となり、今1Qの前年比16.2%増から伸びが高くなりました。表3のように米国を含む全地域で広告売上高の伸びが今1Qよりも高くなりました。


 リアリティ・ラブスは売上高3.70億ドル(同4.8%増)、営業損失45.30億ドル(前年同期は44.88億ドルの赤字)となりました。この事業でメタのSNS会員計約34億人(デイリーアクティブユーザー数)へ効果的な広告を効率的に送るためのネットワークインフラを構築しています。このため、設備投資(ファイナンスリースを含む)は今1Q136.92億ドルから今2Q170.12億ドルへ増加しました。


 地域別売上高を見ると、主力地域の米国・カナダを含む全地域で売上高の伸びが今1Qよりも高くなりました。特に欧州の広告主の広告出稿意欲が回復したため、欧州売上高が大きく伸びました。


表1 メタ・プラットフォームズの業績


決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復)
株価    754.79ドル(2025年8月22日)時価総額    1,900,561百万ドル(2025年8月22日)発行済株数    2,570百万株(完全希薄化後、Diluted)発行済株数    2,518百万株(完全希薄化前、Basic)単位:百万ドル、%、倍出所:会社資料より楽天証券作成。注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。注3:会社予想は予想レンジの平均値。

表2 メタ・プラットフォームズのセグメント別業績(四半期)


決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復)
単位:100万ドル出所:会社資料より楽天証券作成

表3 メタ・プラットフォームズ:地域別売上高


メタ・プラットフォームズ全社:地域別売上高


決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復)
メタ・プラットフォームズ全社:地域別売上高

メタ・プラットフォームズ:広告の地域別売上高


決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復)
単位:100万ドル、%出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ1 メタ・プラットフォームズ:アプリ・ファミリーのDAU、MAU


決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復)
単位:億人、出所:会社資料より楽天証券作成、注:フェイスブック、インスタグラム、メッセンジャー、ワッツアップのいずれかに最低1回ログインしたユーザーのDAU、MAU

グラフ2 メタ・プラットフォームズ:アプリ・ファミリーの1人当たり売上高


決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復)
単位:ドル/人、出所:会社資料より楽天証券作成、注:ファミリー・オブ・アプス売上高をデイリーアクティブユーザー数(1日に各アプリのいずれかに最低1回ログインした人の数)で割ったもの。2024年12月期1Qより従来マンスリーアクティブユーザー数で割っていたものを変更した

2.楽天証券の今期、来期業績予想を上方修正する。

 今3Qの会社側売上高ガイダンスは475~505億ドル(レンジ平均値490億ドル、前年比20.7%増)です。また、会社側ガイダンスでは、2025年12月期通期の総費用(売上原価+研究開発費を含む販管費)は前回の1,130~1,180億ドルとほぼ同じ1,140~1,180億ドル、2025年12月期設備投資を前回の640~720億ドルとほぼ同じ660~720億ドルとしています。


 今2Qまでの業績と会社側ガイダンスを参考にして、楽天証券では2025年12月期を売上高1,960億ドル(前年比19.1%増)、営業利益830億ドル(同19.6%増)、2026年12月期を売上高2,330億ドル(同18.9%増)、営業利益1,010億ドル(同21.7%増)と予想します。前回予想に対して小幅上方修正します。


 今回の楽天証券予想では、主に、リアリティ・ラブスの営業損失を従来予想よりも小さく見積もりました。会社側は今3Q以降設備投資が増え高度人材の増強を行うとコメントしています。

ネットインフラの増強と生成AI、広告AIの開発強化のためです。ただし、今2Qのリアリティ・ラブスの営業赤字が今1Q比で若干の増加にとどまったため、この分だけ通期の赤字を小さく見積もりました。2026年12月期のリアリティ・ラブスの赤字も従来より小さく見積もりました。


 また、会社側は前4Qの広告売上高が好調だったため、今4Qの広告売上高の伸びが鈍化するとしています。このため、ファミリー・オブ・アプスの2025年12月期楽天証券営業利益予想も若干下方修正しました。


 全社で見ると、広告売上高が牽引し順調な業績が続くと予想されます。


表4 メタ・プラットフォームズのセグメント別業績


決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復)
単位:100万ドル出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ3 メタ・プラットフォームズの年間設備投資


決算レポート:メタ・プラットフォームズ(全地域で広告売上高が回復)
単位:億ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

3.今後6~12カ月間の目標株価を、前回の720ドルから910ドルに引き上げる。

 メタ・プラットフォームズの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の720ドルから910ドルに引き上げます。


 楽天証券の来期2026年12月期予想1株当たり利益(EPS)34.0ドルに今の評価である株価収益率(PER)25~30倍を当てはめました。


 中長期で一定の投資妙味を感じます。


本レポートに掲載した銘柄: メタ・プラットフォームズ(META、NASDAQ)


(今中 能夫)

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