2025年上期の業績低調も下期に回復へ、AI搭載型のデバイス需要がけん引

現地コード 銘柄名 02018

瑞声科技控股


(AACテクノロジーズ)


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43.72HKD
(8/22現在)


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 中国の電子部品メーカー、瑞声科技の2025年6月中間決算は売上高が130億元(前年同期比18%増)、粗利益率が20.7%(前四半期比1.9ポイント低下)と、BOCIの予想をそれぞれ5%、1.6ポイント下回った。純利益は62%増の8億7,100万元に達したが、買収したプレミアム・サウンド・ソリューション(PSS)社に絡む評価益を除けば、市場予想に届かなかった。


 ただ、経営陣が2025年通期決算を楽観していることを考えれば、下期には業績が上向く見込み。BOCIは経営陣の楽観見通しに加え、音響・触覚部品分野でのリーダーシップ、光学・精密部品の成長を理由に、同社に対するポジティブな見方を維持した。


 さらにこの先、光学、音響、構造部品のプラットフォーム機能の統合が完了すれば、自動車やクロスリアリティ(XR)、ロボットを含む新興市場への急速な浸透が実現すると予想。目標株価を小幅に引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続した。


 2025年上期決算では、音響部品部門の売上高が前年同期比2%増の35億元。ハイエンドプロジェクトの初期的な低収益率が響き、粗利益率は27.2%へ前四半期比3.2ポイント低下した。ただ、経営陣は複数のミッドレンジ・ハイエンドプロジェクトの下期の始動に伴い、2025年通期の粗利益率は少なくとも前年(30.2%)並みを維持するとみる。


 EMD&PM(電磁駆動・精密機械)部門の上期の売上高は27%増の46億元で、粗利益率は22.9%と、前四半期比0.7ポイント低下した。旗艦モデル向けのベイパーチャンバー(VC)冷却装置(売上高2億2,100万元)やノートPC筐体(同7億1,300万元)、スマートフォン金属筐体、新規事業のサイドボタンおよびクラウンなどの成長が背景。


 経営陣によれば、VC冷却装置の2025年通期の出荷個数は前年比132%増の1億5,000万個に上り、平均販売価格は2倍以上に上昇する見込み。AI搭載スマホ、タブレットなどのけん引で、出荷個数は2025-28年に年率平均2桁増を維持する見通しという。


 車載音響機器部門では、PSS社の上期の売上高が前年同期比14%増の17億元。

事業統合の影響で、粗利益率は前四半期比で0.7ポイント低下した。このほか、光学部品の上期の売上高は前年同期比20%増の26億元で、粗利益率は10.2%と前四半期比2.3ポイント上昇。最終損益ベースで黒字を確保した。


 BOCIはPSS社関連の評価益を反映させる形で、2025年の予想1株当たり利益(EPS)を7%増額修正。2026-27年に関しては現行の強気見通しを据え置いた。2024-26年のEPSについては年率平均29%の伸びを予想。2026年予想株価収益率(PER)22倍を当てはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。


 レーティング面の潜在リスク要因としては、スマホ機種のアップグレードの遅れや光学部品業務の回復の遅れ、マクロ経済動向によるテック需要への影響、同業他社との訴訟問題などの可能性を挙げている。


(Bank of China int.)

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